beacon

[新人戦]神村学園が雨中の戦いに順応。球際で勝り、技術力も発揮して3-0で決勝進出:九州

このエントリーをはてなブックマークに追加

神村学園高は強度の高さも勝因に。中盤で出場したDF鈴木悠仁主将(右)が球際で激しいチェック

[2.19九州高校新人大会準決勝 佐賀東高 0-3 神村学園高 鹿児島県立サッカー・ラグビー場A]

 KYFA男子第45回九州高等学校(U-17)サッカー大会(鹿児島)準決勝が19日午後に行われ、神村学園高(鹿児島1)が佐賀東高(佐賀1)に3-0で快勝。神村学園は20日の決勝で大津高(熊本1)と戦う。

 ともにボールを保持しながら主導権を握る戦いが特長。だが、この日は大雨と強風によって、普段とは異なる戦い方を強いられることになった。立ち上がりは佐賀東がプッシュ。FW石川僚祐(1年)の右足シュートがゴールを脅かし、10番FW大島弘賀(2年)が抜け目のない動きで相手DFを嫌がらせていた。

 神村学園は、前日までの日本高校選抜活動後に合流したゲーム主将FW名和田我空(2年)が雨中で明らかに他と異なる動き。前線でタメを作り、相手の守りのギャップを見逃さずにゴールを意識したパスを通していた。

 佐賀東はMF新藤七瀬(2年)の突破やMF甲斐巧海(2年)のミドルシュートなど積極的な戦い。神村学園は雨の中、やや繋ごうとし過ぎたことで苦戦していたものの、DF中野陽斗(1年)とDF黒木涼我(2年)の両CBや左SB井村知也(2年)が球際の攻防で上回るシーンが多く、相手に流れを渡さなかった。

 後半、有村圭一郎監督から「PAに侵入されるのが自分たちは嫌だっていうサッカーだったら、 PAに侵入していく方向でサッカーしていく方向がいいんじゃない?」というアドバイスを受けた神村学園は戦い方を整理。浮き球のパスを有効活用して高い位置までボールを運び、ラストパス、シュートへ持ち込む。

 佐賀東は背後を狙われ続ける中、CB後藤光輝(2年)がリスクを負わず、確実なクリアで攻撃を断ち切る。また、相手のU-17日本高校選抜候補FW大成健人(2年)をCB甲斐桜助(2年)とU-17日本高校選抜候補左SB江頭瀬南(2年)が2人がかりで止めるなど食い下がる。

 だが、神村学園は連続攻撃で圧力を掛けると、エースFW名和田がスコアを動かした。後半11分、左サイドのMF松下永遠(2年)のパスが、水たまりで勢いを落としながらも中央の名和田へ届く。名和田は非常に判断速く縦へ持ち込むと、対応したDFよりもわずかに前へ出て、左足を振り抜いた。この一撃がゴールを破り、先制点。佐賀東も石川が相手のわずかな隙を突いて左足シュートへ持ち込んだが、神村学園GK江田優大(1年)が同点ゴールを阻止する。

 神村学園は15分に3人替え。予選リーグ初戦以来の出場となったU-17日本高校選抜候補DF鈴木悠仁主将(2年)がボランチの位置に入り、力強い守備を連発する。鈴木を筆頭に各選手が球際で強度の高い守備を続け、マイボールの時間をさらに増やした。

 名和田も「空中戦だったり、球際っていうのは本当に見てた人も思っているだろうし、やっぱり神村が勝っていたと思うので、後半の部分は。ほんとにその一つ一つの小さな球際だったりが、ほんとに勝利に繋がってくるっていうのは、ほんとに改めて感じました」と振り返る。

 神村学園は後半23分、鈴木からの浮き球パスを受けたMF徳村楓大(1年)が縦に仕掛けてゴールライン際からクロス。これをU-17日本高校選抜候補FW日高元(1年)がダイビングヘッドで決めて2-0とした。

 佐賀東のU-17日本高校選抜候補右SB田中佑磨主将(2年)は、「自分らが順応できなかったっていうのが敗因です。(雨でボールが止まる中、)蹴るじゃなくて、彼らみたいにすくう(すくい上げる形で蹴る)っていう技術面で負けてしまった。こういうサッカーにも慣れておかないと、いざってなった時に県大会で負けてしまったりする。今日、経験できたんで、学習したいと思います」と語った。

 神村学園は27分にも鈴木が右サイドから蹴り入れたボールがそのままゴールイン。3-0で2年連続となる決勝進出を決めた。大会を控えた練習試合では、日章学園高(宮崎)や長崎総合科学大附高(長崎)に7失点。有村監督は「ちょっと自信もない感じでした。ちょっとずつ、やれることが増えてくればいいかなと思いながら九州大会に臨みましたけど。それなりの状況にはなってきてんじゃないですかね。もちろん、まだまだですけど」。この試合は選手権で先発した選手たちが負傷欠場。怪我で夏冬の全国大会メンバーから外れた注目MF金城蓮央(2年)も離脱が続いている状況だが、その中でチャンスを得た選手たちのアピールも見られる。

 名和田の合流が大きいことは確かだが、チームは大会中にも成長の跡。決勝は大津とのプレミアリーグ勢対決だ。名和田は「ほんとに去年負けてるので、去年の借りを今年返せるように。本当に決勝も勝利に導けるように頑張ります」。前回大会は決勝で鹿児島城西高(鹿児島)に敗戦。今回は大会最終日も成長することに加え、勝って九州大会を終える。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP