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逸材はコロナ禍を経て大学選抜、U-22日本代表、アジア大会へ…根本健太は優勝への貢献狙う「自分のできる全力を」

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DF根本健太 ※写真は国内合宿のもの

「いつ出ても良いように準備はしてきた」という言葉にも説得力を感じるプレーぶりだった。アジア大会準決勝、U-24香港代表戦。U-22日本代表の最終ライン中央に入ったDF根本健太(流通経済大)は、「自分のストロングポイントを出せればと思っていた」という言葉どおりのパフォーマンスを披露してみせた。

 自分の語るプレーは「刺しパスとロングフィード、ヘディング」。左利きのメリットを活かして左CBの位置から「刺す」鋭い縦パス、大きくスペースへ展開していくロングパス、そして184cmの長身を活かした空中戦を持ち味とするCBだ。

 経歴は珍しい。小学校時代は地元の柏レイソル長生でプレー。中学からはジェフユナイテッド千葉U-15へと進んだが、成長期が来るのが遅かったこともあって評価は上がらず、U-18への昇格はならず。千葉県の強豪私立校である東京学館高へと進んだ。

 普通の年であれば、ここで遅咲きの選手として芽が出たのかもしれないが、コロナ禍が直撃した世代だったため、主力となる時期にほとんど公式戦を経験できず。「高校に入って急に背が伸びていった」根本にしてみると、成長した姿でアピールする場が存在しない不遇の時期だった。

 当初は地元の大学へ進学する予定だったと言うが、一念発起して「やっぱり高いレベルにチャレンジしてみたい」と流経大のセレクションに参加。競争の極めて厳しい環境であることは重々承知していたため、「4年生になって試合に出られれば」という気持ちで入学を決めたと言うが、その高いポテンシャルに見惚れた流経大首脳陣から一気に引き上げられた。

 そこから大学選抜、そして今年に入ってからはU-22日本代表入りと一気にステップアップ。代表では「まだまだ足りない部分がたくさんある」ことも実感したと言うが、同時に自信も深めている。準決勝の香港戦では鋭い縦パスを綺麗に通すシーンを何度も見せ、キーマンだった相手FWに仕事をさせないなど、自ら「手応えはあった」と振り返る好内容になった。

 遅れてきた逸材だが、遅れすぎたわけではない。今大会は出場機会が多いわけではないものの、本人の気持ちにブレはない。決勝に向けては、「試合に出ても出られなくても、自分がチームの一員であることは変わらない。優勝するために自分のできる全力を出し切りたい」と勝利に貢献することを誓っている。

(取材・文 川端暁彦)

●第19回アジア大会特集ページ
川端暁彦
Text by 川端暁彦

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