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[ADIDAS CUP 2016 in FUKUOKA]流れ引き寄せた伝統の「オールプレス」、ルーテル学院が3位に

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[8.18 ADIDAS CUP 2016 in FUKUOKA ルーテル学院高 1-1(PK7-6)西京高 グローバルアリーナ]

 地元・九州勢を中心とした強豪12校が秋の戦いへ向けて力を磨いた「ADIDAS CUP 2016 in FUKUOKA」は19日、順位決定戦を行った。昨年準優勝のルーテル学院高(熊本)と全国総体出場校の西京高(山口)との一戦は、試合終了間際に追いついたルーテル学院が1-1で突入したPK戦を7-6で制して3位に入った。

 先制したのは西京だった。MF難波啓太(3年)の仕掛けやFW今田雄太(3年)とFW山崎智弥(2年)の飛び出し、セットプレーでもチャンスをつくっていた西京は前半18分、左サイドを突いた山崎の折り返しをMF水津幸広(3年)が左足ダイレクトで合わせる。DFに当たってコースの変わった一撃がゴールに吸い込まれた。

 だが、ルーテル学院には失点しても流れを変える術がある。失点直後から伝統の「オールプレス」を敢行。後方の選手たちに押し出される形で前線の選手たちがプレッシャーをかけ、相手の攻撃のリズムを狂わせていく。そして高い位置でボールを奪えるようになったルーテル学院は24分、交代出場のFW伊藤連(3年)とのワンツーからMF東晃隆(3年)が決定的な右足シュート。26分には東の折り返しを伊藤が右足ダイレクトで叩く。

 後半もルーテル学院はボールを奪うと間髪入れずに攻撃を繰り返して西京にプレッシャーをかけていく。だが、西京の守りも堅い。CB吉賀健汰朗(2年)やCB柳井浩志(1年)ら最終ラインの選手たちが突破を許さず、またGK岡崎隆雅(2年)がDF背後のスペースをカバーするなど決定打を打たせなかった。ルーテル学院は24分にも左SB島津玲斗主将(3年)が強引に仕掛けてシュートまで持ち込むが1点が遠い。それでもルーテル学院は試合終了1分前の29分、GKにプレスをかけたFW鈴木登己峰(2年)がインターセプト。小野秀二郎監督が「一番プレスかけるのが上手い」と評する2年生FWが同点ゴールをねじ込んで1-1の同点に追いついた。直後に突入したPK戦では互いに譲らず、7人目に突入。まずルーテル学院GK黒田将司(3年)が右へ跳んでストップすると、最後はルーテル学院のMF三上宗一郎(2年)が右足シュートを決めて決着をつけた。

 11年度以来となる選手権出場を狙うルーテル学院だが、今年は新人戦、総体予選ともに県8強止まり。だがチームは8月6日からの静岡・関東遠征や今回の福岡遠征によって着実に力をつけてきている。今回の「ADIDAS CUP 2016 in FUKUOKA」は1年生の大型レフティー・MF徳永敦優や右SB江崎巧朗(2年)、FW竹宮彪真(1年)が国体選抜の海外遠征のため不在。それでも小野監督が「守備力が上がってきている。失点しなくなって、簡単に負けなくなった。チャレンジ&カバーの意識も高まっている」と目を細める内容で今大会4試合を無敗で終えた。

 同点ゴールを奪ったのは最後の最後だったが、それでも流れを引き寄せたのはルーテル学院の武器である「オールプレス」だ。試合を通してプレッシャーをかけ続けるのは難しいが、それでも試合状況、内容を見て「いつでもオールプレスできるようにしている」(小野監督)という武器。この日は失点直後からギアを上げて、前からのプレッシングでパスコースを限定し、中盤のMF谷本玲弥(3年)と三上がボールを触って、インターセプトに繋げ、連続攻撃をもたらしていた。そして最後までやりきったことが相手のミスを誘って同点ゴールに。島津主将は「走りこみの練習もいっぱいやってきましたし、相手陣地で奪ってショートカウンターで行く。失点してからすぐかけて、そのおかげでGKをまでプレスに行って、GKから奪えて得点できたのが良かった」。

 谷本は今回の「ADIDAS CUP 2016 in FUKUOKA」について「カップ戦なので上を目指せられる。ここで奮起して、ファイトして、この夏が勝負ですし、成長できる機会だと思っている。3位だったけれど次に繋がる大会になった」。目標は選手権での全国。島津は「シードがなくて苦しい戦いになると思う。でも、チームはだんだん良くなっているので最終的には試合で勝てるようになっていければいい」。全国で上位に入った頃と比べると個々の身体能力は落ちるかもしれない。だが、当時以上にミーティングを重ねるなど、自立した選手たちがシンプルにゴールを目指す攻撃、そして武器である「オールプレス」をさらに磨いて秋の戦いに臨む。

(取材・文 吉田太郎)
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