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[新人戦]九州大会を通して抜群のパフォーマンス。大津の注目CB五嶋夏生主将が涙の決意「勝たせられる選手に」

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大津高CB五嶋夏生主将(2年=ブレイズ熊本出身)は大会を通して抜群のパフォーマンスを見せた

[2.20九州高校新人大会決勝 神村学園高 1-0 大津高 白波スタ]

 準優勝の表彰を受ける時点で涙を浮かべていたが、試合を振り返るうちに堪えられなくなっていく。「やっぱり大津高校は負けてはいけないと思うので、勝たせられる選手になりたい」。大津高(熊本1)DF五嶋夏生主将(2年)にとって、KYFA男子第45回九州高等学校(U-17)サッカー大会(鹿児島)の締めくくりは悔しさの残る形となった。

 決勝で敗れはしたが、大会を通じてのパフォーマンスは際立っていた。「去年、先輩たちがプレミアリーグや、選手権という高いレベルを経験させてくれたので、そういう部分が今は生きてきているのかなと思います」

 その言葉通り、昨年一年間コンスタントに出場経験を積んだことでプレーの安定感がアップ。190cmの高身長を生かした競り合いの強さはもちろんだが、「足を運べるようになってきた」(山城朋大監督)ことで自陣ゴール前での粘り強さも身に付いてきた。

 ただ、CBを組むDF村上慶(1年)とともに積極的に前へとチャレンジするため、ミスからの失点も見られたのも事実。今大会の6試合で無失点に抑えた試合はブロックリーグの佐賀商高戦のみだったが、五嶋が見せたプレーはチーム関係者が「高卒でプロが狙えるぐらいになってきた」と太鼓判を押すほどだった。

 神村学園との決勝でも、五嶋が見せたパフォーマンスは高かったが、前半29分には一瞬の隙を突かれて失点。このゴールが決勝点となり、涙を飲んだ。「試合を通して相手を上回る部分はあったと思うのですが、チームとして、個人としての力強さ、逞しさが足りなかったから、こういう結果になってしまったと思います」と悔しさを滲ませた五嶋はこう続ける。

「相手はチャンスが少ない中、1本を決める勝負強さみたいなモノがあった。自分たちはあれだけチャンスを作りながら、決め切れなかったという課題は残った。そういう所が強いチームか弱いチームかの差になってくると思うので、1本中の1本ではないですが、そういう所にも拘ってやっていく必要があるなと思いました」。

 最終学年を迎える今年はキャプテンに指名された。「去年から2年生のリーダーという形で引っ張ってはいたので、キャプテンになるのかなとは思っていた。キャプテンとして人一倍やらなければいけない。自分がやらなければ周りが付いてこないという意識でやっています」。

 五嶋が入学した一昨年のキャプテンは、世代別代表の常連だったFW小林俊瑛(現・筑波大)。昨年は水戸ホーリーホックに進んだMF碇明日麻が腕章を巻き、圧倒的な存在感でチームを引っ張ってきた。「これまで俊瑛さんと明日麻さんという素晴らしいキャプテンの下、サッカーができたので、2人を目標に頑張りたい」と話すように大津の顔となる選手がやらなければいけないことは分かっている。

「今年は高卒でプロに行くことを目標にしている。昨年、(碇)明日麻さんがプロに行きましたけど、プロに行くにはもっともっと努力必要ですし、明日麻さんを見て分かる通り、やっぱり圧倒的な力がないとチームを引っ張れないと思う」。

 流した涙をこのまま無駄にするつもりはない。「これが最後ではない。自分たちの最終的な目標は全国制覇すること。その目標は常に掲げつつ、この悔しさを次に繋ぐしかない。チームとしてもっと強くなって、プレミアや総体に向けてこれから一人ひとり努力していきたい」。そう誓った五嶋は、以降の大会で圧倒的な存在を見せ勝利とタイトルを引き寄せる。


(取材・文 森田将義)
森田将義
Text by 森田将義

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