beacon

初の入れ替え戦でプライドを持って戦い、昌平に3-0勝利。市立船橋が「関東ROOKIE LEAGUE」Aリーグ残留

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半43分、市立船橋高MF左近作怜が先制ゴール

[9.10 関東ROOKIE LEAGUE Aリーグ・Bリーグ入れ替え戦 市立船橋高 3-0 昌平高 時之栖うさぎ島G]

 10日、「関東ROOKIE LEAGUE」Aリーグ・Bリーグの入れ替え戦が行われ、Aリーグ9位の市立船橋高(千葉)がBリーグ2位の昌平高(埼玉)に3-0で快勝。Aリーグ残留を決めた。

 市立船橋はこれまで一度もBリーグ降格がなく、入れ替え戦も初めての経験。同じプレミアリーグに所属する昌平との大一番を前に、式田高義コーチは「市船のプライド、責任を持って戦うこと」を選手たちに強く求めたという。この日は波多秀吾監督も急遽ベンチ入り。選手権優勝5回、インターハイ優勝9回の名門校にとって残留は絶対のノルマだった。

 挑戦者の昌平は、Bリーグで7勝2敗の2位。U-17日本代表MF山口豪太とU-16日本代表のMF長璃喜はトップチームの活動を優先して不在だったが、前日のリーグ最終戦よりも、明らかにこの入れ替え戦にパワーを掛けてきていた。

 普段よりも縦に速い攻撃で前線の185cmFW山本翔大や184cmMF伊藤隆寛を活用。また、MF遠藤佑太やMF齋藤結斗のドリブルが市立船橋を苦しめる。立ち上がりからチャンスを作っていたが、CB森本陽太主将が「(意識的に)速く下がって自分の強みであるヘディングを出せました。(また)最後のところで足出したり粘ってやることは普段からやっている」というように市立船橋はゴール前で堅い。

 その市立船橋は奪ったボールを素早く正確に繋いで前進。鋭い攻撃から181cmFW細内統伍やMF秋陽凪がゴールへ迫る。だが、Bリーグ最少失点の昌平は右SB中島夢瞬主将が「(リーブ戦では)守備全部の試合、結構厳しく行けていたのでそれは良かった。最後シュートブロックのところは練習から意識していました」というように、気持ちを全面に出すCB安藤愛斗や183cmCB高橋心晴が市立船橋のシュートを次々とブロックする。

 互いにゴール前で隙を見せない両チーム。だが、市立船橋が前半終了間際にスコアを動かした。43分、MF小川夢成の展開から、左サイドのドリブラーMF左近作怜がドリブルで中へ切れ込み、右足を振り抜く。GKの弾いたボールがそのままゴールイン。市立船橋が先制に成功した。

 今年、市立船橋は前橋育英高(群馬)、流通経済大柏高(千葉)との開幕2連戦で1勝1分。また、桐光学園高(神奈川)、静岡学園高(静岡)に連勝と強さを示しているが、継続性や安定感に欠く戦いが続いていた。だが、「市船としてここの位置(入れ替え戦)にいるのは絶対に違うと思うし、ここの位置に来てしまった以上、最後の試合だから何があっても勝たないといけないと思ったので、とにかくがむしゃらに走って絶対に勝ち切ろうと話していました」(MF池田煌)という市立船橋は、気迫の戦いを見せる。

 後半立ち上がりも昌平にチャンスを作られたが、粘り強くリードを維持。前からボールを奪いに行き、池田が追い越す動きから追加点を奪う。さらに相手のミスを逃さずに加点した市立船橋が昌平の反撃を振り切り、3-0で勝利した。

 チームリーダーの森本は「最初に(主将に)なった時よりも自分がまとめるという意識が芽生えたけれど、もうちょっと声も出してやっていきたい。もうちょっと声かけて、今回がクリーンシート初めてなので、どんどん増やしていきたい」と語った。この日は意地の勝利。だが、今後、各選手のカテゴリーが上がる中で同じことを繰り返してはならない。森本は「(3年生になったら)3冠目指して、全国取っていきたいです」。特別な伝統を持つ市立船橋はこの日のような戦い、勝利を継続する。

前半43分、MF左近作怜が右足で先制ゴール

市立船橋のCB森本陽太主将がチームメートを鼓舞

昌平のCB安藤愛斗が気持ちを全面に出して守っていた

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP