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[MOM4638]神村学園DF中野陽斗(1年)_声、際の強さを発揮。下級生CBが新生・神村を支える

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CB中野陽斗(1年=神村学園中出身)は最終ラインの中心で神村学園高を支え、無失点勝利に貢献

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.20九州高校新人大会決勝 神村学園高 1-0 大津高 白波スタ]

 DFリーダーと言えるような存在感があった。神村学園高(鹿児島2)が、プレミアリーグ勢対決となった大津高(熊本1)戦を1-0で勝利し、九州制覇。CB中野陽斗(1年=神村学園中出身)は最終ラインの中央で声を切らさず、集中した守りで相手の攻撃を封じ込んだ。

 前半から積極的なディフェンス。競り合いで良くアタックしていた。後半19分には、サイドを突破されてラストパスを出されたが、懸命に戻った中野がスライディングでクリア。その後もがむしゃらに前へ出て、ギリギリのタックルを決める。シュートブロックやセカンドボールのクリアなど最後の一歩を伸ばし、チームをピンチから救っていた。

 終盤、大津は10番MF嶋本悠大(2年)を前線へ上げて反撃を加速。だが、中野は「相手の10番が準決勝も3点取ってたり、ミドルもあるって聞いてたんでちょっと怖かったんですけど、そこで引かずに前でしっかりブロックできたのかなと思っています」と胸を張った。

 有村圭一郎監督も「中野、良かったですね。今回、凄く頑張ってましたね。ちょっとリーダーシップも出てきて、ファイトする回数も多くて、ちょっと責任感が出てきたかなっていう感じでしたけど、良かったですね」と評価する大会だった。

 本人によると、運動能力が特別高い訳では無いという。だが、「セルヒオ・ラモス選手とか、菊池流帆選手(神戸)を見ていたら、そういうプレーをしていたので」と影響を受けたCBは、力強い動きで一歩深く相手に寄せ、際の強さやボールへの執着心も発揮している。

 昨年は、1年生で早くもプレミアリーグWESTの先発を経験。国体鹿児島県選抜で主将を務めていた中野は今大会で先発を続け、チームを後方から鼓舞していた。「DFリーダーっていう自覚が全然なくて、この大会でずっと引っ張ってもらってたので。でも、準々決勝、準決勝と、先生たちからもっと声を出したり、自分からアクションを起こせるっていうことを伝えられて、『もう、やるしかないな』と。自分から声を出して指示したり、動かしたりしていました」。この声は自身の集中力を維持するための声でもある。

「自分、声止まってたり、声を出さなくなったらもう引いてミスばっかりしてしまってたんで、声を出し続けることを常にして、集中を切らさず、仲間にも伝えたり、いろんな指示出しながら、自分でもアタックしようっていう考えでやっていました。自分、結構集中切らすことが多いんですよ。日常生活も(笑)。親から、『集中が切れてるぞ』とか言われたりするんで、もう常に(アンテナを)張り巡らせながら、 そのために声を出し続けています」

 昨年は先輩たちに助けられることの多いシーズンだった。2年生となる今年は、自分が支える立場になる――。その思いを決勝で強く表現。「今年の代はもう自分から引っ張っていかないといけないなっていう自覚が少しずつ出てきたので、ディフェンスの真ん中として引っ張っていけたのかなと。自分はどちらかというと脇役というか、支えるポジションに今年はなるんじゃないかなと思っているんですけど、その支えるポジションでも一際声を出して、目立つようにしていこうかなと考えてはいます」と微笑んだ。

 もちろん、満足はしていない。「最後まで自分的にはできたんですけど、多分、まだ周りから足りないって思って頂いていると思うので、もっとやらないといけないなと感じています」。年代別日本代表入りを目指しているが、先輩たちの目標を実現することを重視。「(今年は)3年生の目指している3冠だったり、タイトルをまず取りに行くことと、自分からもっと声出したりしてチームを引っ張っていけるようになったり、支えたり、3年生をもっと輝かせるような存在になっていきたい」。指揮官も九州大会の収穫に挙げていた守備面の向上。チームにプレーと声で活力を加える1年生CBが、堅守の中心となって神村学園に多くの白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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