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公立校で唯一の神奈川4強。元気で前向きな戦い見せた厚木北は前回王者に延長戦で敗れるも「次、やろう」

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厚木北高はCB{{森優介}主将中心に粘り強い守り

[5.7 関東高校大会神奈川県予選準決勝 厚木北高 0-3(延長)日大藤沢高]

 厚木北高は2度のPK戦を制し、公立校で唯一の4強入り。準決勝では前回大会優勝の日大藤沢高と延長戦へもつれ込む激闘を演じて見せた。

 足下の技術力高い日大藤沢高の攻撃を前から制限。プロ注目の198cmFW森重陽介(3年)を擁する日大藤沢の高さやサイド攻撃に苦しめられたが、自陣ゴール前では主将のDF森優介(3年)とDF込山達也(3年)が中心となって気迫の守りを見せていた。

 シュートブロックした井上が咆哮していたほか、好守を見せた左SB矢島優輝(3年)を仲間たちがハイタッチで迎えるなど、とにかく一体感と元気のある戦い。その面では他の4強のどこにも負けていなかった。

 守るだけでなく、攻撃面でも身体能力高い左SH浦晴汰(3年)のドリブル突破や右SH石井駿吾(2年)のクロスからゴール前のシーンを創出。0-0の延長戦でも先に相手ゴールを脅かしたのは厚木北の方だった。その後、日大藤沢のセットプレーを封じきれずに先制点を奪われ、計3失点で敗退。だが、粘り強い守備とサイド攻撃で強豪校を十分に苦しめて見せた。

 指揮を執る渡邊浄仁監督は、36歳で民間企業から教員へ転身。厚木北では3年間のコーチを経て、今年が監督就任1年目だ。「僕がサッカーを楽しませたいというのがあって、北高の子たちはやっぱり私立に行けなかったり、中体連の子とか、(中学時代に)スタメンで出れなくて、一生懸命サッカーに取り組みたいというのがあるので……サッカー小僧が多くて、だから元気良く、本当に良い雰囲気で前向きにできるのがある。それは強みかなと思っています」。今大会、選手たちは勝って涙。この日はスタンドに駆けつけた仲間たちを勇気づけるような戦いを見せた。

 指揮官は「自分たちがここまでできる、と頑張って粘り強くやってくれました。見ていて嬉しかったです」と選手たちに感謝。そして、「(選手たちは負けた後の)ロッカールームでも楽しそうで、『次、やろう』と。伸びしろのある子たちなので頑張って欲しい」と期待していた。自分たちで“最弱”と言い続けながらも、努力と成長を続ける厚木北。今後のインターハイ予選や選手権予選でも周囲が驚くような戦いを見せる。

(取材・文 吉田太郎)

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