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[SBSカップ]25年U-20W杯へ向けた“初陣”。U-18日本代表は韓国に0-1で敗れる

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U-18日本代表MF安齋悠人(尚志高)が突破を図るが、韓国DFが阻止する

[8.17 SBS杯第1節 U-18日本代表 0-1 U-18韓国代表 草薙陸]

 U-18の日韓戦は韓国が制す――。「2023 SBSカップ国際ユースサッカー」が17日、静岡県静岡市の草薙総合運動場陸上競技場で開幕。U-18日本代表とU-18韓国代表との日韓戦は韓国が1-0で勝利した。

 U-18日本代表は今年7月に船越優蔵監督の就任が発表され、今回の活動で25年U-20ワールドカップへ本格始動。初の国際試合が日韓戦となった。4-5-1システムを組んだ先発のGKは中村圭佑(静岡学園高)、4バックはゲーム主将の右SB桒原陸人(明治大)、CB中光叶多(広島ユース)、CB喜多壱也(京都U-18)、左SB池田春汰(横浜FMユース)の4人。中盤中央はアンカーの大関友翔(川崎F)とその前方に位置する尾川丈(川崎F U-18)、鈴木陽人(名古屋U-18)の3人で構成。右SH松田悠世(桐光学園高)、左SH中川育(広島ユース)、1トップをFW塩貝健人(慶應義塾大)が務めた。

 日本は入りが良く、アタックする回数を増加。3分、大関の縦パスを起点に鈴木が繋ぎ、DF背後へ抜け出した塩貝がフィニッシュへ持ち込む。さらにエンドライン際へ抜け出した大関のラストパスや桒原のクロスがゴール前へ。昨年まで川崎F U-18でともにプレーしていた大関と尾川が距離感良くボールを繋いだほか、中光と喜多の両CBがボールに多く係わるなど、左右へボールを動かしながら相手を押し込んでいた。

 だが、前からガツガツ来る韓国の前に攻め切れずにボールを失い、そこから繋がれて押し返されるなどなかなか主導権を握ることができない。松田、中川の両翼が仕掛けにチャレンジし、池田と鈴木の連係で打開を図るシーンもあったが、韓国の守りはセットプレーの対応含めて堅い。38分には中川の奪い返しから大関が距離の長いスルーパス。塩貝がDFの前に身体を入れて右足を振り抜くが、枠を外れ、0-0で前半を折り返した。

 日本は後半5分、自陣でのミスから先制点を奪われてしまう。ボールを一度奪いながらもミスでロスト。そして、アーリークロスに対応したDFとGKの動きが重なってしまい、こぼれ球を韓国の10番MFカン・ミンソン(ピョンテクジンウィFC)に左足で押し込まれた。

 大関は船越監督から強調されていることについて、「(船越)監督からしきりに『走る』『戦う』『規律』という3大コンセプト、国際大会で技術や上手さの前に走る、戦う、球際のところをチームのところで意識しようと言われている」と説明する。日本は7分に中川とMF安齋悠人(尚志高)を交代。一際「戦う」姿勢を出していた安齋、失点を取り戻すために気持ちの込もった動きを見せた大関を中心にコンセプトを表現しながら反撃した。

 16分、GK中村のビッグセーブでピンチを凌ぐと、直後に尾川と松田をMF神田拓人(尚志高)とFW郡司璃来(市立船橋高)へ入れ替える。25分には郡司が右サイドを抜け出し、ラストパスに塩貝が走り込む。また、喜多や桒原らDF陣も踏ん張り、1点差を維持。31分には桒原と塩貝を右SB梅木怜(帝京高)、FW神田奏真(静岡学園高)と交代し、同点を目指した。

 そして、37分、スライディングタックルでのボール奪取や縦への鋭い動きを見せていた安齋が、左サイドで大きく前進。サポートの大関へボールを預けてPAへスプリントすると、そこへ大関の絶妙なスルーパスが通る。最後は折返しに鈴木が反応したが、左足シュートは韓国DFがブロック。日本は40分にもハーフウェーライン手前でボールを受けた大関がターンでDF2人をかわして前進する。そして、右前方の神田奏へスルーパス。これを神田奏が右足で狙うが、シュートは左ポストのわずかに左へ外れた。

 日本は接触プレーで痛んだ郡司がピッチを離れる中、10人で1点を目指すが、細かなミスも。最後まで1点を挙げることができずに試合終了を迎えた。勝った韓国のチョ・セクォン監督は「選手たちが非常に一つになって良い試合になったと思います」。韓国は終了のホイッスルとともに多くの選手がピッチに倒れ込んでいたほど。執念で勝ち取った白星を全員で喜んでいた。

 その光景を見た喜多は、「めっちゃ悔しいです。試合中とかも1個1個のプレーで韓国は全員が乗っている感じがしたし、日本は声を出している選手もいれば出していない選手も様々だった。そこの一体感を上げていかないといけないと勝てないと思いました」と唇を噛み、大関は「相手の方が声も出ていましたし、ガツガツ戦ってきていたので、自分がもうちょい鼓舞する声やプレーで示すというところはやらないといけなかった」と悔しがった。

 U-18日本代表は25年U-20ワールドカップ、そして28年ロサンゼルス五輪を目指して行く世代だ。今年、U-20日本代表のコーチとしてU-20ワールドカップを経験してきた船越監督は「相手の土壌でも日本らしさを出せるような選手とチームを作っていきたい」と語る。チームは、日韓戦の敗戦からスタート。指揮官が「すごく悔しいです。火事場のクソ力じゃないけれど、ここからが勝負。これを次の試合に向けるしか無いので、切り替えて次の静岡選抜戦を向いてやっていきたい」と語ったように、悔しさをエネルギーに変えて次戦を必ず勝利で終える。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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