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開催国カタールがアジア杯連覇!! エースFWアフィフがPK3発に手品パフォで大暴れ、単独得点王も受賞

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カタールが大会連覇

[2.10 アジア杯決勝 ヨルダン 1-3 カタール ルサイル]

 アジアカップは10日、ルサイル・スタジアムで決勝戦を行い、開催国のカタール代表が2019年の前回大会に続く連覇を果たした。エースFWアクラム・アフィフが3度のPKを決めて決勝史上初のハットトリックの大活躍を見せ、ダークホースのヨルダンを3-1で撃破。アフィフは手品のようなゴールパフォーマンスでも大観衆を沸かせた他、今大会8ゴールで単独得点王にも輝き、自国大会の主役となった。

 同国史上初の連覇を狙うカタールと、決勝トーナメント未勝利からの快進撃で初の決勝進出を果たしたヨルダンとのアジア杯決勝。史上3度目のアラブ対決に現地の注目度は高く、22年のW杯決勝も行われたルサイル・スタジアムには大会史上最多86492人の大観衆が詰めかけた。

 カタールは準決勝のイラン戦(○3-2)から先発2人を変更し、MFハッサン・アルハイドゥス(アルサッド)とDFタレク・サルマン(アルサッド)が先発復帰。システムを4-4-2から3-5-2に戻した。対するヨルダンも準決勝の韓国戦(○2-0)から2人を変更。出場停止だったFWアリ・オルワン(アルシャマル)、DFサレム・アルアジャリン(アルファイサリ)が復帰した。

 立ち上がりはカタールが主導権を握り、今大会5ゴール3アシストのエースFWアクラム・アフィフ(アルサッド)が左に流れて攻撃を牽引。前半7分には鋭いドリブル突破、同9分には意表を突いた股抜きシュートで好機を作った。

 一方のヨルダンも唯一の欧州組のFWムサ・アルタマリ(モンペリエ)が右サイドの背後を狙い、前半13分にドリブルから右CKを獲得して流れを手繰り寄せる。同18分にはアルタマリとFWヤザン・アルナイマト(アルアハリ/カタール)がそれぞれ個人技で相手をいなし続け、クロスから惜しいチャンスを作った。

 それでも前半20分、カタールが試合を動かした。DFルーカス・メンデス(アルワクラ)からの縦パスを受けたアフィフが素晴らしいファーストタッチで前を向き、ドリブル突破を仕掛けると、エリア内でヨルダンDFアブダッラー・ナシブ(アルフセイン)のファウルを受けて転倒。PKのチャンスを獲得した。

 キッカーはアフィフ。前半22分、右足キックをゴール左に落ち着いて決め、カタールが値千金の先制点を奪った。するとアフィフはおもむろにソックスを下げると、自身の写真がプリントされたカードを取り出し、ゴールパフォーマンスを開始。小刻みにカードを振ると、下からアルファベットの『S』の文字が出てくる手品のようなトリックでスタジアムを沸かせた。

 そんなアフィフは前半終了間際、右サイドの深い位置でボールを争った際、嫌な形で着地し、左膝を押さえ込んで倒れ込んだが、そのままプレーを続行。一旦は大怪我の懸念も頭をよぎるシーンだったが、大事には至らず、ホッとした様子の開催国サポーターから歓声が飛んだ。

 その後はヨルダンが勢いを見せ、前半45+3分にはアリ・オルワンの突破からアルタマリが狙ったが、カタールMFモハメド・ワエド・アルバヤティ(アルサッド)が決死のブロック。同45+6分にもアルタマリの左足ボレーが枠を外れ、そのままカタールの1点リードでハーフタイムを迎えた。

 後半開始時は両チームとも交代はなく、負傷の素振りを見せていたアフィフもプレーを継続。それでもカタールは後半8分、アルハイドゥスとMFジャッセム・ガベル(アルアラビ)に代わってMFアブドゥルアジズ・ハテム(アルラーヤン)とMFアリ・アサド(アルサッド)を入れ、攻守に高さと強度を加えた。

 そこに勢いを持って挑むヨルダンは後半12分、右サイドをアルタマリ、アルナイマトが立て続けに攻め込み、アルナイマトがクロスを入れると、これを受けたアリ・オルワンが後ろ向きに浮かせるトラップから意表を突いたバイシクルシュート。これは惜しくも右に外れたが、同14分には分厚い攻撃からアルタマリが右に送り、DFエサン・ハダド(アルファイサリ)のシュートがGKを強襲した。

 さらにヨルダンは後半15分、アルタマリの右CKがファーサイドに送り込まれると、DFヤザン・アルアラブ(アルショルタ)が戻りながら強烈なボレーシュート。これはGKメシャール・バルシャム(アルサッド)に阻まれたが、同16分にも波状攻撃からアルタマリ、アリ・オルワンが立て続けに決定的なシュートを放った。

 スタジアムは勢いに乗るヨルダンのサポーターが優勢。カタールはアフィフの運動量の少なさが裏目に出て、なかなか攻撃に出ることができない。すると後半22分、ヨルダンは右でアリ・オルワンが起点を作り、ドリブルで相手を引きつけると、戻したパスからE・ハダドがクロス。これをファーで収めたアルナイマトが胸トラップから強烈なボレーシュートで突き刺した。

 ところがカタールもすぐに決めにかかった。後半24分、カタールはFWアルモエズ・アリのスルーパスに抜け出そうとしたMFイスマエル・モハマド(アルドゥハイル)がMFマフムード・アルマルディ(アルフセイン)に倒され、猛抗議。その後はプレーが続けられたものの、切れたタイミングでVARが介入し、主審がオンフィールドレビューを行った。

 その結果、カタールがPKを獲得。再びキッカーを務めたアフィフが決め、再びカタールが先行した。決めたアフィフは得点ランキング単独トップの7ゴール目。トレードマークのカーリーヘアを叩きながらチームメートと歓喜を分かち合い、再び自身のカードをカメラにアピールする堂々のゴールパフォーマンスも披露した。

 さらにカタールは後半アディショナルタイム1分、ロングパスで最終ラインの背後に抜け出したアフィフがGKに倒される。一度はオフサイドの判定が下されたが、半自動オフサイドテクノロジーでオンサイドが確認された結果、主審のオンフィールドレビューでPKの判定。これをアフィフが決めて3点目を奪った。アフィフはこれで大会史上初の決勝ハットトリック。今大会の通算ゴール数を8点とし、単独得点王を決定づけた。

 その後はヨルダンが捨て身の猛攻に出たが、カタールの守備が固く、そのまま試合は動かずタイムアップ。2022年末のカタールW杯では開催国史上初の未勝利かつ3戦全敗という屈辱を味わったカタールが、昨年末に就任したスペイン人指揮官マルケス・ロペス氏のもとで再びアジアの頂点に立った。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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