beacon

劇的弾”起点”の甲府主将DF関口正大、歓喜の輪に加わらなかった理由「全員行っちゃうと雰囲気的に…」

このエントリーをはてなブックマークに追加

サポーターに挨拶するDF関口正大

[10.4 ACLグループH第2節 甲府 1-0 ブリーラム・U 国立]

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で歴史的な初勝利を掴んだヴァンフォーレ甲府。鹿島に移籍したDF須貝英大に代わって今季途中から主将を務めてきたDF関口正大は、今季のホームゲーム最多となる1万1802人が集まった国立のムードに感謝した。

「試合前にああいうスタジアムの雰囲気を作っていただいて、ヴァンフォーレ甲府のファンじゃないサポーターも来てくださっていたので、日本を代表して戦う責任と、それを結果で示そうというのはチーム全員に共有していた。それが今日の結果につながってよかった」

 Jリーグによると、この一戦ではリーグ戦の国立開催試合のような無料集客施策は行っておらず、ほとんどが有料入場者。甲府は他クラブのサポーターも歓迎する積極的なプロモーション施策を行ったことも前向きに影響し、入場者数はグループリーグ第1〜2節のホームゲームで浦和、川崎F、横浜FMが記録した数字をいずれも上回った。

 関口自身は後半45分、相手のスキを見逃さない素早いスローインでFWクリスティアーノにボールをパス。MF長谷川元希のヘディングシュートの起点となっていた。「クリスはロングスローがあるので中に入れるかなと思ったけど、クロスでも速いボールを入れられるので、速くやったほうがいいかなと思って入れた」。冷静な振る舞いで決勝ゴールの影の立役者となった。

 そんな関口はゴール直後も冷静だった。長谷川の周りに歓喜の輪ができ、篠田善之監督までダッシュで走り寄る中、MF中村亮太朗と2人でセンターサークルに待機。「僕も行きたかったんですけど、全員行っちゃうと雰囲気的にフワフワしちゃうかなと。真ん中で聞いていてもすごい歓声だったし、ファン・サポーターの気持が乗ったシュートだったかなと思う」。静かに国立のムードを味わっていた。

 試合後のロッカールームでも浮かれず、課題と収穫を共有しあっていたという。「前節の水戸戦でも先制点を取られて苦しい時間があったし、今日もセットプレーも続いて苦しい時間もあったけど、そこは全員で乗り越えられたのが収穫。ただ自分達の時間をもっともっと増やして、あとは最後の4分の1の攻撃の部分で決定的なチャンスをもう少し作りたいという話はした」。J2の地方クラブが掴んだアジア初勝利。その中心には揺るがぬ主将の存在があった。

(取材・文 竹内達也)
●ACL2023-24特設ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

TOP