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[adidas cup in Fukuoka]高山スーパーゴールなどで情報科学リードも九州遠征で勝負強さ学んだ神奈川・向上が逆転勝ち

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[8.20 adidas cup in Fukuoka5位決定戦 向上高 3-2 情報科学高 グローバルアリーナ]

 20日、「adidas cup in Fukuoka」5位決定戦で向上高(神奈川)と情報科学高(大分)が対戦。0-2から逆転した向上が3-2で勝ち、5位で大会を終えた。

 A戦、B戦合わせて5連敗していた向上だが、前日19日の最終戦で全国総体出場校の長崎南山高に4-1で逆転勝ち。10年前から向上は毎年九州遠征を実施して九州のチームの「純粋にサッカーをやっている。勝ち負けを諦めない」(小林賢一郎監督)ところを体感して強化に繋げている。

 全国総体に出場した昨年に続く全国大会出場を目指している向上だが「関東っぽくというか、どこかノラリクラリというのがあった」(小林監督)という課題があって今回の遠征では終盤に失点する試合が続いていたが、九州勢の粘り強さを体感してきたチームは前日の逆転勝ちで変化。昨年の全国総体メンバーでもあるFW増田力也は「この遠征では残り5分とかで同点とか逆転されたりしていた。それが改善されていい形で終わることができたと思う。これから今回の遠征みたいな試合があっても最後まで行けるという気持ちが強くなった」と諦めないで戦い、連勝したことを前向きに捉えていた。
 
 試合はスーパーゴールで幕を開けた。試合開始直後、情報科学のMF高山拓斗がセンターサークルから相手GKの意表を突くロングシュートを決めて先制。その後もスペースでボールを引き出すFW佐藤優也やFW河野龍星を起点に攻める情報科学は29分にも右サイドを抜け出した佐藤の折り返しを高山が沈めて2-0と突き放す。だが33分にFW河野愛斗の左クロスから河野龍が放った決定的なヘディングシュートをGK下川圭祐に阻まれると流れが変わってしまう。

 向上は前半終了間際、MF佐野奨二の左足PKで1点差とすると、直後にも右CK後の混戦をCB由良健太、左SB高橋健人が制して同点に追いつく。これで試合の軸は向上へ傾いた。後半、向上は左サイドから切れ込んだ増田の決定的なシュートなどチャンスをつくると20分、左サイドをえぐった増田のクロスを1年生MF戸谷一暁が頭で合わせて勝ち越した。CB赤峯和紀が「全体的には悪くなかったんですけど、細かいパスミスがあったり、最後まで走り切れなかったので負けたっす。(前半終了間際の)あそこ踏ん張れば勝てたかなと。立ち上がりは良かったんですけど、最後集中力がキレてしまって崩れたっす」と振り返った情報科学に対し、総体予選終了後の1か月間で680kmを走るなど走力強化に取り組んできたという向上は最後まで運動量が落ちることなく走り勝った。

 昨年の全国総体で先発を経験したFW関崇宏やCB横溝和己、GK石川僚也、そして増田らを残す今年、向上は「去年全国出たので今年も全国に出たい」(増田)という目標を持っている。高い位置へボールを運んでそこから連係で崩すところも示していたチームは、コンパクトな陣形を保ち、より攻守の切り替えを速くして、そして九州で学んだ勝負強さを発揮できれば「十分に戦える」(小林監督)という手ごたえがあるだけに、選手権予選が楽しみだ。

 一方、情報科学の中津留正三監督は「大分にないチームとやらせてもらったので幅が広がる経験ができたのは良かった」と夏の強化の場として新設された「adidas cup in Fukuoka」に感謝し、赤峯は選手権予選へ向けて「最後まで走り続ける体力が必要。前回は決勝まで行けて負けたんで今年はこれからもっと個をつけて、走れる力をつけて全国へ行けるように頑張りたいです」と宣言。昨年、あと1勝で逃した選手権切符を全員で獲りに行く。

[写真]後半20分、向上はMF戸谷が決勝ヘッド

(取材・文 吉田太郎)

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