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柴崎岳「自分が出たらそれができないと…」先制点導く“伝家の宝刀”スルーパス

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MF柴崎岳(レガネス)

[11.17 国際親善試合 日本 1-2 カナダ ドバイ]

 カタールW杯アジア最終予選以降、日本代表でなかなか本領を発揮し切れていなかったMF柴崎岳(レガネス)が本大会前ラストマッチで結果を出した。

 前半8分、柴崎はMF南野拓実(モナコ)とのパス交換から前を向いた。「顔が上がった時に勇紀が動き出してくれていた。ワンテンポ置いて出せたぶん、勇紀が動き出せる時間が生まれた」。MF相馬勇紀(名古屋)の動き出しに呼応するように“伝家の宝刀”スルーパスを配球。これが先制ゴールにつながった。

「ああいうショートカウンター気味の攻撃は武器になると思うし、勇紀がうまく抜け出してくれた。僕のパスを引き出してくれるすごくいい動き出しだった。難しいボールだったけどよく決めてくれた」

 後半開始直後には相馬へのサイドチェンジで決定機を導き、同45分には絶妙なタイミングでのスルーパスでDF山根視来(川崎F)のビッグチャンスを演出。「自分が出たらそれができないと。それが求められていることだと思うし、攻撃のスタイルで得点を生み出すところは自分自身にもっともっと求めていける部分かなと思う」。久しぶりに日本代表のピッチで、ゲームメーカーとしての存在価値を表現した。

 またこの日はボール保持時の見せ場だけでなく、チーム全体の指針を示す上でも可能性を示していた。相手に主導権を握られていた前半途中、柴崎は攻撃を落ち着かせるよう身振り手振りで周囲にアピール。ボールの奪い合いが続き、行ったり来たりの展開になっていたなか、まさにチームに必要な姿勢のように思われた。

「カウンターの意識が強すぎて、前に入った時に狙いすぎているなという印象があった。相手アタッキングゾーンに入った時にも落ち着いてボールを保持して揺さぶりながらやっていきたいなという思いがあった。そういう声かけをしていた」

 そう振り返った柴崎は「合っているかどうか、正解か不正解かはわからないけど、個人的にはそれがいいと思って判断して、指示とかコミュニケーションを取っていた」と迷いがあったことを明かしつつも、「相手も前線に強力な選手がいたり、奪われ方で変なカウンターを食らう可能性が高くなってしまうので、そういうところを描いて慎重になっていた」と見解を示した。

 後半も前に出ていきたい前線と、どっしりと構えたい守備陣との間にギャップができ、意思統一を欠いた日本。DF吉田麻也(シャルケ)も「行くところと行かないところ、つなぐところと割り切るところを明確にしないと」と課題を指摘していたが、今後もつなぎ役を担うボランチの声掛けが一つのキーポイントになりそうだ。

「早く攻めて相手が整っていない間に攻め切ってゴールで終わるという絵を描いている部分もあるし、そういったプレーが多くなってしまうと単調になってしまう」

 そう課題を指摘した柴崎は「現代ではちょっと前と比べて、ゲームメーカーという立ち位置がチーム全体としてどうマネジメントしていくかになっている」と分析しつつ、「そこでポイントになるのはボランチのポジションだけど、センターバックやサイドバック、前の選手とも連係しながら、長い目で、その場限りのシーンだけでなく、プレー選択が思い描けるような声かけをしていきたい」ときっぱり。これまで主力を担ってきたボランチにアクシデントが続いている中、調整役を担っていく構えを見せた。

(取材・文 竹内達也)

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