[7.6 J1第14節 甲府0-1浦和 国立]

「いままでにない感じ」。浦和レッズのMF柏木陽介は終止ボールを支配しながら試合を運べたことに確かな感触を得ていた。後半38分まで無得点が続いたが、それでも「焦らずに行こうとみんなで話して、チームで意思統一ができていた」と自信を覗かせた。

　それでも反省点はある。ヴァンフォーレ甲府は、浦和に先制点を許すと、試合終盤は1点を返すためにバランスを崩して攻めに出た。ボランチへとポジションを下げていた柏木のミドルレンジが活きる試合展開。実際、柏木がチャンスを演出。柏木のの縦パスからMFマルシオ・リシャルデスがGKと1対1を迎えたがシュートはGK河田晃兵に阻まれてしまった。さらに、FW興梠慎三の縦パスにMF原口元気が抜け出しまたもGKと1対1になるが、今度はゴールポストに弾かれた。「2点目を取れればチームが楽になる。アシストつけたかったし(苦笑)」。追加点を奪えていれば試合を決められる時間帯だっただけに、止めをを刺せなかったことを悔やんだ。

　ドリブルで浦和のパスサッカーにアクセントをつけていた原口だったが、決定機を逃し、その直後にも集中力を欠いたプレーをしてしまい後半アディショナルタイムには交代を命じられた。「メンタルも体力も最後やられました……。勝ったのはよかったけど、(ゴールを)決めてチームを助けれれば」。若きエースも反省点を語っていた。

　たしかに決定機を決めきれなかったが、0-0で終わりそうだった試合で勝利を引き寄せられたことは大きい。「こういう試合でいつも負けていたので、強くなった証明……」と一度は手応えを口にした柏木だったが、すぐに訂正した。「強くなっている途中。強くなった証明は優勝してから」。首位を走る大宮アルディージャがサガン鳥栖と引き分けたため、勝ち点差は「3」に縮まった。06年以来7年ぶりのJ1制覇へ、浦和のダイナモは走り続ける。

(取材・文　奥山典幸)