beacon

同点ゴールのFP逸見「今後は欧州でプレーする」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[5.18 親善試合 フットサル日本代表1-1フットサル・アルゼンチン代表 ビーコンプラザ]

 決して褒められた出来ではなかった。それでも、1つのプレーで流れを変えられるのが、この男のすごさだろう。昨シーズン、AFCフットサル年間最優秀選手に選出されたFP逸見勝利ラファエル(アルワスル=UAE)のことだ。

 1点を追っていた後半12分、逸見は足の止まり始めたアルゼンチンの守備に対して、得意のカットインからシュートを突き刺し、試合を振り出しに戻した。それまではドリブルをしても相手に引っかかることが多く、チャンスをつくれていなかった。

 何本もの鋭いシュートに、アルゼンチンGKマティアス・ケベドは対応してきた。しかし、逸見のややコースが甘かったように見えた一本は、止められなかった。逸見も不思議そうに「何で入ったのかな」と首をひねってから、「もしかしたら、DFと重なってシュートが見えなかったのかもしれません。ブラインドになることは、特に狙ったわけではありません。それまでシュートが枠を捉える回数が少なかったので、とにかく枠に蹴ることだけを意識していました」と、明かした。

 この得点を挙げてから、逸見は立て続けにチャンスをつくり出し、失いかけていた試合の流れを一気に引き寄せた。「点を取ってからは、逆転できると思ってプレーしていました。だから1-1は悔しいですね。ホームでの試合だったので」と、悔しがった。

 ミゲル・ロドリゴ監督も「攻撃的なタレントが多い中でも、逸見選手と仁部屋選手は、特に状況を打開する力を持っていて、アクセントを付けられる選手です」と、絶大な信頼感を口にした。

 ここで気になるのは、日本の至宝の今後である。前所属の名古屋オーシャンズからは、退団の発表があったものの、移籍先決定の一報は伝えられていなかった。しかし今回、アルゼンチンとの2連戦のメンバー発表時に、アルワスル入りしていたことが協会から発表された。

 だが、逸見がアルワスルに長く留まることはないようだ。「アルワスルとは2週間だけの契約で、AFCクラブ・アジア選手権の予選を戦って、その後はブラジルに戻っていました。日本に帰ってきたのは11日だったので、15日の初戦のときは、少し時差もありました」と、説明している。

 今後については、欧州のクラブへ移籍することが決定しているようだ。「まだクラブ名は言えませんが、来シーズンはヨーロッパでプレーします。これ以上は、言えないんです。どの国のチームかも言えません。僕は言いたいんですけど、(移籍先の)クラブから『オフィシャルに発表されるまでは、ダメ』と言われているので」と、申し訳なさそうに話していた。

 欧州リーグが開幕するまで、逸見は再び家族の待つブラジルに渡り、その後、新シーズン開幕前のプレシーズンから移籍先に合流する予定だという。

(取材・文 河合拓)

TOP