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バルサのカンテラーノに突き付けられた厳しい現実...今夏無所属となった2選手の物語

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 これまで数多くの優秀なカンテラーノ(下部組織出身選手)を輩出してきたバルセロナだが、誰もがプロの選手として成功を収められるわけではない。スペイン『ムンド・デポルティボ』が伝えている。

 全世界にスカウト網を張りめぐらせるバルセロナに、たどり着けるのは限られた選手たちだけである。そして、一度たどり着けば「○○年バルセロナ在籍」という肩書がキャリアに残る。移籍を決意したとしても、その事実はチームを探す際に大いに役立つ。だが、どのクラブでもラ・マシア(バルセロナの育成寮)のような対応を受けられるかと言えば、そうではない。キャリアを再スタートさせれば、そこには困難が待ち受けているのが常である。

 イリエ・サンチェスととジョルディ・キンティージャ。彼らはいずれもバルセロナのカンテラで育ち、Bチームまで順調に上り詰めた。トップチームのプレシーズンに帯同し、親善試合に出場したこともある。だが今夏、2人との契約を望むクラブは現れなかった。

「危機的な状況に陥って、違う現実が見えてきた」と語ったのはキンティージャだ。「8月31日を迎えても行くチームがなかった。自分のキャリアの中で最悪の日だった。孤独を感じたし、何をしたらいいのか分からなかった」。23歳の青年は誠実に心境を明かした。

 一方、イリエの場合はキンティージャとは異なる。彼はドイツの2部に属する1860ミュンヘンとの契約を残していた。本人の弁では、「自分で選んだ状況。プレシーズンを通じて、コンディションが良くないと感じた。クラブと話し合い、8月の最後の週に契約解除を決めたんだ」とのこと。自分の意思で退団を決め、新天地を探す決意を固めた。

 昨季までアメリカのMLSに属するスポルティング・カンザスシティでプレーしていたキンティージャは、クラブからの突然の解雇通告を打ち明けている。「ある日、いつも通り午前中の練習に行ったら、そこで退団しなければならないと言われた。外国人枠を空けるためにね。僕はほとんどずっと試合に出ていたのに、調子が良くないというのが理由だった」。理不尽にさえ思える現実を、異国の地で突きつけられた。

 イリエとキンティージャは、キャリアにおいて最も難しい時期に直面している。だが両者がこの困難を克服した時、本当の意味で「バルセロナ出身」のキャリアが評価されることになるのかもしれない。

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