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「大津の10番」を引き継ぐニューリーダー候補。MF嶋本悠大は積極的なチャレンジ精神でU-17日本高校選抜でも「攻守を繋ぐ」

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攻守にハードワークを見せた大津高MF嶋本悠大(2年=ブレイズ熊本出身)

[1.21 練習試合 U-17日本高校選抜候補 6-3 日本体育大]

 攻撃だけとか、守備だけとか、そんな小さなところに収まるつもりはさらさらない。できることは全部やりたい。それがチームの勝利に繋がるのであれば、攻撃だって、守備だって、自分にできることは、全部やってみせる。

「こういう機会はあまりないので、自分の良いところを出しつつも、自分の課題を見つけて、そこを変えたいなとは思っていますね。だから、積極的に何でもチャレンジすることを意識しています」。

 大津高(熊本)の攻守を繋ぐ新・司令塔。MF嶋本悠大(2年=ブレイズ熊本出身)はいかなる時でもチャレンジ精神を携えて、しなやかにピッチを泳ぎ回っている。


「思ったよりは自分と(新垣)陽盛でボール奪取はできていたのかなと思いますし、相手を潰せていたかなと。特に何も話していないですけど(笑)、どっちもボールを奪うことは意識しているのかなとは思いました」。

 U-17日本高校選抜の選考合宿も2日目を迎え、この日は日本体育大とのトレーニングマッチが組まれていた。40分×3本で行われた試合の1本目で、嶋本はプレミアリーグWESTでも2度にわたってピッチ上で対峙した神村学園高のMF新垣陽盛(2年)とドイスボランチを構成し、果敢なボール奪取で存在感を見せつける。

「九州のチーム同士ですし、球際が強い選手だということは知っていたので、そこは信頼して気持ち良くプレーできました」と話す嶋本と新垣のバランスは上々。大学生相手に球際でも見劣りすることなく、やり合いに行くメンタルも勇ましい。

「自分は体力には自信があるので、球際の強さだったり、攻守に関わるところだったりは意識してやりましたけど、ハイボールを収めるところだったり、もっと足元にボールを収めるところは課題かなと思います」。ハイレベルな環境を味わえる貴重な機会を得たからには、あっという間に過ぎた40分という時間の中でも、自身の長所を発揮しつつ、課題の部分の抽出にも余念がない。


 大津では1年時の4月からプレミアリーグでの出場機会を獲得すると、早々にスタメン起用される試合も。スタッフ陣からの大きな期待を背負って、ここまでの2年間を戦ってきた。「最初はプレミアに出ても何もできなかったんですけど、試合を重ねていくたびにハイテンポな試合や、相手が引いてくる試合もあることがわかって、そういう状況によって自分のやるべきことを理解してできるようになりました」。試合に過不足なく馴染む力は、特筆すべき代物だ。

 プレミアの舞台ではJクラブユース勢とも対戦したことで、新たな気付きを得たという。「ヴィッセルとかサンフレッチェの選手はとにかく上手いので、自分なりにボールへの出方だったり、コースの切り方は意識してプレーした中で成長している感じはあって、最初は全然ダメでしたけど、最後の方はボールを奪えるようになったり、競り勝てるようになって、球際でも勝つ回数の方が増えましたし、そこは成長したなと思います」。

 選手権では昨季の主戦場に置いてきたボランチではなく、他のポジションでのプレーも経験することになった。「初戦は右サイドハーフをやったんです。試合前日にポジション変更があってビックリしたんですけど、以前にも何回かやっていたので、『もしかしたらあるかな』という感じで準備はしていたこともあって、イレギュラーな中でやった割には、良くできたかなと思います(笑)」。

「昌平もみんな上手くて、ボランチもボールを持つタイプだったんですけど、パスが相手のボランチに出た時のファーストタッチの部分で、ボールが浮いていたら狙いどころだと感じて、そういうところにはしっかり強度高くプレスを掛けられたかなと思います」。今回の合宿ではその3回戦で当たった昌平高のボランチ、MF大谷湊斗(2年)と同じチームで共闘することに。「そういうのは凄く楽しいですね。それこそ盗めるものは盗んでいきたいなと思っています」と笑顔を浮かべる表情に、素直な性格も滲む。

 既にスタートしている県の新人戦では、10番を任されているという。前任者は昨シーズンのキャプテンであり、今季から水戸ホーリーホックでプロとしてのキャリアを歩み出す碇明日麻だが、「明日麻さんとは違うプレースタイルなので、そこは自分らしくやっていけたらなと思います」と口にした嶋本は、2024年の進むべき道へと想いを馳せる。

「(五嶋)夏生と自分はこういう経験をさせてもらっているので、ここで得たものをチームでもしっかり共有して、去年の結果を超えられるようにみんなで切磋琢磨していきたいと思いますし、大津だったらボランチには(兼松)将がいるので、前の方で攻撃にも絡んでいきたいと思っていますけど、自分も守備には自信があるので、それこそ攻守に良い形でチームに関わっていけたらなと思います」。

 大津を攻守で牽引するニューリーダー。嶋本はU-17日本高校選抜でも自分にできることを100パーセントでやり切る姿勢で、チームに大きなエネルギーをもたらしていく。

(取材・文 土屋雅史)
土屋雅史
Text by 土屋雅史

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