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「自分でも覚えてなくて」投入直後に同点弾演出の南野拓実、限られた時間で大仕事

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投入直後に同点ゴールを演出したMF南野拓実

[11.23 カタールW杯E組第1節 日本2-1ドイツ ドーハ/ハリファ]

 投入直後のファインプレーだった。日本代表MF南野拓実(モナコ)は0-1の後半30分からDF酒井宏樹に代わって途中出場。MF伊東純也が3-4-2-1の右ウイングバックにポジションを下げ、南野は2シャドーの一角に入った。

 すると、その直後にいきなりチャンスが訪れる。左サイドでボールを受けたMF三笘薫がタメをつくり、PA内に走り込む南野にスルーパス。角度のない位置から左足を振り抜いたシュート性のボールをGKマヌエル・ノイアーが弾き、MF堂安律が左足で押し込んだ。

「(三笘)薫があそこでボールを持ったら何かを起こしてくれる。最高のタイミングでパスをくれた。中の状況は見てなかったけど、シュート性のボールを打てば何か起こるだろうと信じて振り抜いたら、(堂安)律が押し込んでくれた」

 同点ゴールの場面をそう振り返ると、シュートだったのかクロスだったのかを聞かれ、「シュート性の……どっちだったか自分でも覚えてなくて」と苦笑い。アドレナリンが出ていたからか、記憶に曖昧な部分もあったようだ。

 とにかく「だれかが走っていると思ったし、ああいうことが起こり得る」と仲間を信じて足を振った。「結果論だけど、ゴールにつながった。あそこでフカしていたら何も起こっていない」。背番号10が貴重な仕事をやってのけた。

 日本の中心選手としてW杯予選を戦ってきた南野は森保ジャパン最多の41試合に出場し、最多タイの17ゴール8アシストを記録。しかし、9月のドイツ遠征でMF鎌田大地が高いパフォーマンスを見せると、所属クラブでの活躍もあり、W杯を目前に定位置を奪われる形となった。

 それでも「(鎌田)大地の長所をチームでどう出せるかが(W杯で)僕らが上に行くためのカギ」と、ライバルでもあるチームメイトを尊重し、フォアザチームに徹した。与えられたチャンスで自分の仕事をまっとうする。そんな南野の姿勢は世界的なビッグクラブであるリバプール時代に培われたものでもあった。

「こういうビッグマッチでどういう準備をしている選手が試合を決めるかというのは、自分の中で分かっているつもり」。自身がピッチに入ってからの逆転勝利。「今日のヒーローは(浅野)拓磨と(堂安)律」と前置きしたうえで、「こういうビッグマッチで何か起こすには、何かを感じ取る力、決める力が必要。感覚的なところでサッカーにはそういう部分がある」と持論を語った。

 大事な初戦で貴重な勝ち点3を手にしたが、グループリーグ突破が決まったわけではない。「ベスト8以上に行くには1位通過が重要で、次も取って勝ち点6で3戦目を迎えることが大事。うれしさと同時に“まだ終わってないぞ”と自分を律する気持ちが半々」と表情を引き締める。

 中3日で迎える27日のコスタリカ戦ではターンオーバーが予想され、南野が先発する可能性も高い。「スタメンの準備をするし、そういう準備はチーム全体としてしているので、どんな状況でもいい準備をするだけ」と力を込めた。

(取材・文 西山紘平)

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