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中学卒業後にブラジル挑戦、帰国後は社会人チームで活動。10番FW大谷陸斗が躍進・霞ヶ浦を攻守で支える

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霞ヶ浦高を攻守で支える10番FW大谷陸斗(3年=FCコラソン出身)

[6.14 インターハイ茨城県予選準決勝 古河一高 1-2 霞ヶ浦高 ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]

 異色の経歴を持つ10番が、霞ヶ浦高の躍進を後押ししている。FW大谷陸斗(3年=FCコラソン出身)はドリブルやプレースキック、チャンスメーク力に自信を持つサイドアタッカー。この日は左サイドからのCKで決勝点に絡んだほか、献身的なプレスバックでもチームの勝利に貢献した。

「自分、切り替え速くプレスバックとか行って、守備ではある程度貢献できていたかなと思うんですけれども、攻撃の部分で少しきょうは蹴る部分が多かった。もっとボールに係わって攻撃に参加したい。サイドでボールを持てばチャンスは作れると思う。何回かあったので、そこでアシストかゴールという結果を残せれば良かった」。巧みな身のこなしで局面を打開するシーンもあったが、本人は満足していなかった。

 それでも、チームは関東大会予選での初優勝に続き、インターハイ予選でも初の決勝進出。「ゴール前で身体を張って失点しないのがみんなのサッカー」という中で自身も最後までハードワークし、勝利したことを素直に喜んでいた。

 大谷は中学3年時の夏にブラジル遠征で評価を獲得。誘いを受け、中学卒業後、ブラジルへ渡るという大きな決断をする。「練習参加してトライアウトみたいな感じで」サンパウロFCのユースチームへの加入を目指した。だが、目標とするサンパウロへの加入は見送られ、別のクラブで活動。コロナ禍もあって1年で帰国し、その後1年間は通信制の教育を受けながらFCコラソンの社会人チーム(現神奈川県2部リーグ)でプレーしたという。

 社会人選手との経験の差やフィジカル差を痛感。それでも、「サッカーやりたいという気持ちが強かった」と語るFWは、FCコラソンと霞ヶ浦の繋がりもあり、昨春、2年生から霞ヶ浦高に編入した。都立の三鷹高を選手権全国8強へ導いた実績を持つ山下正人総監督も「サッカー大好き。あれは本当に頑張る子だよ」と認めるFWは“1年目”から出場チャンスを得て、今年はチームの中心選手として奮闘している。

「出場の機会を与えてもらえたのは嬉しいことですし、高校のサッカーの雰囲気の中でやれていることは嬉しいですし、まだまだ自分にできることはあると思うので、上を目指していきたい」

 味方からのリターンを受けて鋭く打開するところなど周囲を活用する動きや、周囲を活かす動きにも長ける。「自分、得意なプレーがドリブルなので、ドリブルとかチャンスメークも得意な方なので、チャンスメークも見て欲しい」。アシスト、ゴールを奪う力を伸ばし、上のステージで活躍するという目標も持っている。
 
 インターハイに出場すれば、より多くの関係者に見てもらえるチャンス。「(優勝すれば、家族にも)良い報告ができるので、チーム的には無失点で決め切るところは決め切って勝つ。個人としては最近、ゴールを奪えていない試合が多いんですけれども、チャンスはあると思うので決定機を取り切って勝ちたい」と力を込めた。04年10月生まれ。“年下”の同級生たちを引っ張る10番が勝利へ導き、初の全国大会出場を喜ぶ。

(取材・文 吉田太郎)
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