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「俺らも絶対に勝たないといけない」…先発総入れ替えのU-16日本代表、層の厚みを証明して7発完勝

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7発大勝で2連勝を飾ったU-16日本代表

 チーム力が生んだ大勝だった。「AFC U17アジアカップ2023予選」グループA第3節が5日に行われ、U-16日本代表はU-16トルクメニスタン代表と対戦。先発11人全員を入れ替えて臨んだ試合ながら、7-0の完勝を収め、世代としての層の厚みを証明してみせた。

 日本より1試合多く消化しているトルクメニスタンは、ここまで1勝1分でグループ首位に立っていたチーム。森山佳郎監督は「現地入りするまでまったく情報がなかった国で、思っていた以上に手強い印象」と気を引き締めてこの一戦に臨んだ。

 一方で、中1日の4連戦という日程も考慮し、前節から先発メンバー全員を入れ替えて臨んだ。全員が初先発となるため、「心配をするところはあったけれど、そこは選手たちを信じよう」と腹をくくった上での選択である。

 一方、託された選手たちも燃えていた。

 左MFで先発したMF西原源樹(清水ユース)が「アップから本当に皆が声を出していて『絶対に勝つ』という雰囲気を作れていたと思う」と胸を張れば、MF山本丈偉(東京Vユース)も「初戦のメンバーがしっかり勝っていたので、俺らも絶対に勝たないといけないと思って試合に入った」と振り返る。

 また土屋櫂大(川崎F U-18)が「立ち上がりで相手のやる気を奪うつもりで入った。全体でコンパクトにして前から行きつつ、球際では絶対に負けない姿勢を出そうとみんなでしていた」と語ったとおり、単に気合いが入っていたというだけでなく、全体としてどう戦うかという意識も統一されていた。

 そうしたチーム全体の姿勢に応えたのがFW陣だった。まずは開始10分、MF杉浦駿吾(名古屋U-18)からFW木吹翔太(広島ユース)と繋いだボールをペナルティーエリア手前で受けたのは、FW徳田誉(鹿島ユース)。相手DFが前にいる難しい状況だったが、「FWなので」強引にシュートを選択。「ちょっとダフってしまった」上に、シュートも相手DFに当たったが、フワリと上がったボールがゴールネットを揺らし、泥臭いゴールで日本が先行した。

 さらに続く前半17分にも左サイドで「行くしかないと思った」という西原が単独突破からのクロスを送ると、これに再び徳田が合わせて、2-0。前半終了間際にも、相手の縦パスをインターセプトしながらスルーパスを送った杉浦の好判断・高精度のアシストを受けた徳田が3点目のゴール。ほぼ試合を決めた。

 後半に入っても日本の勢いは止まらず、逆に中1日の3戦目と日本より日程的にタイトだったトルクメニスタンは体力的にも厳しくなり、一方的な展開に。後半6分に杉浦のシュートを相手GKが防いだこぼれに徳田が詰めて4点目を奪うと、同15分にも追加点。木吹が相手DFを背負った状態からボールを浮かして反転してかわし、そのままペナルティーエリア内へ侵入。最後はGKの股間を抜くシュートを流し込んで、5-0とリードを広げた。

 その後は交代出場のFW名和田我空(神村学園高)が6点目を奪い、後半44分には木吹がトドメの7点目。7-0という予想以上の大差で日本が完勝を収め、2連勝となった。

「日本では味わえないような独特な予選で、1位しか突破できない厳しさもある。1回負けたら終わり、すべて決勝戦のような気持ちで臨む必要がある中で、かなりの緊張感を持ちつつ。選手たち自らが良い雰囲気を作ってくれた」(森山監督)

 大会2試合で23人中22人がピッチに立ち、どちらの試合でも5人交代をフル活用。世代全体の力で勝ちに行くと森山監督が語っていたとおりの成果を見せつつの完勝となった。

 ただ、指揮官は「ここから本当に厳しい戦いになる」と引き締める。ここから始まる中東勢との2連戦も制し、U-17W杯へと続く切符を引き寄せにいく。

(取材・文 川端暁彦)
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