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[フットサルW杯2012]11/11 ウクライナ戦後 FPカズ選手コメント「本当の意味でチームを引っ張れなかったのが悔しい」

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[11.11 フットサルW杯2012 ウクライナ6-3日本 フアマーク]

 フットサルW杯は11日、大会10日目を行い、フットサル日本代表はフットサル・ウクライナ代表と決勝トーナメント1回戦で対戦した。前半に6失点を喫した日本は、後半に入りパワープレーから3点を返したが、力及ばず、3-6で敗れている。試合後、FP三浦知良(横浜FC)は、「あらためて日本代表の、日の丸の重みを感じてプレーできたことは、素晴らしい経験をさせてもらったなと思います」と、大会を振り返り、「今後もフットボールファミリーの一員として協力したい」と語っている。

以下、試合後の三浦知良選手コメント

●FP三浦知良(横浜FC)
―あらためて、この長い挑戦を終えて?
「長くないんじゃないですか? あっという間だったんじゃないですか? この約1か月間、自分なりにあらためて日本代表の、日の丸の重みを感じてプレーできたことは、素晴らしい経験を、またさせてもらったなと思います。『日本代表というのは重いなぁ』というのは、あらためて感じました。当然、フットサルの競技の厳しさも知りましたし、楽しさも、面白さも経験できました。自分にとっては素晴らしい仲間も、またできましたので、本当に良い経験をさせてもらいました。ただ、決勝トーナメントに進出するということが目標でしたけど、いざ本当に突破して、ベスト8へという気持ちで今日はここに立ったのでね。それは本当に残念です。ここまで3年半、ミゲル監督とやってきた選手、この前も言いましたけど、仁部屋(和弘)と滝田(学)、今日ピッチに立てなかった(逸見勝利)ラファエルと、ケガで出られなかった(高橋)健介、みんなに感謝したいなと思います」

―ご自身で力になれた、良い効果があったと感じることは?
「どうですかね。自分が何をしたかというのは、今の時点で自分が言えることではないので、それはみなさんが評価してください。何ができたか、何ができなかったか。チームにどういう影響をもたらしたか。フットサルにどういう影響が出たか。そういうことはみなさんに判断してもらいたいですし、みなさんが言うことであって、僕が自分で言うことではないと思います。ただ、僕自身は少しでも力になりたいと思ってきましたので。そういう意味で、こうやってメディアのみなさんもたくさん集まってくれて、フットサルをみんなで盛り上げてくれた。そのことには本当に感謝しています。僕が来ただけではダメだと思いますし、みなさんがこうやって集まってくれて、フットサルというものを取り上げてくれたことが、フットサル界にとって大きいと思います」

―試合終了の瞬間はピッチにいましたが?
「プレーヤーとして悔しい。まぁ僕以上にずっとやってきた人には、もっといろんな思いがあると思います。何とかベスト8にいきたかったなと。僕が自分の力で(ベスト8に)連れていくというのは難しいと思うんですけど、そういう舞台に、みんなで行きたかったなという気持ちは、終わった瞬間にありました。でも、後悔はしていません。今日負けて、今回、日本のフットサルW杯2012は終わりましたが、日本のフットサルにとっては、今日からまた新たな出発だと思います。ここからまたどういうふうに、何をしていかなければいけないかというのも、こういう経験をすることで分かることもあると思います。本当にグループリーグは厳しかったと思います。対戦相手を見ても、3連敗で終わっていてもおかしくなかったと思いますし、世界の本当のトップが2チームもいるわけです。その中で4ポイント取るのは本当に大変なことだったと思う。そういう経験、自信というものは、今日からまた続いていくフットサル界にとって大事にしていってほしいというか、次につなげていってほしい。今日から2016年のワールドカップに向けて動いて行かなければいけないんじゃないかなと思います」

―最初は不安だと言っていましたが、この1か月で心境の変化はありましたか?
「それはいろいろありましたよ、言いませんけど(笑)。ただ、本当に日の丸の重みを、久しぶりに大きく感じながら、代表というのはこういうものだなと自分で感じながらずっと過ごしてきて、それはとても自分を成長させてくれたんじゃないかなと思います」

