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急造SBでも「結果を残してやろうと」池戸柊宇が日本高校選抜を6年ぶり勝利に導く“ゴイゴイスー”ゴール!

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日本高校選抜DF池戸柊宇(京都橘高3年)

[2.17 NEXT GENERATION MATCH 神戸U-18 0-1 日本高校選抜 国立]

 日本高校選抜を6年ぶりの勝利に導くゴールとなった。DF池戸柊宇(京都橘高3年)は後半36分にセットプレーからヘディングシュートで決勝点。「もうボールしか見ていなかった。高さには自信があったし、GKが来ても勝てると自分のなかでもあったので、思いっきり飛ぼうと心がけて飛んだ」と得点シーンを振り返った。

 本職はCBだが、高校選抜では右SBとしてプレーをした。「出れるならどこでもいい。出て結果を残してやろうという気持ちがあった」(池戸)。対する相手はヴィッセル神戸U-18の1、2年生チーム。ヴィッセル神戸伊丹U-15出身の池戸には縁が強く、相手のスタッフ陣や選手にも顔見知りが多くいたという。

 序盤は神戸U-18にペースを握られるも、高校選抜も次第にチャンスを作る。それでもスコアレスで前半を折り返し、後半も拮抗した展開が続いた。

 試合が動いたのは後半36分。途中出場のMF太田隼剛(市立船橋高3年)が左CKを蹴り上げると、敵陣PA内で選手たちが走り込む。「(PAに)入る選手で入る場所を決めていた。僕はファーに入ると思っていたら、隼剛がいいボールを上げてくれた」。ファーサイドのゴールぎりぎりのところで池戸がヘディングシュート。ゴールネットを揺らし、待望の先制点を奪った。

 得点を決めた後、ゴール裏で仲間と喜びを共有した。さらにその後には思い出したようにゴールパフォーマンス。取材陣から「マイケル・ジャクソン」「カズダンス」と声が挙がるなか、正解はお笑いコンビ・ダイアン津田篤弘さんのギャグ「ゴイゴイスー」だった。

「この遠征でずっとゴイゴイスーを一発芸でやっていて、決めたらやろうと思っていた。気持ちよすぎて忘れていたんですけど、あっと思って急いでやりました」。仲間に黙ってやったポーズだが、ベンチに向かうとチームメイトも「ゴイゴイスー」ポーズをしてくれたという。短期間で紡いだ絆の強さに、池戸は笑みを浮かべていた。

 池戸の活躍に目を細めていたのは、池戸を京都橘高でも指揮する日本高校選抜監督の米澤一成監督。試合後の会見では「いまの立場と高校の立場、両方の重みを感じていたので、本当にがんばって…というお願いに近い状態でした(笑)」と本音を語る。

 指揮官は本職CBの池戸にSBをトライさせた。直前の練習試合で大学生相手にもSBでプレー。「無難にやっていたので、ちょっと慣れてきたかなと。その慣れがよく出るか悪く出るかと思っていたが、いい方に出た」と教え子を称える。ゴールシーンは「彼の特長が出た」と力を込める。「ほかの190cm台の選手たちが囮になって、ちょうどうまくハマっていた」と狙い通りだったことを明かした。

 池戸は米澤監督への思いを語る。「僕は一発芸をするタイプなんですけど、監督が指名してくれたおかげで、みんなと関わりやすいキャラになっていた。最終的に試合で結果を残せた。監督にはめちゃくちゃ感謝しています」。京都橘での師弟の関係性だからこそ、高校選抜ではプレッシャーもあった。しかし期待に応え、高校選抜に6年ぶりの勝利をもたらした。

 高校選抜は今後、大学の地域別対抗戦デンソーカップチャレンジサッカーに特別参加。さらに3月下旬には欧州遠征でドイツに向かう。「デンソーで序列が変わったりすると思うので、自分の立ち位置を意識してしっかり守って、もっと上に行けるように。自分の成長につなげて最終的にはプロに行けたら」。来春からは大阪体育大へ。高校選抜を経て、さらなる成長を目指すつもりだ。

DF池戸柊宇が“ゴイゴイスー”を披露

(取材・文 石川祐介)
石川祐介
Text by 石川祐介

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