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リオ予選敗退の絶望を忘れない…パリ五輪予選最終決戦に臨むなでしこGK山下「この経験をみんなにしてほしくない」

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GK山下杏也加

 第1戦では猛攻を浴びたが、守護神が無失点に抑えた。日本女子代表(なでしこジャパン)は28日の第2戦に勝利すればパリオリンピック出場が決定。GK山下杏也加(INAC神戸レオネッサ)は「自分はリオ(五輪)にいけなかった経験をしているので。またこの経験をみんなにしてほしくない」と力を込めた。

 24日の第1戦では北朝鮮女子代表に苦戦を強いられた。山下は何度もゴールを脅かされたが、好セーブ連発で防ぎ、無失点で第2戦につなげた。最後方から試合を観ていたことで、劣勢の原因を探る。

「カウンターでワンタッチで背後に向けてシンプルに足を振ってくる戦術のチームにゼロで抑えられたのはいい。だけど、逆にそれを警戒しすぎてラインが低かった。ボールを奪うというより少し受け身になってしまった部分がある」

 攻撃面ではビルドアップに苦戦。山下も最後方から参加したが、最終ラインへのマンツーマンでのプレスに対応しきれなかった。「スペースをうまく使い切れなかった。そこが引き出しとしては少なかった」と第1戦で浮かんだ課題を挙げた。

 28日の第2戦で勝利したチームが今夏のパリ五輪への切符をつかむ。第1戦で相手の気迫を見た山下は「あちらのチームは国を背負う意味が全然違う。技術というより気持ちの部分が少し相手より劣っていた」と振り返る。8年前にはリオ五輪アジア最終予選のメンバーに選出されたが予選敗退。ショッキングな記憶はいまだに山下の脳裏をよぎる。

「次の試合で勝たなければ、いろんな待遇だったり、女子サッカーに対する注目だったり、予算がなくなってしまうことのほうが怖い」。第1戦がスコアレスのため、第2戦で決着がつかなければ延長戦、PK戦へともつれ込む。山下は「延長PKになったとしても、自分は1戦目のようにゼロで抑えることしかできない」と試合を見据える。「常にカウンターを先につぶすコーチングや、ビルドアップの立ち位置、アイデアを出すことを後ろからできたら」と勝利のために全力を注ぐつもりだ。

(取材・文 石川祐介)
石川祐介
Text by 石川祐介

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