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[プレミアリーグEAST]セットプレー2発で逆転!選手層の厚み増した市立船橋が流経大柏とのライバル対決制す!

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[9.19 高円宮杯プレミアリーグEAST第15節 流通経済大柏高 1-2 市立船橋高 流通経済大柏高G]

 千葉ライバル対決は市立船橋に軍配――。高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグEAST第15節で流通経済大柏高市立船橋高が対戦した。流経大柏が前半アディショナルタイムにMF富樫和樹のミドルシュートで先制したが、市立船橋は後半にいずれもCKからDF原輝綺とDF白井達也が決めて2-1で逆転勝ちした。

 現在9位でプレミアリーグ残留へ向けて苦戦が続いている13年王者・流経大柏と優勝争いに食らいついたまま終盤戦を迎えたい市立船橋。過去5年の選手権千葉県予選では決勝で4回、準決勝で1回激突している両雄の対戦は拮抗したゲームとなった。朝岡隆蔵監督が「変化をつくりながら90分間をどうデザインするかというところで新戦力をちょっと試したいというところがあったし、流経のハイプレッシャーを意識した」という市立船橋は怪我で離脱中のモンテディオ山形内定FW永藤歩に加えて、こちらも故障を抱えるベガルタ仙台内定MF椎橋慧也主将、そしてMF工藤友暉、MF高宇洋もベンチスタート。FW玉井裕貴が3トップの中央で起用され、「(流経大柏の)2トップのパワーを何とか外したい」という狙いで今季プレミアリーグでは初となる3バックを採用した。

「一人ひとりがサッカー偏差値上げながらやっていた。ここ数年でかなり積み上がってきたので。ポジションイジッて混乱することはない」と朝岡監督が信頼するチームは対流経大柏用に準備してきた布陣でも大きな問題を起こすことなく対応してみせる。だが、両ワイドが思い切り良く前へ出るシーンが少なく、サイド攻撃でパワーを出すことができない。また左FW押尾大貴が頭部からの出血のために2度ピッチから離れる状況となった市立船橋はなかなかリズムに乗ることができなかった。逆にFW兼田晏音睦とFW織田敦暉が前線でボールを引き出す流経大柏はサイドからのクロス、敵陣で獲得したセットプレーから先制点を狙っていく。そして40分には敵陣でのインターセプトからショートカウンター。MF松本雅也のスルーパスから織田が決定的な右足シュートを放った。

 これはわずかに枠右へ外れたものの、アディショナルタイム突入後の46分、流経大柏はスーパーゴールで先制する。織田の右ロングスローのクリアボールに反応した富樫が右中間から右足一閃。圧巻と言えるほどの弾丸ミドルがゴール右隅へと突き刺さった。右手を突き上げて走り出した富樫中心にホームグラウンドで舞う赤いユニフォーム。前線からの運動量も多かったチームは非常にいい形で前半を終えた。

 これに対して市立船橋は前半終了間際から高、後半開始から椎橋、そして7分から工藤を立て続けに投入。椎橋は「前半は相手もハイプレッシャーで来るのは分かっていたので前線とか走る選手を起用していて、それもあって自分が出た後半は相手は前から来ていたんですけど、(運動量が落ちている分)外せるところもあって、そこは自分とか、高とか、工藤という途中から入る選手がスペースをついて行こうと言っていた」。テクニカルな選手たちの投入によって攻撃テンポも上がった市立船橋は徐々に椎橋や工藤が試合を支配し始める。だが、負けられない流経大柏もCB本村武揚とCB黒澤丈中心に簡単には攻略をさせない。それでも、サイド攻撃からのチャンスを活かせなかった流経大柏は次の1点を奪われてしまう。

 市立船橋は後半21分、左CKを獲得すると、工藤がニアサイドへスピードのあるボールを入れる。これをニアサイドの原が頭で巧みに流すと、わずかにコースの変わったボールに反応できなかった流経大柏DFに当たってボールはゴールへ吸い込まれた。本村が「失点したら自分たちはどんどん落ちていくので、声もなくなってしまう。失点しなければ元気なんですけど、失点したらがくっと。まだ同点なんでいけるぞという声がきょうはなかった」という流経大柏はここで奮起することができない。今季続いてしまっている失点で気落ちしてしまう悪癖が出てしまった流経大柏に対して市立船橋は畳み掛ける。

 26分、FW矢村健が強引な仕掛けで右CKを獲得。すると、再び工藤が入れた右足でのCKから中央の白井が勝ち越しヘッドを突き刺した。流経大柏の本田裕一郎監督が「とにかくキッカーがいい。いいボールを蹴る」と絶賛した工藤の右足キックが市立船橋に2点をもたらした。

 勝ち越された流経大柏は「ビハインドの時にやってみようと考えていた」(本田監督)という身体能力の高い本村と黒澤のCB2人を前線へ配置するスクランブル。10分以上を残した状況からパワープレーに出て同点を目指す。36分には1年生MF菊地泰智の左クロスに黒澤が飛び込むが、わずかに合わず。その後も本村が前線で制空権を握るが、決定機を作り出すまでには至らない。逆に背後を取られてピンチの連続。ボランチから右MFへ移行してチームのバランスを高めていた古屋誠志郎の決定的なシュートをGK高井悠貴がビッグセーブで阻止するなど意地も見せたが、追いつくことはできなかった。

 相手を圧倒することはなくとも「上回ればいいと思っていた」という朝岡監督の言葉どおり、90分間を見事にデザインしてテクニカルな選手たちが登場した後半に試合を決めた市立船橋。エース永藤不在の中で選手層の厚みが増して指揮官も「チームの不測の事態でもトーンダウンしない」集団になってきている。首位・青森山田高と勝ち点4差の4位。11月後半からの残り3試合でまだ優勝の可能性を残したまま、中断期間を迎えることになった。工藤は「選手権で日本一取るのと同じくらい、プレミアで日本一取るのも目標なので残り3節全勝して、他力なんですけど全勝は絶対条件なので集中していく」と誓った。今夏の総体予選決勝では流経大柏に競り負けている市立船橋だが、プレミアリーグでは2戦2勝。ライバルからの白星によって、「このチームで日本一とっていかないとダメ。まずは千葉県を抜けられるようにやっていきたい」と椎橋が語る選手権予選へ向けても弾みをつけた。

[写真]後半26分、決勝ヘッドを決めた市立船橋CB白井が歓喜を爆発させる

(取材・文 吉田太郎)
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