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決勝敗戦後にロッカーで固めた覚悟…横浜FMユース島田春人「絶対にプレミアを獲れるチームだし、獲らないといけない」

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横浜F・マリノスユースのゲームキャプテンを務めたMF島田春人(3年)

[8.3 クラブユース選手権決勝 C大阪U-18 3-1(延長) 横浜FMユース 正田スタ]

 クラブユース王者の称号には、あと一歩のところで届かなかった。それでも決勝戦で横浜F・マリノスユースのゲームキャプテンを務めたMF島田春人(3年)は試合後、「予選から自分たちはキツいサッカーをしてきて、全員がそのスタイルでここまで来られたのはチームメートに感謝したい」と気丈に振る舞った。

 準決勝の柏U-18戦では前半2-2の接戦を演じたが、ハーフタイムに落雷による中止が決定。横浜FMは大会規定に基づく抽選の結果、幸運にも支えられての決勝進出となった。

 今季は“主将3人制”でMF篠原佑岳(3年)、MF細川楓(3年)との交代でゲームキャプテンを務め、決勝戦で大役が巡ってきた島田は「レイソルさんとの試合がああいう結果に終わってしまって、まずはレイソルさんのためにも勝たないといけない気持ちと、今大会これまで6試合やってきて、そのチームの思いもある。コロナや怪我で来られないチームメートもいたのでいろんな気持ちを背負って臨んだ」と振り返る。

 そんな意気込みはピッチの中で存分に発揮されていた。技術の高いC大阪にズバズバと縦パスを通される時間帯が続き、島田と篠原の中盤は何度も上下動を強いられたが、懸命なプレスバックで分厚い守備網を構築。また延長戦では左サイドハーフにも入り、驚異的な運動量を見せていた。

「去年1年間は左ハーフをやっていて、大熊さん(大熊裕司監督)からは絞って守備もしてほしいという意図も感じた」。指揮官からの信頼を背負った主将は1-1で迎えた延長前半5分、鋭い突破からハイクロスでチャンスメーク。だが、MF松村晃助(3年)のヘッドはGKの正面に飛び、決定機を活かせず、その4分後に相手の決勝点が入った。

「自分がもっとゴール前に関われたらよかったけど力不足だった。何もできなかったのが力不足」。敗戦後、そう自身のプレーを悔やんだ島田はキャプテンとしての役割についても誇ることせず。「チーム全員がそれぞれ声をかけることができて、全員がコミュニケーションを取れるチームなので」。あくまでも今大会を勝ち上がってきたチームの一体感に矜持を見せた。

 島田にとっては横浜FMジュニア時代以来、6年ぶりとなる全国決勝。この日の対戦相手には6年前に全日本少年サッカー大会決勝で敗れたセンアーノ神戸のMF和田健士朗、FW末谷誓梧、FW金本毅騎がおり、6年越しの頂上決戦が実現していた。それでも「そこまで気負わず、目の前の試合だけという感じでできた」と島田。「試合前によろしくと話したり、試合後には写真を撮っておめでとうと伝えた」と交流があったといい、勝敗こそ分かれたが日本一をかけた舞台での再会は貴重なひとときだったようだ。

 全国決勝での悔しい敗戦を経て、チームはすでに前を向いている。「ロッカールームでもみんなとプレミアしかないぞと話したし、本当にいい経験をさせてもらったので、それは絶対に今後に活きてくることしかない。そこにシフトチェンジできている。絶対に獲れるチームだし、獲らないといけない」。高円宮杯プレミアリーグEASTでは現在2位。タイトルを逸した悔しさを知った男たちはすべてをかけ、残された10試合に臨む。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】第46回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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