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決勝目前、終わり近づく23人の黄昏…小久保玲央ブライアン「寂しさはある。最後は負けて終われない」

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GK小久保玲央ブライアン

 3日にU23アジアカップ決勝を迎えるU-23日本代表は、2日に最後の練習を行った。GK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)は「寂しさはやっぱりある。だけど、最後は負けて終われない。勝って全員で喜びたい」と意気込みを口にした。

 4月15日に開幕したU23アジア杯は5月3日に決勝を迎える。U-23日本代表は5試合を勝ち抜き、8年ぶり2度目の優勝に王手をかけた。

 さまざまな苦難に遭いながらも、日本はアジアの頂まで一歩ずつ進んできた。23人がバラバラにならないよう、小さな工夫も取り入れた。それは小久保やMF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)が海外クラブでやっている朝イチのハイタッチ。「一日を始めるにあたり、(海外クラブでは)みんなでハイタッチをしていた。海外組が中心となって、みんなで朝の一環としてやろうと」。初戦・中国戦後から始まったという。

「朝からみんなの顔を見て、コミュニケーションではないけど、体が触れ合うだけで少しでも気持ちが伝わる。たぶんチームの雰囲気も良くなっているのかなと、自分も陰で見ながら思っています」。苦難を乗り越えるたびにチームの絆は強まった。選手だけのミーティングを2度行い、全員の向く方向が定まった。プレッシャーと戦いながら、パリオリンピック出場を決めた。

 あとはアジア制覇を目指すのみ。ただ、それは戦いの終わりも意味する。GKチームは野澤大志ブランドン(FC東京)、山田大樹(鹿島)とたった3人で互いに支えながら高め合ってきた。小久保は「日を重ねるたびに雰囲気は上がってきていた。でも、もう終わっちゃうのかと思うと寂しい」と本音をのぞかせる。「GKチームで乗り切ってゴールを守りたい。最後にトロフィーを掲げたい」と力を込めた。

 GK3人以上にGKチームを盛り立てた浜野征哉GKコーチの存在も大きかった。「浜野さんはずっとGKのことを気にかけてくれている。ずっと話しかけてきてくれるので、それは大志にもヤマにも伝わっている。日常的に自分たちにアドバイスをしてくれていた」。選手23人だけじゃなく、スタッフへの思いもあふれ出す。

「スタッフはすごく陽気な方々。自分たちのコミュニケーションにつながってくるところで、選手ミーティングとかそういう場でどんどんみんなの思いをぶつけようと、色んなスタッフが言ってくれた。トレーナーは自分たちが治療しているときも色んな話をしてくれた。陰で支えてくれる人たちが、自分たちの雰囲気を良くしてくれていた」

 パリ五輪へと戦いは続いていく。だが、23人の戦いはこれで終わる。「アジアのチャンピオンになることをみんなで話している。明日、勝って喜びたい」。笑って終わるために、全員で優勝を掴み取るつもりだ。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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