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勝ち点1は「決して悪くはない」…課題残すも、昨年8月からの成長示したU-17日本代表

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初戦でウズベキスタンと引き分けたU-17日本代表

[6.17 AFC U17アジアカップGL第1節 U-17日本 1-1 U-17ウズベキスタン]

「ネガティブになる必要はないぞ」

 森山佳郎監督は1-1の引き分けに終わった試合後、選手たちに向かってそう強調した。これはもちろん、切り替えて次の試合に向かったほうが勝率も上がるという現実的判断もあるが、それだけではない。

 大前提として「U-17ウズベキスタン代表はやっぱり強いチームだった」(森山監督)ということがまず一つある。指揮官は、相手チームの分析を担当し、大会の全チームをチェック済みの片桐央視テクニカルスタッフが「決勝に行ったとした場合の相手もウズベキスタンになる」と予想していたことを紹介。その相手と勝点1を分け合う結果について、「決して悪くはない」と強調した。

 失点シーンを筆頭に、試合の中での反省点は多々あった一方、収穫も確かに多かった。昨年の8月に対戦した際は「デュエルであっさり負けるシーンばかりで、数字的にも圧倒された」(森山監督)のに対し、今回はデュエル勝率55.3%と相手を上回り、課題とされた空中戦でも58.3%と上回った。ポゼッションは51.1%とやや上回った程度だが、インターセプト数も23対6と相手を大きく上回るなど、間違いなく手応えはあった。

 シュート数も19対7と相手を上回るが、PA内のシュートが14本もあり、枠内シュートが6本飛んで1得点という数字はやや寂しいところ。逆にウズベキスタンは2本しかなかった枠内シュートのうちの1本を決めてきた。ゴール前の精度はあらためて課題として残ったと言える。

 もう一つ、体で学んでいくしかない部分もあるタイの環境面への対応も、「今回の試合でよくわかった」(FW道脇豊=ロアッソ熊本)のは大きな材料だろう。道脇が「前半が終わった時点でこんなになるのかとビックリした」と独特の高湿度環境の中での消耗は多くの選手たちにとって想定以上のもの。DF永野修都(FC東京U-18)は「ハーフタイムで指摘されたんですが、こういう気候なので、前半から意識してもっとコンパクトにして消耗を減らさないようにしないといけなかった」と振り返ったが、こうした反省材料が出たのも決してマイナスなことではないだろう。

 チャンスを逃し続けて追い付かれる展開となると、U-20W杯もそうだったように、そのまま逆転まで持って行かれる危険性も十分にあった。それだけに、GK後藤亘(FC東京U-18)の好守も出て踏ん張って勝点1をもぎ取ったのは悪くない終わり方だったと思っておくベきだろう。「大事なのは第2戦」と道脇が強調したように、次が肝心だ。

 裏カードでインドとベトナムが引き分けたことで、日本のグループDは勝点1で4チームが並ぶ混戦模様となった。シンプルに「2連勝すれば突破は決まるし、得失点差を稼げば1位抜けもできる」(森山監督)シチュエーション。「この暑さで中2日の連戦。大会が進めば進むほど今日ベンチスタートだった選手たちの力が大切になる」総力戦の始まりである。

(取材・文 川端暁彦)
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