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森保監督から感謝を伝えられた南野拓実「半泣きでPK外してすみませんと…」

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MF南野拓実(モナコ)

 出場試合数45、得点数17、アシスト数8は森保一監督就任以降の日本代表でいずれも最多。エースナンバー10番とともに森保ジャパンの顔であり続けたMF南野拓実(モナコ)にとって、初めてのワールドカップは悲劇的な結末となった。

 モナコ移籍後の今年9月に行われたドイツ遠征で大きく序列を落とし、カタールW杯4試合での先発出場はなし。初戦のドイツ戦では途中出場から同点ゴールを導く活躍を見せたが、その後はなかなか思い描いていたパフォーマンスを発揮できなかった。そしてベスト8をかけた決勝トーナメントのクロアチア戦では悪夢のPK失敗。ピッチに座り込む姿が悲痛なインパクトを与えた。

 苦境につながったのは所属クラブでの出場機会の減少だった。「いま振り返るとリバプールに移籍して、試合に出られない時間があったのはすごく難しかった。W杯に最高の状態で来たかった」。2020年1月のリバプール移籍から約3年間、A代表では計6ゴールを挙げたが、そのうち4得点はサウサンプトンに期限付き移籍し、コンスタントに試合に出ていた時のもの。所属先でのコンディション調整の難しさが代表活動での不調に波及していたのは明らかだった。

 それでも南野は「ただそれは自分の実力不足」と現実を見つめ、「常にチャレンジし続けたし、その時に自分の中で最高の決断だと思ってやってきた。後悔は全くない」と言い切った。

 そうした奮闘の陰には森保監督からの揺るがない信頼と、日本サッカー界全体を見据えてのサポートがあった。南野はクロアチア戦から一夜明けた6日、リバプール移籍後に指揮官から伝えられた言葉を報道陣に明かした。

「リバプールで試合に出られない時にも代表に呼んでくれている時期があって、森保さんと喋った時に言ってくれたけど、『ビッグクラブに挑戦して試合に出られなくなって、試合に出られないから代表に呼ばれなくなると、ビッグクラブに挑戦できない選手が出てきてしまう』と」

 チーム発足当初から代表招集されていたこともあり「最初から森保監督のことを信頼していた」というが、「それでも選手としてその言葉は嬉しかった」と振り返る。移籍によって代表活動に影響が出ることを「自分の中でも考えていた部分はあった」といい、「それをわかってくれていたのはすごく助かった」と救いになっていたようだ。

 だからこそ、代表活動で難しい立場を強いられたいまでもモチベーションを絶やすことはなかった。今大会ではドイツ戦では17分間、コスタリカ戦では8分間、スペイン戦では出場なし。その冷遇に内心葛藤はあっただろうが、「そのことは考えないようにしていた」と下を向くことはなかった。

「サッカーの世界なので試合に出る選手、出ない選手がいるのはしょうがない。でも怒りとか苛立ちというより、常に最高の準備をして試合に入った時に流れを変えるとか、試合を決めるために準備しようという気持ちだった。逆にあまり他のことは考えないようにしているし、それがチームのため一番になると思った」

 そんな南野はクロアチア戦終了後、バスに乗る前に指揮官から感謝を伝えられたという。

「まだゆっくり話はできていないけど、『PKを1番に蹴ってくれてありがとう』と言ってくれた。あと『この大会で大変な役回りになったけど、嫌な顔を一つせずチームを支えてくれてありがとう』と」

 その言葉に対して「半泣きで『PK外してすみませんでした』としか言えなかった」と南野。「一緒に戦っているので恩返しというわけじゃないけど、森保監督だからこそベスト16の壁を一緒に越えたかった」と悔しさを抑えきれなかった。

(取材・文 竹内達也)

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