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鹿児島城西が新潟U-18を退けプレーオフ初戦突破! 2回戦でも自分たちらしい戦いで未来を切り拓く

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鹿児島城西高が2回戦に進出

[12.8 高円宮杯プレミアリーグプレーオフCブロック1回戦 鹿児島城西高 2-1 新潟U-18 バルコムBMW広島総合グランド]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024に参入する権利をかけた高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 プレーオフが8日に開幕し、1回戦8試合が行われた。Cブロックの鹿児島城西高(九州1/鹿児島)とアルビレックス新潟U-18(北信越2/新潟)による一戦は、前後半に1点ずつ奪った鹿児島城西が2-1で勝利した。10日の2回戦では近江高(関西2/滋賀)と対戦する。

 先手をとったのは、鹿児島城西。「昨日の練習からチーム全体で、プレミアリーグに上がろうとの気持ちが出せていた。自分たちがこの舞台に来ているということは、Jユースと劣らないぐらいの力がある。だから、自信を持ってやろうと話していた。今日はそれもあって、みんなが良い形で試合に入れた」。DF内田輝空(3年)の言葉通り、昇格にかける気持ちをプレーに表現し、新潟陣内に攻め込む。

 17分にはGK橋口竜翔(3年)のロングフィードにMF芹生海翔(3年)が右サイドで反応。PA右まで持ち込んで送ったパスから、MF山下慶人(3年)がゴールを狙う。このシュートは相手DFに阻まれたが、こぼれ球を左サイドで拾ったDF木原綾汰(3年)のクロスが新潟の選手に当たってゴールに吸い込まれた。

 幸先の良いスタートを切った鹿児島城西だが、以降が続かない。理由について新田祐輔監督はこう口にする。「後ろが簡単に出ていって守備が割れていた。入りは悪くなかったのですが、そこのずれを子どもたちが掴めなかった。攻撃の圧力はかけられていたのですが、1点獲って気持ちが緩んでしまった」。

 対する新潟は立ち上がりこそ鹿児島城西の勢いに飲まれたが、前半半ばからは「自分たちのスタイルであるボールを大事にする部分で相手を上回れた」(MF大竹優心、3年)。テンポ良くボールを動かし、MF石山青空(3年)がゴール前に差し込む場面が出てくると、38分にはMF糸賀大翼(3年)からのパスから、右サイドを駆け上がったDF安田陽平(1年)がクロス。ファーサイドから中に絞ったMF丸山皓己(3年)が合わせて、試合を振り出しに戻した。

「前半のうちに2点目を獲れるかが勝負だったと思っていた」(新田監督)という鹿児島城西にとっては痛恨の失点だったが、すぐに気持ちを切り替える。「後半は立ち上がりの15分で勝負を決めようと話していた。15分で決めたら何とかなるから、頼むぞって」。指揮官のメッセージに応えたのは、1点目を呼び込んだのと同じく芹生。後半10分に、FW岡留零樹(3年)が競り合ったこぼれ球をダイレクトで打ち返し、2点目をマークした。

 以降は新潟に押し込まれる展開を強いられたが、ボールを持たれるのは想定内。サイドチェンジを警戒しながら、ゴール前で粘り強く対応していく。警戒網を打ち破って、チャンスを作った新潟は13分にはMF小林章馬(3年)のクロスから、FW棚木靖斗(3年)がゴールを狙ったが、シュートはクロスバーをかすめる。15分にFW長谷川紡(3年)が放ったシュートもクロスバーに阻まれた。

 試合終了間際にも安田の左クロスから右サイドの小林が決定機を迎えたが、シュートは左ポストに阻まれ、鹿児島城西が2-1で勝利。試合後、大竹は「相手陣地で回す時間帯が増えた中で、ゴールを決め切れなかったのは自分たちの力不足。シュートを打つ場面を増やせば、もっとチャンスが作れた」と悔しさを滲ませた。

 今年の鹿児島城西はプレミアリーグ昇格が至上命題だ。県のライバルである神村学園高とは今季3度対戦。県の新人戦、九州新人では勝利したが、インターハイ予選の決勝では涙を飲んだ。敗れた原因は今年からプレミアリーグを戦う神村学園の成長。高校年代最高峰のリーグを戦うことでプレーの強度、スピードに格段に上がっていたという。「絶対にプレミアへと上がって、チームの価値を同じにしたい。神村らしさ、俺ららしさがある中、俺ららしさを一番上のレベルでできたら、俺ららしさにもっと拍車がかかる」(新田)。

 選手の想いも同じだ。「プレミアを経験しているのと経験していないので強度の差が出てくる。来年も鹿児島城西に勝って欲しいので、自分たちの力でプレミアを戦っている神村学園との差を埋めていきたい」と内田は話す。チームの未来を切り拓くため、2回戦でも鹿児島城西らしく力強く白星をつかみ取る。

(取材・文 森田将義)
●高円宮杯プレミアリーグ2023特集
森田将義
Text by 森田将義

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