―自分が代表の中でやろうとしたことは、全部できましたか?
「グループリーグを突破するというのが、最低のノルマとして掲げていました。そのために、自分の中ではチームの雰囲気をポジティブなものにして、何とかそこに行きたいと思っていた。それは手助けできたかなと思います。ただ、さっきも言いましたが、参加することで、この競技の、フットサルの厳しさとか、ここはフットサルのトップが集まる世界の大会ですから。これは本当にエクスキューズでも何でもなく、自分には経験が足りな過ぎると思います。そういう意味では、ピッチ内で自分が選手のメンタルな部分では引っ張れても、戦術的な面で『おまえ何でそこにいかないんだ』とか、『ここ何でカバーしないんだ』とか、『そこは上がってくれよ』とか、戦術的な指示ができないんですよね、僕には。それは自分としては情けない気持ちと、チームのみんなも『しょうがない』『そこまでできる人はいない』って言ってくれるんですけど、自分としては、サッカーをやってきて、サッカーだったら何でも言えるじゃないですか。劣勢の局面、良い時の局面、『おまえここに走れ』『おまえここに来いよ』『何でそこにいるんだ』って言えるけど、フットサルの場合は、自分がそこまで行きつかなかったので、本当の意味で自分が引っ張るということをできなかったことが、自分自身、悔しいです」

―戦術的な面まで監督も、そこまでは期待していなかったのでは?
「自分はそこまでいきたかった。けど、やっぱり難しかったです。ベンチにいる時も、常にサブのGKの選手たちに、いろんな状況を聞いて『こういう時はどうするんだ』とか『今のはあれでいいのか』とか、そういうことを聞きながらやっている状態でした。そりゃそうですよね、僕は一番最初の試合がブラジル戦でしたから(笑)。Fリーグで30試合も40試合もやっていたわけではないですし、代表戦をみんなと10試合も20試合もやっているわけでもありません。僕のデビューはブラジル戦でしたから。まあエスポラーダでは(Fリーグの)1試合をやっていますけど、ブラジル戦のあの代々木がぶっつけ本番みたいなものですから。最初から世界チャンピオンとやったわけですから、次はもっとうまくいくかなと、甘い考えをちょっとしていますけど(笑)」

―次ですか?
「次って、例えば、またエスポラーダでやったら、仕切ってできるかなって(笑)。でも、そんなに甘くないですよ(笑)」

―サッカーに生かせそうなテクニックや動きはありましたか?
「テクニックの上達は、急にうまくなることはないですが、自分の動きを最初の頃の動きと今の動きを比較してビデオで見せてもらうと、ステップの仕方とか、相手の攻めになった時のDFの対応とかは、確かに良くなっている。パッと見た感じ、だいぶ違和感なくできるようになった。そういうのはサッカーにも十分、生かしていけるのではないでしょうか。局地戦の部分で。まぁ、僕はまたこれから帰りますから。横浜FCはまだプレーオフが残っていますので。まだ、この時期には帰りたくはなかったですけど、明日帰りますから。どれくらい、それが生かせるかは楽しみです」

―4年後に向けて新たな出発と話していましたが、カズさんご自身は?
「4年後ですか? 無茶苦茶なことを言わないでくださいよ。生きているか分かりませんよ(笑)」

―先ほど、ここが出発点だと言っていましたが、どう貢献を続けていく?
「どうなんですかね。やっぱり今まで支えてきた人たちが、リーダーシップをとってやっていくべきだし、今回、本当に最初にキャンプに入った時から、毎日のように行き帰りのバスや食事の時でも『どうしたらフットサル界が良くなるのか』という話を、本当に木暮キャプテンをはじめ、みんながしているんですよ。それはもう、いろんなことをみんな思っていますし、僕も意見を言いました。そういうことが話し合えて良かったなと思います。来年はアジア選手権もないですし、代表戦が予定されているのは5月。それでははっきり言って遅いと思うんです。早く代表戦を、この熱の中で、日本で見せることが必要だと思う。でも、日本で対戦相手を呼んで試合をやることは、なかなか難しいようですし、それは協会の仕事ですけど、現場レベルでは、そういう強化試合がこういう大会が終わったあとにほしい。サッカーのA代表だったら、W杯が6月に終わったら、8月ぐらいには新体制が決まって、新しい監督の下で次のW杯を目指すというふうになるじゃないですか。W杯から1か月半ぐらいで。それがフットサル日本代表は11月にW杯が終わって、次の活動が5月まで何もないっていうのは、ちょっとどうかなと。これは現場の意見ですよ。でも、それだったら、今月中、もしくは来月の早めには監督をミゲルさんにするのか、どうするのか、新体制を決めて、1月にはお披露目の試合を1試合でも2試合でもやるべきじゃないかなと。これは代表選手の望みでもあると思う。Fリーグができて6年経って、外国人選手がたくさんいる中で、こういう成績を残せたということもあると思います。Fリーグができたから、外国人を相手にできるようになり、日本に来ているリカルジーニョとかのプレーなんかも常に見ているから、そんなにW杯でも驚かない。世界のトップの人が日本にいるわけですから、そういうのも良い効果があると思うので、そういうことも続けていくべきだと思います。代表が良くなるため、フットサルが良くなるために、みんなとはいろんなことを話しました。今言った、代表のこともそうですし、Jリーグのチームがフットサルのチームを持つようになるのもいいのではないかとか。全チームではなくても、同じチームで、同じユニフォームで、同じサポーターが来てくれるとか。そういうつながりは、ヨーロッパにも、南米にも、ある。パルメイラスも、サンパウロも、コリンチャンスも、みんなフットサルのチームを持っていますから。そういうJリーグとのつながりをもっと持つチームが出てきてもいいのではないかなと思います。いまは同じ地域にあっても、あまり連係がないようですので、共通のチケットをつくるとか。いろんなアイデアをみんなで本当に毎日話していました。帰りのバスの中では隣の木暮(賢一郎)とそんな話ばかりしょっちゅうしていました」

