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[昌平×NB]“埼玉絶対王者”を目指す昌平高に旋風の予感…プリンスリーグの経験が武器に

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 今季の昌平高は、“埼玉絶対王者”を目指している。2月に行われた埼玉県新人戦、昌平は順当な勝ち上がりを見せると、全4試合を完封勝利で飾る圧勝劇を見せて、2年ぶり2回目の頂点に立った。昌平の監督に就任して節目の10年目を迎える藤島崇之監督は「この前の選手権に出た時のチームよりも間違いなくいい」と十分な手ごたえを感じている。

 2年前の冬の全国選手権で昌平高は全国デビューを飾った。結果は1回戦敗退だったが、FW野村祐一朗(現新潟医療福祉大)ら個の能力に勝った3年生が、プリンスリーグ関東昇格という置き土産をして卒業していった。しかしレギュラー陣の多くが抜けた新チームは上位リーグで苦戦を強いられることになる。結果は2勝1分15敗で最下位。1年で県リーグに降格となった。

 ただ、昌平にとしてはプラスの要素もあった。1、2年生が中心となって大会を進めた結果、経験という武器を手にしたのだ。特に攻撃陣はそのままのメンバーが新チームの攻撃陣になっている。「自分たちのスタンスを大きく変えずに、格上相手にリスクを恐れないサッカーを経験できたことは大きい。そういう部分で去年の経験が活きるベースはあると思う」。藤島監督が話すように、Jリーグの下部組織と対戦出来た経験は、昌平イレブンの何よりの財産になっている。

 意識改革も行っている。昌平は170cmに満たない小柄な選手が多く在籍している。その分、俊敏性や技術面で優れる選手が多くいるが、やはり全国相手のサッカーを見据えるチームとしてはフィジカルは大事な要素となってくる。そこで昌平は、昨年冬の県予選で敗れてから週2~3日、ウエイトトレーニングを取り入れて、筋力強化に努めてきた。野中博臣フィジカルコーチは「新人戦ではフィジカル負けしなかった」と成果に目を見張る。フィジカルトレーニングが苦手だったというMF針谷岳晃(3年)も、「負けなくなった」と手ごたえを話した。

 そんな昌平高イレブンを足元から支えるのが、ニューバランス社が提供するスパイク『VISARO(ビザロ)』だ。ニューバランス社はランニング部門で日本指折りのメーカー。そのノウハウを存分に生かしたスパイク『VISARO(ビザロ)』は、90分戦って違いが分かるスパイクに仕上がっている。多くのスパイクで強調されるフィット感はもちろんのこと、大きな特徴としてあるのが、足裏のソール部分の構造。生体工学、生態力学に基づいて日本人に合わせたスタッドポジションを実現し、抜群の安定感と耐久性を生み出している。

 選手らは商品企画/フィールドオブプレイチームの石橋辰典氏からスパイクについての説明を受けると、早速試し履き。一発で目に飛び込むオレンジ、そして白のカラーバリエーションが特徴の人工皮で作られた「ビザロ PRO HG」、シンプルな黒を基調としているカンガルー皮の「ビザロ FULL-GRAIN」が並ぶ中で、靴幅なども含めた自らに合う一足をチョイスした。

 ビザロを履いて練習に励む選手らを見つめた石橋氏は「最初は違和感があると思いますよ」とつぶやいた。真意を問うと、「履いて、プレーしてみれば分かると思いますよ。試合が終わった時に疲れが違うと思います」とニンマリ。スター選手が着用する欧州基準で作られるのではなく、日本人の足型に合ったスパイクになっていることを強調した。

 試し履きした選手らにも好評だ。全国選手権に出場した2年前の大会で1年生ながらスタメン出場していたMF松本泰志(3年)は、「細身で今までにないフィット感があった。今後も履いていきたい」と唸る。藤島監督が「瞬間的なスピードの速さがある。最近よくなってきて、捕まらなくなった」と急成長を認めるFW本間椋(3年)も「ストレスがなくてよかった。すごく履きやすかった」と笑顔で話した。

 今季の目標を問うと、選手らからは一様に「埼玉五冠」という言葉が返してくる。埼玉県の高体連の大会を全制覇するという意味だが、その権利は新人戦を制した昌平高にしかない。「新人戦で結果を出したことに過信してはいけない」と話した藤島監督も楽しみな部分の方が多いと自信をみせる。そして、「自分たちで落としたんだから、自分たちで上げろ」と、プリンスリーグ復帰をノルマに課している。近年、埼玉県は全国の舞台で結果を残せていないが、今季の昌平高は旋風を巻き起こす可能性を秘めている。

(取材・文 児玉幸洋)

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