beacon

歴史的白星もたらす劇的ヘッド弾! 甲府10番MF長谷川元希「J2の代表として誇りに思う」

このエントリーをはてなブックマークに追加

決勝ゴールのヴァンフォーレ甲府MF長谷川元希

[10.4 ACLグループH第2節 甲府 1-0 ブリーラム・U 国立]

 ヴァンフォーレ甲府に劇的かつ歴史的なアジア初勝利をもたらしたのは、背番号10によるまさかのヘディングシュートだった。「本当に苦手なので自分もちょっとビックリしているんですけど……」。試合後、MF長谷川元希はやや戸惑い気味に、それでも誇らしさをのぞかせながら殊勲弾を振り返った。

 0-0で迎えた後半45分だった。右サイドでスローインを受けたFWクリスティアーノから鋭い軌道のクロスボールが送り込まれると、長谷川はファーサイドに飛び込んだ。「対峙するSBの選手が低かったので得意なプレーではないけど叩けると思った」。ハイジャンプから完璧に頭で合わせ、11802人の観衆が詰めかけた国立が歓喜で沸いた。

「時間帯もあったし、試合展開もあったのですごく気持ちよかった。リーグ戦とは違った喜びがあった。ACLは本当に楽しいなと思った」

 昇格争いを繰り広げるJ2リーグと同時並行のため、主力の長谷川はこの日がACLデビュー戦。後半13分からの投入だった。「外国の方々とプレーするというのは自分にとっても貴重だし、なかなかないこと」。そんな長谷川はピッチに立った直後、相手の激しいタックルを受けながらもノーファウル判定という“洗礼”も受けた。

「審判の基準がちょっとわからないのでイラッとしたけど、それで倒されない体になればいいと思った。だいたい基準はわかったし、僕自身は本当にACLを勝ち抜きたいと思っているので。一つの判定で入れられたら難しい局面になるので、審判の基準はより意識してやりたいと思った」。アジアの基準にもアジャストしながら、冷静にプレーを続けた結果の大仕事だった。

 またJ2リーグでの戦いに比べ、自身の良さを出せるという手応えも得た。「日本人と違って守備はサボり癖もあるし、守備のところできっちりはしていない。日本のほうがブロックを作って潰されたりする。最後に身体を張るところは張ってくるけど、僕としては今日のほうがやりやすかった。攻撃の選手としてはJリーグのほうが嫌だなと思った」。その自信は今後の戦いでも活きてきそうだ。

 自身の活躍でもたらしたACL初白星。「J2でACLはなかなかない。天皇杯で優勝しないとできない。J2の代表として誇りに思っているし、甲府の1勝とJ1クラブの1勝では価値が違うと思う」。そう力を込めた長谷川は「残り4試合全部勝つ気でいるし、突破できたら新たな歴史が生まれる。それができると信じている。J2という中でリーグ戦と並行しながらだけど、それを証明していければと思っている」とグループリーグ突破に決意を示した。

(取材・文 竹内達也)
●ACL2023-24特設ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

TOP