―フットサル人気を維持するためにも、Fリーグの試合に出るとかは?
「実際に今回やってみて、だいぶ違うことが分かってきたので。Fリーグはエキシビションマッチではないので、僕がエキシビションマッチのような雰囲気で出ていってもいいのかって。僕がサッカー選手でいる間、(フットサルと)両方プレーすることの難しさも今回すごく感じました。最初にフットサル日本代表合宿に参加して、サッカーに戻って、また合宿に参加して、サッカーに戻ってというのを2回くらい繰り返しましたけど、それは本当に大変だと思います。それは僕が45歳だから大変なのか、25歳だったら楽だったのか考えるんですけど、ちょっと分からない(苦笑)。でも、選手としては休みもなくなるし、両方を長期間やるっていうのは、難しいんじゃないかなって思いますね。Jリーグの選手も(Fリーグに)参加してはどうかっていうのは言われていますけど、両方をちゃんとやるっていうのは、大変かなと。相当、理解がないと大変かなと。例えば横浜FCにフットサルチームがあって、同じ地域で練習をしていれば、もうちょっと楽なのかもしれません。両チームのつながりがすごくあれば。まったく違うチームにっていうのは、ちょっと難しいかなと思いますね。ケガの面だったり、保障のことだったりね。同じチームだったら、割とそれはやりやすいと思うんですけど。僕はトレーナーを連れて来ていますから、常に横浜FCに自分の体調を伝えていますけど、全然違うチームに参加してしまうと、僕は連れて行きますが、連れて行けない選手も出て来るでしょうから、そういう問題も出てきます。Jリーグの選手が、Fリーグに出るっていうのは、やろうと思えばできますよね、僕は1試合限定で出ていますし、そういうことはできるんですけど、それがフットサルにとって、良い方向につながるかというのは、正直言ってわかりません。そのときはワーってなるかもしれませんが、継続的に良いことなのか。フットサルの選手に対して、失礼になるような気もするのでね、その時だけっていうのは。エスポラーダは横浜FCとの関係が強いので、そういうことでも僕は出場しやすかったですけど、エスポラーダの監督も選手も受け入れてくれたし、ケガのことも含めて、共通で見てくれる人が上にいたので、あの1試合はできました。だから今回、ベスト8、ベスト4に行っていたらね、もっとフットサルがね…。それはちょっと残念ですね。そういうことが一番早いんじゃないですかね、変えるには。やっぱり世界大会で結果を残すことが一番早いと思う。今回は、本当にチャンスだったと思います。最初の目的は達成しましたけど、本当はベスト8、ベスト4ぐらいに行けば、またさらに変えられるチャンスがあったような気がします」

―0-6のままで終わっていたのと、後半に3点を取ったのは違うと思いますか?
「違うと思いますよ、それは全然」

―試合出場以外でフットサルに何か関わり合いを続けるというのは。
「FリーグCOO補佐の補佐ですかね、北澤(豪)『さん』の下で(笑)。でも、言ってもらえれば。僕からアイディアを出すというよりも何か必要なことを言ってもらえれば、こうやって仲間もできましたし。何か協力できることがあれば、どんどん言ってほしいです。まぁ、フットボールですからね。フットボールファミリーとして、本当に協力をしていきたいです」

―今日は横浜FCの結果はわかっていた?
「わかっていました。監督とも、選手とも話をしました。電話がかかってきて、出られなくて。掛け直して広報に。そのときに監督もいて」

―明日の飛行機は?
「わかりません。メディアのみなさんは、タイでゆっくりして行ってください(笑)」

―今日カズさん泣きましたか?
「泣けなかったです。それは自分の中で泣かないぞと思っていたので。もっと上に行ったら泣きたいなと思っていました」

(取材・文 河合拓)

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