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[デンチャレ]184cm、81kgの大型レフティーが「振って」決めた!。FW加藤大晟(鹿屋体育大)がプレーオフ選抜を決勝へ導く2発

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184cm、81kgのFW加藤大晟(鹿屋体育大3年=浜松開誠館高)はプレーオフ選抜を決勝へ導く2発

[2.29 デンチャレ プレーオフ選抜 3-1 日本高校選抜]

 184cm、81kgの大型レフティー。“九州のビエリ”がプレーオフ選抜を決勝へ導いた。FW加藤大晟(鹿屋体育大3年=浜松開誠館高)は0-1の後半19分、右中間でこぼれ球を拾うと左足一閃。豪快な一撃をゴール左へ突き刺した。

 変化のきっかけになりそうな一撃だ。左足のパワーショットは特長の一つ。だが、「(左足を)持っているんですけど、大事にやろうっていうところがあって。そこは自分、ストライカーっぽくないって自覚してて、パス選択しちゃったりで……その中で、今日は振れたんで、そこは一個自信になったかなと思います」と頷く。

 今大会初戦の関東選抜A戦も先発出場。だが、同じような状況でパスを選択し、相手ボールにしてしまっていた。ギリギリまで状況を見極めて判断できるところは強みと言える部分かもしれない。だが、FWとして変えなくてはならない“振る姿勢”。だからこそ、「今回はあの瞬間に『足、振ろう』と思って振った結果がゴールに繋がった。あの形、角度っていうのは結構自分でも得意な形なんで。なかなか試合でそういうのを出したかっていうと、そうでもなかった。でも、練習で上手くいってた形が試合で出せて良かったかなと思います」と喜んだ。

 加藤は後半だけでシュート4本。後半43分の決勝点も加藤が決めた。左WB吉川敬進(鹿屋体育大2年=JFAアカデミー福島U-18)の左クロスに対し、相手DFの前にポジショニング。打点の高いヘッドで叩きつけると、ボールはファーポストを叩いてゴールへ吸い込まれた。

「監督のトミさん(永冨裕也監督)から『もっと動き直せ』ってその前からうるさく言われてて(微笑)。で、あの瞬間、1回ちょっとファーに回る動きをしたら、(吉川)敬進が上手く上げてくれたんで、上手く合わせれたかなと思います」。引き分け以上で決勝進出が決まる一戦で主役に。「ストライカーはゴール取ってなんぼだと思うんで、そこの仕事はできて良かったなと思います」と胸を張った。

 加藤はFWとして静岡の強豪・浜松開誠館高へ進学。だが、DFへコンバートされ、CBや左SBを務めていた。「球際、ハードワークとかそういう基本的なところを開誠館は教えてくれるんで、そういうところは本当タメになってるなって思います」。元清水FWの青嶋文明監督からチームにとって大事な番号である「14」を与えられるなど期待されていた加藤は、高校同様、サッカーに集中できる環境を目指して鹿児島の国立大学、鹿屋体育大へ進学した。

 そして、チームのFW陣にけが人が続出していた2年前にFWとしてプレー。当初活躍したことでF続行することになったが、その後はなかなか得点することができなかったという。悩んで、CBへ戻ることを考えた時期も。だが、試行錯誤を重ねて昨年は九州1部リーグ7得点を挙げた。得点数を伸ばしたFWは九州選抜入りも果たすと、デンソーカップチャレンジのプレーオフで2得点を記録。九州選抜は敗退したが、プレーオフ選抜として再びチャンスを掴み、この日2ゴールを叩き出した。

 目標のFWに掲げるのは、イタリア代表、インテルなどで活躍した左利きの“重戦車”FWクリスチャン・ビエリだ。「(目標は)鹿屋の監督にも言われてるんですけど、古いっすけど、ビエリっていう選手。重戦車みたいな。あとハーランドとか。上手いタイプじゃないんで、ゴリゴリ、ゴールへ推進力持って行くFWに」。高校時代の筋力強化の効果もあってプロ並みの肉体に。そのFWはビエリのような左利きのストライカーになることを目指している。
 
「プロになりたいって気持ちが強い」加藤は、Jクラブの練習や練習試合も経験。フィジカル面の手応えを得た一方、プロで活躍するためには止める・蹴るの速さなど意識を変えなければならないと実感したという。この日も前線でボールを収める部分については満足していなかった。ポテンシャルを秘めたレフティーは、将来のためにまだまだ成長することを誓う。

 デンソーカップチャレンジは3月2日の決勝へ進出。ここで活躍すれば大学日韓戦メンバー入りのチャンスが広がる。「(今大会に臨む際に)日韓戦もあると思うんで、そういうところでゴール取りたいなっていう強い気持ちでした。(決勝で対戦する)関東Bも同じくプレーオフから上がってきたんで、そういった中でリベンジしたいっていう気持ちはありますし、自分がゴール決めて優勝して、プレーオフ選抜みんなで喜びたいなと思います」。この日、きっかけを掴んだ加藤が決勝でもストライカーとしての力を証明し、プレーオフ選抜の仲間と優勝を喜ぶ。

(取材・文 吉田太郎)


●第38回デンソーカップチャレンジサッカー福島大会特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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