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[フットサルW杯2012]11/11 ウクライナ戦後ミゲル監督コメント「次のステップは国内リーグのレベルアップ」

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[11.11 フットサルW杯2012 ウクライナ6-3日本 フアマーク]

 フットサルW杯は11日、大会10日目を行い、フットサル日本代表はフットサル・ウクライナ代表と決勝トーナメント1回戦で対戦した。前半に6失点を喫した日本は、後半に入りパワープレーから3点を返したが、力及ばず、3-6で敗れている。試合後、ミゲル・ロドリゴ監督は「世界のトップ7、トップ8の国と渡り合うためには、国内リーグのレベルを上げることが必要」と語り、継続的な支援を求めた。

以下、試合後のミゲル監督コメント
●FPミゲル・ロドリゴ監督
「ポルトガル戦と同じような問題を抱えたゲームでした。追い付いてもおかしくない展開でしたが、残念だったのは前回のようには追い付けなかったことです。これは日本的な問題かなと思います。最大の責任感、最大のストレス、そういったシチュエーションに置かれたときに、ブロックしてしまう。ウォーミングアップをしていたときに、話かけても、奇妙な静けさでやっていました。更衣室に戻っても不思議な静けさが漂っていて、コーチと2人で『何かイヤなにおいがするね』と話していたんです。もちろん、コーチングスタッフとして、リラックスさせて『そんなに責任を感じずに楽しんで入ろう』という言葉を掛けて来たのですが、いずれにしても、その辺の今何度も繰り返されているこういうゲームは、この先何年間かの課題になることかなと思います。ただ、今日の後半は忘れたくありません。自分の生まれ育ったスペインには『負けるにしても、立って死ね。ヒザを付くな』という考え方があるのですが、今日は立ったまま、誇り高く、リスペクトを去れるような状態で敗れたと思います。今日、そういうゲームができたことは大事だったと思います」

―選手のコンディションが悪いように見えたが、昨日の練習回避の真相は?
「そこについてはこの前も話した部分でもありますが、これだけ強度の高いゲーム、ゲームインテンションの高いゲームを連続的にやることは、Fリーグでも体験できないことです。選手たちは慣れていません。さらにラファエル、高橋健介がいない、稲葉洸太郎は退場になる。心理的にも、フィジカル的にも、耐えきれる逞しさはまだついていないということですね。そこは改善、向上していかなければいけません。世界のトップ7とか、トップ8に入る国々と渡り合うには、国内リーグのレベルも上がらないといけませんし、午前、午後の2分練習が当たり前という環境も必要です。ただ、忘れてほしくないのは、ここまで来たことは素晴らしいこと。これは私たちのやってきた仕事の成果です。フットサルの次のステップは、国内リーグのレベルを上げること。そこについても全力を尽くして、これまでもやってきましたし、今後も携わる機会があれば、やっていきたいと思います」

―GK冨金原選手を出したのは?
「パワープレーの時間が長いと考えたときに機動力の高い冨金原選手の方が、交代はスムーズだと思いました。あとスローの部分に冨金原はメリットがあります。それを想定してやりました」

―パワープレーでカズ選手が起用されたが?
「出られない選手、退場になった選手がいたことで、必要になった決断でした。でも、それは良かった、吉と出たと思います。もう2、3点入ってもおかしくない状況をつくりました。相手のファインプレーやポストに当たって、残念ながら入りませんでしたが、勢いはあったと思います。チャンスをつくるのは、簡単なことではありません。今日の後半は、みんなあの状況を超越して、力をもう一回出したという意味で素晴らしいことです。もちろんホームの雰囲気をつくってくれたサポーターのみなさんも、スペクタクルなゲームに貢献してくれたと思いますし、その点では100点満点たったと思うし、感動しました。ちょっと一瞬、ポルトガル戦のようになるかな、と頭をよぎるような、そういう雰囲気もありましたが、惜しかったです」

―最後の円陣ではどんな話を?
「今日の試合を振り返ってHTまでは、みんなひざまずいていた状態だったが、後半は立ち上がって男らしく戦えていた。今日、ここまでに達成したことは間違いなく、歴史的なこと。ここでみんなが築き上げてきた友情、ファミリー感、これはきっと生きている間、崩れることはない。非常に強い絆が築けたのではないか。こういう素晴らしい部分を褒め称えたいという話をしました」

―監督にとってどんな大会だったか?
「みなさんのリスペクトを勝ち得る仕事ができたかなと思います。アルゼンチン、ブラジル、スペインの新聞の記事に目を通しても、みんな日本代表のことを書いています。最も伸びたチーム、ピッチでもっともエキサイティングなプレーをするチーム、面白いチーム、勇敢にプレスを仕掛けるチーム、モダンなスタイルのチームだと報じられていました。自分もそうだと思いますし、歴史に残る大会にできたんじゃないかなと思います。もっと、より強い、より強固なフットサルの家を築き上げていくための礎石を築くことができたと思います」

―8強進出に必要なものは?
「繰り返しになりますが、さらにレベルの高いFリーグ、指導者の養成が盛んになり、よりトレーニングされた知識の豊富な指導者が出てくること。優秀な外国人選手の参入、子供の頃からフットサルをプレーする日本人選手の排出。あとはメディアのみなさんのサポートです。みなさんが取り上げて報道してくだされば、スポンサーが集まる可能性は高まりますし、スポンサーが集まれば経済的にいろんな活動が可能になる。活動が増えれば、レベルが上がります。ですから、今回のW杯だけじゃなく、W杯が終わっても、Fリーグがあります。そこでもフットサルに紙面なり、スペースを割いていただいて、フットサルを忘れないでほしい。今日の前半は、本当に残念な、良くない前半を見せてしまいましたが、後半の希望有る素晴らしいプレー、逞しいプレーを忘れないで締めくくりにしてほしいと思います」

―日本は今どこにいるか。10段階で、数字でいうと?
「メンタルな部分、モチベーションコントロールに大きな課題を抱えています。そこはまだ10点満点で5点くらいかなと。ただ、プレーのレベル自体は、なかなかどこでもできることではないものを見せたと思います。たら、れば、の話ですが今日、逸見ラファエルと高橋健介がいればまったく違うゲームになったでしょう。ただ、戦術的に向上する余地はあると思うので、点数を付けるのは難しいですね。ゲームによって浮き沈むも多いので、そこを評価するのは難しいので」

―先ほどの日本的な問題はどう解決する?
「学校教育を含めた、社会に根付いた精神文化が限りなく一体化していると思います。自分たちの責任に捉われないで、自立して決断することに慣れているとは言えないと思います。それはスポーツにとって大きな問題です。たとえばこういう戦術的なプランを立ててやりましょうとなったとき、現実的に当てはまらなかった。そのときに戸惑わないように、子供の頃から、少なくともスポーツの活動においては、そういうことがないように、スポーツのトレーニング環境、指導は変えていかないといけないと思います。今日のパフォーマンスで言えば、どうにもならない疲労を抱え込んでいたことが間違いありません。ブラジル、ウクライナ、ブラジル、ポルトガル、リビアと対戦し、マラソンの最後の1キロ、2キロという意識だったと思います。まだ日本の選手のフィジカルレベルは、そういうタフなゲームに連続的に耐えることは難しいということだと思います」

(取材・文 河合拓)

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