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[プレビュー]盤石のドイツが24年ぶり戴冠か、メッシがマラドーナ以来の頂点に導くか

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[7.13 ブラジルW杯決勝 ドイツ(日本時間14日4:00)アルゼンチン リオデジャネイロ]

 ドイツアルゼンチンがW杯決勝という世界最高の舞台で、みたび相まみえることになった。

 W杯決勝での過去の戦績は1勝1敗。1986年のメキシコ大会決勝では、アルゼンチンが当時の西ドイツを3-2で下した。決勝戦こそ得点はなかったが、マラドーナの「神の手」や「伝説の5人抜き」が生まれた大会であり、「マラドーナの大会」とも言われた。再戦となった4年後の1990年イタリア大会決勝。このときはベッケンバウアー監督率いる西ドイツが1-0で勝ち、雪辱を果たしている。

 決勝での対戦に限れば1勝1敗だが、旧西ドイツ、旧東ドイツを合わせると、両チームはW杯で過去に7度対戦している。結果はドイツの3勝3分(PK勝ち1回を含む)1敗。アルゼンチンの1勝は1986年大会決勝だけで、1990年大会決勝以降はドイツが3連勝している(PK勝ちを含む)。

 過去2大会でもドイツとアルゼンチンは激突。2006年のドイツ大会準々決勝では、1-1からのPK戦の末、ドイツが勝った。前回の2010年南アフリカ大会でも準々決勝で対戦し、ドイツがマラドーナ監督率いるアルゼンチンを4-0で粉砕した。

 いずれの試合でもゴールを決めているFWミロスラフ・クローゼは今大会の準々決勝ブラジル戦でW杯通算16ゴール目を決め、元ブラジル代表FWロナウドを上回る新記録を樹立した。決勝戦でさらに記録を更新するかどうかにも注目が集まる。

 4年前のドイツもヨアヒム・レーブ監督が率い、クローゼのほか、MFトーマス・ミュラー、MFメスト・エジル、MFバスティアン・シュバインシュタイガー、MFサミ・ケディラ、DFフィリップ・ラーム、DFジェローム・ボアテング、GKマヌエル・ノイアーら現在も主力を担う選手たちが先発していた。

 一方のアルゼンチンもFWリオネル・メッシ、FWゴンサロ・イグアイン、MFアンヘル・ディ・マリア、MFハビエル・マスチェラーノ、DFマルティン・デミチェリス、GKセルヒオ・ロメロらが当時も先発。アルゼンチンは監督がマラドーナからアレハンドロ・サベジャに代わったとはいえ、嫌なイメージは残っているだろう。

 今大会のこれまでの戦いぶりを見ても、ドイツ優勢は否めない。アルゼンチンが準決勝のオランダ戦から中3日であるのに対し、ドイツは準決勝のブラジル戦から中4日。しかもアルゼンチンはPK戦まで戦い抜いたが、ドイツは前半だけで5-0と大量リードを奪う余裕の試合展開だった(最終スコアは7-1)。

 今大会序盤はボランチでのプレーが続いたラームを本職の右サイドバックに戻してからは攻守に安定感が増したドイツ。故障明けのケディラもコンディションが上がってきてからは先発に固定され、シュバインシュタイガー、MFトニ・クロースとの中盤3枚は充実している。ミュラーは史上初となる2大会連続得点王へあと1点と迫っており、DFマッツ・フンメルス、ノイアーを中心とした守備陣も盤石だ。

 一方のアルゼンチンはFWセルヒオ・アグエロがオランダ戦の後半37分から出場し、3試合ぶりの復帰を果たしたが、コンディションは万全ではない。準々決勝のベルギー戦で右太腿を負傷したディ・マリアに復帰の可能性が出てきたとはいえ、たとえ間に合っても時間限定での起用だろう。攻撃での“メッシ依存度”はより一層高まっている。

 頼みは決勝トーナメントに入ってから、2度の延長戦を含めて3試合連続で無失点中の守備陣か。中盤の底で存在感を発揮するマスチェラーノと最終ラインを統率するDFエセキエル・ガライ、オランダ戦でPKを2本ストップしたGKセルヒオ・ロメロは気力も充実している。後ろが我慢してエースの一発に託すという展開もあり得る。

 前線からの守備に加わることなく、ピッチ上を歩いている時間も長いメッシは、ほぼ攻撃だけに専念している。しかし、それを監督もチームメイトもファンも“容認”している。その分、いつも決定的な仕事をしてくれるのがメッシであり、チームを救ってくれるのがメッシだからだ。

 準決勝のオランダ戦で印象的なシーンがあった。味方からのミドルパスが大きくなり、ボールはそのままタッチラインを割りそうだった。それでも、たいていの選手であれば、追いつくのは難しいと分かっていても一応は追いかけるであろう場面。しかし、メッシは微動だにしなかった。試合も終盤。少しでもエネルギーを取っておこうということだったのだろう。

 そのとき、アルゼンチンのサポーターから大きな「メッシコール」がスタジアムに響き渡った。ブーイングではない。“ボールを追いかけろ”という意思表示でもない。むしろ“そんなボールはいいから、ゴールを決めてくれ”という願いのような歌声だった。

 4年連続でバロンドールを受賞し、リーガ・エスパニョーラ、欧州チャンピオンズリーグ、クラブW杯など数々のタイトルを獲得してきた。代表でも05年のU-20世界ユース選手権、08年の北京五輪を制した。メッシの輝かしいキャリアの中で唯一、欠けているのがW杯のタイトルだ。

 1986年大会のマラドーナと同じように10番を背負い、キャプテンマークを巻いてチームを牽引するメッシが、アルゼンチンを28年ぶり3度目の頂点に導き、マラドーナと肩を並べるか。それとも、ドイツがその夢を打ち砕き、24年ぶり4度目の戴冠を果たすか。世界中が注目する聖地・マラカナンでの一戦は、日本時間14日午前4時にキックオフされる。

■FIFAランキング
ドイツ 2位
アルゼンチン 5位

■対戦成績
ドイツ:6勝5分9敗

■テレビ中継
NHK

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