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フットサル代表デビューを控えるFPカズ「僕はみんなに引き上げてもらうだけ」

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 フットサル日本代表は23日、フットサル・ブラジル代表戦に向けた前日練習を代々木第一体育館で行った。愛知合宿に引き続き、守備の確認と速攻の入り方を確認し、最後はセットプレーでの守り方を徹底した。

 世界王者との対戦で、フットサル日本代表としてのデビューを飾ることになるFP三浦知良(横浜FC)は「世界一のブラジルと最初から戦えますが、自分自身は初めてなのでね。全力を尽くすだけ。考え過ぎず、でも、しっかり考えながらやるだけです」と、静かに意気込みを語った。

 ブラジル代表の選手たちは、口ぐちに45歳で日本代表として第一線でプレーしているカズに対する脅威を口にしたが、カズは「45歳っていうだけで、脅威は感じてないと思いますよ(笑)。年齢っていうのは、数字で固定観念やイメージがあると思うんです。でも、ピッチに立ったら、年齢は関係ない。とにかく偉大なるセレソンですから、思い切ってやるだけ」と、全力を尽くすことを誓った。

 そこには、自分は主役ではないというカズの想いがある。カズの日本代表招集が決まってから、前例のないほどの多くの報道陣がフットサル代表の練習に詰めかけるようになった。だが、カズは「ここではエースでもなんでもないですから」と、サラリと言う。そして「(フットサル界で)先頭に立ってやってきた人たちに、引っ張ってもらいたいし、僕も引き上げてもらいたい」と、チームメイトたちへの期待を続けた。

 全体練習終了後も、カズは第2PKの練習を続けた。「やっぱり蹴るスペースというか、角度というか、ボールが入るところが少ないので、本当に良いコースを通るか、運もないとダメだなと思う」と、フットサル特有のセットプレーの難しさを口にした。ゴールを守ったGK冨金原徹(デウソン神戸)にアドバイスを求めるなど、一人の選手として、出来る限りの準備をしている。それでも、「そこまで(GKとの)駆け引きに手応えを得るまでの感じでは、全然ないので、(第2PKは)蹴らないです(笑)。他に蹴ることのできる人は、いっぱいいますから」と、一歩引く姿勢を見せた。

 練習の最後に日本代表は、円陣を組み、しばらくの間、何かを話していた。その内容について聞かれたカズは「なんか言っていましたね。3つくらい」と、忘れたフリをして、ミックスゾーンを通り抜けて行った。それは『長年フットサル代表でプレーしている選手たちにも、話を聞いてあげてください』という、メディアに対する彼のメッセージだろう。フットサルの普及のために一肌脱いだカズ。キングの心意気に、フットサル日本代表の選手たちは、どう応えるか。

(取材・文 河合拓)

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