beacon

[フットサルW杯2012] FPカズ「フットサル界の夢は、僕の得点じゃない」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11.4 フットサルW杯2012 ポルトガル5-5日本 コラート]

 強豪ポルトガルを相手に、2-5と前半でリードをされながらも、後半にパワープレーから3点を挙げて、5-5の同点に持ち込んだ。決勝トーナメント進出のために、勝ち点獲得が求められた一戦で、フットサル日本代表は見事に結果を残した。その試合直後、指揮官はある選手の元に歩み寄っていた。後半、全く出場機会のなかったFP三浦知良(横浜FC)の元である。

「あの時間帯はスペシャリストしか使える状況ではなかった。だから、『試合に起用出来なうて申し訳ない』。そう謝りに行こうとしていたんだ。でも、カズはそれを察して自ら『そんなことは気にしないでくれ。フットサルファミリーのために、ベストな決断をしてほしい』と言ってくれた」と、指揮官は語り「このチャレンジの大きさに値する、フットボール界の生ける神だ」と続けた。

 指揮官が勝つために決断を下すことは「当然のこと」とカズは言う。

「僕はフットサルについては経験していない。パワープレーとか、ひとつでもかみ合わなければ、すぐ1点を入れられてしまう。これだけはまることはなかなかないって、みんな言っていました。僕はW杯2試合目で見れましたけど、監督も『フットサル人生で、パワープレーがここまでうまくいったのは見たことがない』と言っていましたからね。自分の役割は分かっていますから。なんで呼ばれたのかも含めて。みんなを盛り上げていかないといけない。出場時間が1分でも、2分でも、出ても、出なくても、後半試合に出なくても、役割はわかっているつもりです。それが自分の仕事ですから。次の試合に勝って、決勝トーナメントに行くことがフットサル界の夢。フットサル界の夢は僕が得点を挙げることでも、出場時間を長くすることでもない。僕が来たことでチーム力が上がり、予選を突破することが夢ですから。その一部にならないといけない」

 史上初の決勝トーナメント進出に大きく前進したフットサル日本代表。ただし、次のリビア戦に勝たなければ水泡と帰す。チームの精神的支柱となっているカズは、チームを引き締めるはずだ。

「次の試合でだらしない試合をしたら、この1ポイントが小さなもの、意味のないものになってしまいます。この大きな1ポイントをもっと大きくできるように、次のリビア戦は必ずまたみんなの力で、今日のようなメンタルで、3ポイントをとって、何とか上のトーナメントに行きたい」と、言葉に力を込めた。フットサル界の夢を叶えるために、キングはピッチ内外で全力を尽くす。

(取材・文 河合拓)

▼関連リンク
フットサルW杯2012特集ページ

TOP