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最優秀選手に輝いた栗山主将、ユニバ戦う下級生へ「戦う姿勢」伝える

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[3.25 デンソーカップ第9回大学日韓(韓日)定期戦 日本2-1(延長)韓国 国立]

 韓国の攻撃をことごとく跳ね返した。全日本大学選抜の主将を務めたDF栗山直樹(専修大3年=清水東高)は最終ラインで奮闘。試合の主導権を韓国に握られ、押し込まれるシーンが続いたものの、延長戦を含む120分間で声を張り続け、最終ラインからチームを支えた。その活躍が認められ、試合後には大会最優秀選手にも選ばれた。

「対人プレーで負けないように。そこで負けたら自分の存在価値が無くなってしまう」。強い気持ちで試合に臨んだ。先発メンバーの平均身長は日本が176.5cmに対して、全韓国大学選抜は180cm。フィジカルで上回る相手に対して、負けじと体を張った。競り負ける場面はなく、タイミングを見て飛び込んではピンチのシーンもしっかりとクリアしてみせた。「プロに行ったら190cmもあるFWに負けないようなプレーをしないといけないので」。J2の千葉や町田に練習参加しているCBは高い意識を持ってプレーした。そして韓国を最少失点に抑えての勝利。それでも試合後は「シュートまでいかれる場面が多かった。最終ラインが止めているようではダメ」とチームへの厳しい言葉を口にした。

 そのような言葉が出たのにも理由がある。2月に宮崎県で行われた第26回デンソーカップチャレンジは、13年夏にロシアで開催されるユニバーシアード競技大会を見据えて1、2年生(新2、3年生)で臨んだが、日韓戦へ向けては栗山やMF六平光成(中央大3年=前橋育英高)、FW阪野豊史(明治大3年=浦和ユース)、DF今井智基(中央大3年=大宮ユース)ら3年生5人が加わった。最終ラインでは今井や栗山が奮闘し、前線では六平や富山や阪野が奮闘。しかし本来のユニバーシアード大会には、彼ら3年生はいない。2年後には本大会を迎える下級生たちへ栗山なりの激励だった。

 試合後、今回の大会やインドネシア遠征を通じて下級生へ伝えられたことを問われると「戦う姿勢というか、こういう苦しい試合を諦めないで戦うことですね。これから下の世代が戦っていくなかで、もっと苦しい試合はあると思うので」とキッパリ話した。頼れる主将は確かに"最後まで諦めず戦う姿勢"を全日本大学選抜の後輩たちへ残したはずだ。

「試合に勝てたことがうれしい。自分が賞をもらえると思わなかった。これはみんなで取ったものなので、これからのサッカー人生につなげればいいと思う」。受け取った最優秀選手賞にも満足した素振りをひとつもみせず。頼れるCBはまっすぐに未来を見つめた。

(取材・文 片岡涼)

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