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5年前は直前合宿の練習要員「次の大会に選ばれれば良いなと思っていた」三笘薫が初のアジア杯へ

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MF三笘薫(ブライトン)

 2019年のアジアカップ直前に行われた国内合宿では、筑波大の3年生としてトレーニングパートナーを務め、日本代表チームの一員として練習試合でゴールを決めたMF三笘薫(ブライトン)。あれから5年、今度はアジアを代表するスタープレーヤーとして、初のアジアカップ本大会に臨む。

 三笘は5年前の18年末、アジア杯直前合宿を張る日本代表に現アジア杯メンバーのFW上田綺世、MF旗手怜央、DF伊藤洋輝、DF菅原由勢と共にトレーニングパートナーとして帯同。一部の欧州組が現地UAEでの合流となっていた中、不足する練習要員としてA代表を支えていた。

 それでも爪痕は残していた。合宿最終日に行われた流通経済大とのトレーニングマッチで2列目にMF伊東純也、MF南野拓実と並び、先発起用されると、前半立ち上がりにクロスバー直撃のミドルシュートを放ったかと思えば、鋭い切れ込みから相手DFの股を抜くゴールも記録。“A代表の一員”として大きなインパクトを与えていた。

 12日の練習後、報道陣の取材に応じた三笘は5年前を回顧。「次の大会に選ばれれば良いなと思って参加していたし、日本代表の基準を分かった中で素晴らしい経験ができた」と振り返りつつ、今回は5人のトレーニングパートナーが本大会にも帯同していることもあり、「自分たちもそういった基準を見せないといけないし、次の大会で一緒にプレーできれば良いなと思う」と願いを口にした。

 今大会は左足首の負傷により、別メニュー調整からのスタートとなった三笘。「回復次第だけど予選リーグの中で入れればベスト」と話すように慎重な回復プログラムを進めているが、試合に出られない間はトレーニングパートナーとの交流など、ピッチ外での働きに期待が向けられる。

 また11日の練習場では同じくプレミアリーグでプレーしているDF冨安健洋(アーセナル)と面と向かって話し込み、走り方に関する知見を交わしているような姿も見られていた。

 三笘は冨安との会話に関する質問には「なんでも良いかなと思っています」とサラリとかわしたが、日々の会話については「試合に向けた準備のことが一番だけど、日頃のリーグ戦のこと、コンディションのこと、いろんな世間話をしている」と明かし、「よりチームとしていつもの親善試合とは異なって戦っていく必要があると思うので、よりまとまっていかないといけない」とコミュニケーションを深めている様子を見せた。

 また負傷が癒えて復帰が実現した後、アジア杯初参戦といえども圧倒的な力量差を示すようなパフォーマンスに期待がかかる。「W杯を経験しているし、もちろん難しい大会だけど、いつものリーグ戦の経験は活かせる大会だと思う。もちろんアジアで優勝しないといけない」。そんな三笘はすでに、日本を警戒してくるアジアの相手に優るイメージもふくらませている。

「引いてくる相手に点が奪えない時、どう打開していくかというところは数試合やっているけど、まだまだ本番になってみないとわからないし、緊張感もあると思う。そこで個人の能力だったり、チームとして崩していくのが必要。決勝トーナメントに入れば1点の重みも変わってくるので、延長戦も含めてしっかりチームとして準備したい」(三笘)

 日本は前回大会では準決勝のイラン戦(○3-0)を除き、勝利はすべて1点差という苦戦を強いられており、決勝ではカタールに1-3で敗戦。今回は三笘らスタープレーヤーを擁する日本に対し、前回大会以上前評判が高くなっており、他国からは絶対的な優勝候補と目されているが油断はない。

「前回大会もそういうふうに見られていることが多かったと思うし、でも決勝で負けた。サッカーは何が起きるかわからない。僕らもW杯でスペインやドイツに勝ったし、サポーターの方々は期待していなかったかもしれないけど、そういうことがサッカーにはありうる。僕らもそういうふうに言われているけど、一つ一つの試合に勝っていかないといけないと思うので、全く気にしていない」。ようやく迎える初のアジア杯。驕らず堂々と本大会に向かっていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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