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アジア杯負傷欠場の広島GK大迫敬介「もう一度あそこに自分が立つんだと…」新スタ初陣で堂々の再出発

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GK大迫敬介

[2.23 J1第1節 広島 2-0 浦和 Eピース]

 シーズンオフを右手舟状骨骨折の治療に充て、プレシーズンでも慎重な調整を続けてきたサンフレッチェ広島GK大迫敬介が、ブランクを感じさせない安定感でJ1開幕戦で浦和レッズを封じ込めた。

 この日はクラブにとって長年の悲願だったサッカー専用スタジアムでの初陣。ゴールシーンよりも先にサポーターを大きく沸かせたのは、若き守護神のビッグセーブだった。前半11分、右ハーフスペースをMF小泉佳穂に侵入されたが、力強く飛んできた左足シュートを大迫がセーブ。ボールの勢いに負けない鮮やかなパンチングで軌道をゴールからそらした。

 その後も後半6分のMFサミュエル ・グスタフソンのスライディングシュートや、終盤のクロス攻勢に対し、終始安定したセービングを連発。結果としてはFW大橋祐紀の2ゴールが目立つ形とはなったが、決して少なくないピンチを守護神が防いだ働きも勝利の大きな要因となった。試合後、取材陣に囲まれた24歳は「新スタジアムで初勝利ができたことに何よりホッとしている」と笑顔を見せた。

 昨季終了後に右手舟状骨の手術を受けた影響で、プレシーズンの練習に本格合流したのは約2週間前。一瞬の判断や反射神経が求められるポジションゆえ、ブランクを乗り越えるのは決して簡単ではなかった。

 それでも大迫は「練習が終わってからプラスアルファでGKコーチに付き合ってもらって、納得がいくまで練習した。とにかく量をこなして(自分を)納得させた」と準備段階から奮闘。しっかりと開幕に間に合わせてきた。

 試合が始まってからも「まずはいろいろ考えすぎないこと。自分にできることは限られているし、最後にボールが飛んでくるのはゴールなので、できるだけの準備をしながら、相手の動きを見ながら、常に予測することを意識していた」と気持ちが揺らぐことはなく、見事に完封。最後は「でも僕だけじゃなく、みんなが足をつるくらい走ってくれた。ハードワークのおかげで僕の身体の周りにボールが集まってきた」とチームメートを称えることも忘れなかった。

 そんな大迫にとってこの日のパフォーマンスは、日本代表への復帰を目指すためにも上々の再出発となった。カタールW杯後の第2次森保ジャパン発足以降、昨年9月のドイツ戦を任されるなど正GK争いを牽引してきた立場だったが、アジア杯は負傷のため招集外。アジア8強に終わったチームをテレビで見守るしかなかった。

「アジア杯はキャンプ中に見ていたし、常に刺激をもらっていた。もう一度、あそこに自分が立つんだという強い思い、目標ができた」。その野望を実現させるためには、Jリーグでの活躍が第一歩。「まずはこうした試合で結果を出し続けること、自分の存在感を常に出し続けていくことが大事」と新シーズンに向けて意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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