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[新人戦]「自分が裏方に」尚志は選手権でも先発のMF松本が攻撃性能も示して決勝点演出

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尚志高の攻守の柱、MF松本雄真

[1.30 東北高校新人選手決勝 青森山田高 0-1 尚志高 相馬光陽サッカー場A]

 昨年から尚志高のレギュラーで新チームの柱。MF松本雄真(2年)は「裏方として」チームを支える決意でいる。

「自分たちの代になってから、自分が裏方になってチームを支えていこうと」

 SBから昨年途中にボランチへ転向。セカンドボールを回収する力と運動量を期待されたMFは先発に定着して選手権でも全2試合で先発フル出場した。特に期待されている守備の部分に加え、攻撃性能も高いMFはこの日もポジショニング良くボールを受けて攻撃の起点に。攻守両面で勝利に貢献した。

 前半4分、松本はカウンターから浮き球を胸コントロールで収めると、右サイドのスペースへパス。DFのチェックを受け流しながら出したパスがMF長谷秀皐(2年)の先制点に繋がった。「あそこは見えていたんで。いい感じで運べてスペース空いていた。あそこは落ち着いてできたので良かった」と自身も納得のプレー。これでチームは勢いに乗った。

 先制後も中盤で背番号8は効いていた。味方が奪ったボールを受けた松本は「(青森山田は)切り替え速くて中盤密集してくる。食いついて来るので外が空く」と相手のプレッシャーをいなすようにボールに絡んだり、スペースを突く形で持ち上がってからサイドへ展開。切り替え速い青森山田からボールを失わず、攻撃の時間を増やすポイントになっていた。

 落ち着いてプレーしているかと思いきや、本人は「自分でいっぱいでした。ボール持った時に慌ててしまって」と苦笑い。守備面では相手の縦パスのコースを上手く消し続けていた一方、攻撃面では反省点が口をついた。自分の役割は裏方になってチームを支えることと認識している。だが、 “上がりすぎる”ほどの攻撃意欲を消すつもりはない。今の自分に足りないのはミドルシュートなど攻撃面。不満の内容に終わった攻撃面をより向上させて、より自信をつけて今後ピッチで表現する。

 目標は選手権での日本一。この冬はそれを成し遂げる難しさを味わった。完成度の高いチームと認められていた先輩たちでも選手権は2回戦敗退。「難しかった。自分たちのサッカーはできていたけれど一発カウンター食らったり。失点は少なくして大事な試合で勝ち切るようにしたい」。勝つチームになるために、自分はチームのために“裏方”に徹しつつ、この日のようにゴールに絡むプレーもやり遂げる。「スーパースターみたいな人いないので、組織力で走り負けないことと泥臭くいきたい」と松本。選手権の難しさを知るMFが自身の経験を伝えながら、2冠王者・青森山田高撃破を果たしたチームをさらに高める。

(取材・文 吉田太郎)

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