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「大学で結果を出せばチャンスは来る」待ち焦がれた“日の丸”再び…角昂志郎は代表の誇りを胸に「金メダルを獲って日本に帰りたい」

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MF角昂志郎

 MF角昂志郎(筑波大)は年代別日本代表メンバーが発表になるたび、自分の名前を探してきた。

「自分の世代の代表が発表になるたび、毎回必ずチェックして『いや、俺じゃないのかよ』って思ってました」

 そこに悲壮感があったわけではないが、プライドは間違いなくあった。FC東京U-18に所属していた2019年にはU-17W杯にも出場。「個人としても悔いがある」経験をしたからこそ、「また日の丸を付けて戦いたい」という思いは人一倍持ってきた。

 それだけにアジア大会メンバーへの招集が届いたときは、「やってきたことが評価してもらえた」という感触と、「絶対に結果を残してやる」という思いを共に抱いての参戦となった。

「大学サッカーで結果を残し続ければチャンスは来ると思っていた。課題にも向き合いながら、成長できている実感もあったので(代表でも)やれるとも思っていた」

 迎えた第1戦はベンチスタート。「(レギュラーと)分けられちゃうのかな」という不安もよぎったというが、交代出場で意欲的なプレーも見せ、ラウンド16のU-24ミャンマー代表戦では初ゴールも記録してみせた。

「昔はこういうときに『何で俺を使わないんだよ』という思いが出過ぎて空回りしちゃうことも多かったんですけど、いまは出られないということも冷静に受け止められるようになってきた」

 2度目の先発となった準決勝、U-24香港代表戦では前半はやや大人しいプレーぶり。「前半は何となく相手に合わせてしまった」(角)というパフォーマンスだったが、後半からはチャレンジするプレーが大幅増加。MF日野翔太(拓殖大)が「(角)昂志郎には『おまえは全部仕掛けろ』って感じだった」と笑って振り返るように、サイドで相手と1対1になればドリブルで果敢に突っかけていき、それが日野のゴールにも繋がった。

 守備でも献身的に振る舞い、トータルのパフォーマンスで勝利に貢献。2大会連続となる決勝進出を引き寄せた。「個人的にこの大会に懸けている思いはあるので、自分の長所を出す、自分の武器を日本代表に還元することができたと思う」と胸を張った。

 もちろん、これで終わりというつもりもない。

「日本代表として、金メダルを獲って日本に帰りたい」

 先発だろうと途中出場だろうと関係ない。次の試合もチームの勝利のために全力で戦い、待ち焦がれた日の丸を付けて結果を出すだけだ。

(取材・文 川端暁彦)

●第19回アジア大会特集ページ
川端暁彦
Text by 川端暁彦

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