beacon

選手権得点王FW小屋松“代表初ゴール”もU-18代表候補は大阪学院大とドロー

このエントリーをはてなブックマークに追加

[5.22 練習試合 U-18日本代表候補1-1大阪学院大 J-GREEN堺]

 2015年のU-20W杯を目指すU-18日本代表候補が大阪合宿最終日の22日、大阪学院大と練習試合を行い、1本目にFW小屋松知哉(京都橘高)が先制ゴールを決めたが、2本目に追いつかれて1-1で引き分けた。

 今回の強化合宿の総決算となる大院大戦。サテライトメンバーの相手に対して1本目は再三ビッグチャンスをつくりながら1点のみで、結果としても引き分けに終わった。鈴木政一監督は「守備に関してはきょうはボールに対する間合いも厳しくなった中で、何度か高い位置でボールが奪えていた」と前日の全日本大学選抜戦(1-4で敗戦)に比べて厳しさの増した守備面に及第点を与えていたが、「あそこで奪った瞬間に前線が動き出してカウンターで点が取れるようなことができないと結果には結びついていかないと思います」。ゴール前の精度の向上、そして奪った後の前へのパワーに課題の見えた試合となった。

 1本目は札幌のトップチームで先発として経験を積んでいるMF深井一希と広島のトップチームでACLも経験している17歳MF川辺駿のダブルボランチや、野洲高(滋賀)から名古屋入りしている左MF望月嶺臣を中心にボールを支配。小屋松とFW越智大和(広島ユース)の2トップが相手の背後を取り、左の内田裕斗(G大阪ユース)と右の広瀬陸斗(浦和ユース)の両SBもPA付近で持ち味を発揮するなど攻撃的な試合を展開した。

 まずは3分に望月のスルーパスから右サイドを突いたMF関根貴大(浦和ユース)の折り返しに越智が飛び込むと、15分には縦パスで抜けだした越智がGKと1対1になり、直後にも関根がビッグチャンスを迎えるなど決定機をつくり出す。そして16分、DFとの駆け引きから背後を取った小屋松が抜けだすと、GKをかわして左足シュートをゴールヘ流し込む。

 高校選手権得点王で、年代別日本代表初招集の小屋松が決めた“代表初ゴール”。これでさらに流れを傾けたU-18代表候補は22分にも右サイドから攻撃参加した広瀬がワンツーから右足シュートを放ち、23分にはスピードで左サイドを打開した小屋松の折り返しを関根が右足で叩く。その後も望月のギャップを突くスルーパスやインターセプトからパス交換した深井がシュートへ持ち込むなど攻め続けた。だが、42分に望月が左サイドを個人技で破りながらも中央で受けた小屋松の決定的なシュートがGKのビッグセーブに阻まれてしまうなど、2点目を取ることができなかった。

 11年U-17杯8強も経験している深井は「最後のラストパスが雑だったり、ところどころでミスパスとか、これからもっともっと突き詰めていかないと絶対に上でやっていけない」と厳しく指摘していたが、サポートメンバーとしてU-17日本代表候補からCB宮原和也(広島ユース)とMF瓜生昂勢(筑陽学園高)を加えた2本目も決定機をつくったものの、全体的に攻撃の精度は低下。前線が身体を張ってFKを獲得するなど、ジワリジワリとゴールへ迫ってくる大院大に同点に追いつかれてしまった。

 13分、U-18代表候補は右中間で粘るFW清水海里(2年=流通経済大柏高)から3人がかりでボールを奪い取ることができず、PAでファウル。このPKを清水に右足で決められて1-1の同点に追いつかれた。失点後もピンチはあったが27分にGK高木和徹(清水ユース)が決定的なシュートをストップするなど2点目を与えず。だが、攻撃面ではボールを持ってもサイドに押しやられ、カウンターのチャンスにもスピードアップすることができない。6分に右SB鴨池陽希(F東京U-18)の右クロスを瓜生が右足ダイレクトで合わせた一撃は右ポストを直撃。プレッシャーを受けながらもボールを左右に動かしていたMF大山啓輔(大宮ユース)から終盤にもFW木戸皓貴(東福岡高)へ良いボールが入り、左サイドから間髪入れずに仕掛けた木戸の右足シュートがゴールマウスに弾かれる。

 サイドチェンジが効果を発揮してサイドから押しこむ場面も多かった。だが、パス交換でのミスや動きのズレも多く、ゴースマウスに阻まれる不運もあった。そして最後まで2点目を奪うことができなかった。望月が「1点じゃダメだと思います」と語り、川辺は「勝ちたかった」と悔しがった。6月、7月には海外遠征が予定されているU-18代表。深井は「もっともっと必死さというか、その1試合1試合に対する必死さ。食らいついていく姿勢とか海外の人はもっと凄いと思う。変えていきたい」。3大会連続でU-20W杯出場を逃している不名誉な歴史をストップすることが期待されている世代。個々やチームとしてレベルアップすると同時に、悔しい思いを力に変えて強くなる。

(取材・文 吉田太郎)

TOP