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[Jユースカップ]ダービー制した横浜FMユースが準決勝へ!

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[11.25 Jユースカップ準々決勝 横浜FMユース 1-0 横浜FCユース 万博]

 2012年Jユースカップ第20回Jリーグユース選手権大会準々決勝が25日、万博記念競技場で行われ、今夏の日本クラブユース選手権(U-18)大会準優勝の横浜F・マリノスユースと横浜FCユースによる「横浜ダービー」が行われた。後半29分にFW伊東海征のヘディングシュートで先制した横浜FMが1-0で勝利。来月22日に行われる準決勝へ駒を進めた。

 試合後、松橋力蔵監督が「内容があれですね。色々、戦ってきた中で少しも良さが出せなかった試合。前半にパッとみた時に2トップの動きが悪いのが分かった。戦術的な要素というより、精神的な要素で彼らがどれだけ我慢強くできるかだと思っていた」と振り返ったように横浜FMにとっては決して楽な試合ではなかった。2回戦で対戦した鹿島ユースはこれまでずっと勝てなかった相手。先制されながらも、残り11分からの2ゴールで何とか勝利したが、熱戦から中1日の疲労が選手たちの足を止めていた。

 序盤からペースを握ったのは横浜FC。DFラインから丁寧に繋ぎ、中盤に入るとテクニックと速さを備えた河野稜磨田中舟汰郎の両サイドが石井圭太、高徳勇徳のダブルボランチのサポートを交えた小気味良いドリブル突破でサイドを侵略。ゴール前にそびえるU-19代表、FW木下康介に繋ぐも、横浜FMはボランチの喜田拓也を中心に守備陣の距離感をうまくとりながら、グループで対応。仕掛ける選手に行く選手、カバーに入る選手、それぞれがコーチングの中で役割を明確にした。これによって、「攻めてこられても、前がうまく対応してくれたので安心していられた」(GK田口潤人)と、押される展開ながらも、失点せずに前半を上手く凌ぎきる。

 後半に入ってからは徐々に横浜FMペースへと傾き始め、3分にはDF上野海のロングフィードから抜け出した伊東が、7分にはドリブルで前へ持ち込んだMF新里涼がシュートを打ったように、得点にはならなかったものの、少しずつゴールの匂いが漂い始める。

 ただ横浜FCも負けてはいない。25分、右サイドを上がったDF剣聖矢が中へクロス。PA左で木下が頭で合わすシュートは惜しくも右ポスト。そして29分、ギリギリの所で耐えた横浜FMに歓喜が訪れた。自陣で相手攻撃陣を防ぎ、前線へクリア。引いていた途中出場のFW深澤知也が後方へと落とし、受けた喜田が素早く左のスペースへと展開。DF飯塚澄がドリブルで抜け出すと、クロスを上げる。ゴール前にはフリーの伊東。「合わせるだけだった」という完璧な崩しを落ち着いて頭で合わせて先制点をゲットした。

 この1点が決勝点となり、横浜FMが勝利。決して、内容的に良かったわけではない。それでも、松橋監督が「こういうゲームも必ずあると思うんで、いつも出来ている戦い方が出来ない中で、粘り強く戦い、我慢できたことが結果に繋がったのかなと思う」と振り返ったようにこの一勝の価値は大きい。

「春は大変だなと思っていた」(松橋監督)と、今年のチームは決して前評判が高かったわけではない。プリンスリーグでも序盤は勝てない試合が続いたが、トップ昇格を決めた喜田を中心にチーム全体が切磋琢磨することで成長。クラブユース選手権で躍進を果たしたが、準優勝と栄冠まで後一歩が届かなかった。それだけに期する思いは強い。「夏は悔しい思いをしたし、今回このカップ戦を取りたい」。伊東はそう誓う。頂点まで後、2つ。今日の苦しみはきっと力になっていくだろう。

[写真]後半29分、待望の先制点に横浜FMの歓喜の輪が広がる

(取材・文 森田将義)
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