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ロンドン五輪、なでしこジャパン メンバー発表会見全文

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 日本サッカー協会は2日、ロンドン五輪に出場する日本女子代表(なでしこジャパン)の登録メンバー18人を発表した。

以下、会見での佐々木監督コメント全文

佐々木則夫監督
「あらためましてこんにちは。たくさんのメディアの方にお越しいただき、ありがとうございます。これも今までにはない、なでしこの注目、そして期待の一種と感じております。メンバーを発表する前に、今回の選考をするにあたってのポイントとしましては、2008年から僕が監督として活動するにあたって、攻守にアクションするというサッカーに取り組んできました。今年で5年になります。1シーズン目の08年北京オリンピックでは、目指したベスト4を獲得することはできました。そのときに、たった1チームだけが、メダルをかけられなかった。その悔しさを持っています。そしてその後もとにかくチャンピオンを目指すという思いで5シーズンやってまいりました。そしていよいよ、僕自身が監督として総括するシーズン、みんなで苦しい思いで勝ち取ったロンドン五輪。これに向けて、何を隠そう本当に一番光っているメダルを目指して、選手、スタッフ一丸となって戦っている。その中でのメンバー選考。その中でも、攻守にアクションするというわれわれのサッカーを熟知していること。そして一人ひとりがポテンシャルのあるプレーを実践してくれる、そういう期待を持った選手。そしてオリンピックだけではなく、その先を見据えたメンバー選考を私の考えた中で追加させていただきました」

「この18名+バックアップ4名で臨みます。大会までに変更が可能な状況です。もちろん選手として戦えないような状況、そういう負傷のあった場合ですが。先日われわれはアメリカに1-4と大敗しました。これを謙虚にチーム一丸となって受け止めて、日本キャンプでは男子と実戦を行って、強化をしっかりと図ってフランス、ロンドンに入りたいと思っております。いずれにしても、35名の枠に入っている選手たちにチームでしっかりコンディションを整えていただき、キャンプでしっかり実践をする。各所属チームのご協力を頂きまして、これまでやってきました。なでしこジャパン、単なるチームでやってきたわけではなく、数多くのクラブチーム、日本の31年目の歴史。そして何よりも北京の悔しさを、このロンドンで晴らしてきたいと思います」

以下、質疑応答

―メンバー選考、発表を終えて?
「決断をしてですね、さぁロンドンオリンピックがいよいよだなと、ひしひしと感じています。このオリンピックを目指した選手たちが数多くいます。選考した自分としましては、そういった人たちの誇りをしっかりとくみ取りながら、常に戦っていきたいと感じております」

―4年前との違いは?
「本当にあのときもベスト4へチャレンジ、そして今回もさらに上を目指したチャレンジということで大会に臨みます。前回は風変りのメンバー発表で、後ろに選手がいたのですが、今回はいなくてよかったなと(笑)」

―昨年のW杯からメンバーが絞られたが?
「もちろん今までやってきた5シーズン目の攻守にアクションするという、なでしこのサッカーを表現できる選手たちということ。そして何よりもピッチ内だけではなく、ピッチ外でもしっかりとチームワークを持っている選手たち。そしてこのロンドン五輪だけで終わるのではなく、その先もなでしこはつながっていくということも考慮した中でメンバーを選考させていただきましたし、選手には期待しております」

―スウェーデン遠征から帰国して『悩んでいます』と話していましたが、最も悩んだのは?
「今シーズンになって若い選手たちが非常に成長してくれた感がある中で、少しケガなどもあった。それが選考にあたって支障があったかなというのはあります。いずれにしても、今回、先ほど述べた要因の中で、自信を持って選考させていただきましたし、僕自身も期待をもっています」

―ケガというキーワード。3名が大きなケガを抱えていました。まずDF岩清水梓選手は苦しんでいます。
「今、現状のパフォーマンスではやはりまだ物足りなさはあります。もう少し期間があります。そして合流した時点では岩渕選手にしても、岩清水選手にしても、しっかりしたパフォーマンスを見せてくれると思う。その中で日本のキャンプでしっかりとわれわれのサッカーであり、かつ欧米の対応ができるトレーニングをしっかり積んだ中でできるのではないかと、十分にコンディションが上がって来るということを考えての選考です」

―岩渕選手はトレーニングも見に行かれましたが?
「彼女だけではないのですが、いずれにしても、彼女たちの期待をしっかりと組み込んだ中での選考ですね。それと若い、この先ということも踏まえた中で、十分に彼女が良いコンディションになれれば、現状のベストに入るでしょうし、さらに先もなでしこをけん引してくれる選手になるだろうという期待もあります」

―丸山佳里奈選手は「佐々木監督の夢を見てます」と話していましたが?
「多分、僕の夢はあまり良い登場の仕方ではないと思います(笑)。いずれにしても、先日の日本でのミニキャンプ、そして現地に行ったときのパフォーマンスですね。その辺を加味しながら。彼女もやはり日本のキャンプで強化をする中でのアップというところで。いずれにしても、われわれはバックアップの4人は常に本大会に帯同しながら活動ができますから、その辺を考慮した中での選考であったことを加えたいと思います」

―佐々木監督が選んだ18人で臨む五輪。どんな目標、思い?
「本当になでしこジャパンはみなさんに期待をしていただいています。この期待を良い糧にして、良いプレッシャーを力に変えて、北京ではベスト4になりましたが、メダルを取った国はすべて優勝を目指した中での結果です。われわれは今回臨むにあたってチャンピオンを常に目指しながら、この5年やってきました。その中で良い経験ということで、W杯につながりました。これは本当に、オリンピックは別物です。特に第1戦、これは魔物があるというのは、選手に言われていたのですが、僕は知らないで北京で一戦目、ニュージーランドとやりましたが、本当に魔物がいるんですね。とにかく第1戦に良い形で入れさせる。そして常にみなさんの期待に応えられるように、精いっぱい頑張って、選手もスタッフも、金メダルを目指して、何とか邁進していきたい。自分たちのサッカーができれば、それに近づくと信じて、良い準備をしていきたいと思います」

―オリンピックに向かう前に国立で男子と一緒に壮行試合があるが?
「国立を満員にしていただいて、そういうプレッシャーと良い緊張、開幕第1戦というようなイメージを、なでしこにもU-23にも与えていただいて、良いゲームをみなさんに見ていただきたい。そして、もちろん第1戦ですから、結果を常に意識して、自分たちの戦い方で戦って勝つ。キリンチャレンジカップは、良いロンドンの壮行試合になると思いますので、ぜひ、みなさん国立を満員にしてください。それがわれわれへの期待だと思っております」

―いろいろなチームから研究される立場になっていますが?
「われわれも研究していますので。それはお互いそうだと思いますけど、精いっぱい、なでしこらしいサッカーをみなさんに披露して、そして結果をしっかりとつかみたいと思います」

―2020年の東京五輪招致活動が始まっていますが?
「2011年は思いのほか、なでしこジャパンの結果で日本のみなさんが感動や勇気、希望を頂いたと言っていただけました。今回のロンドンでも、その活躍、そのプレーのひたむきさなどで日本の皆さんに同じような思いを伝えたい。2020年に日本でオリンピックを開催し、元気をスポーツ界が発信して、われわれの日本だけではなくて、さまざまな国が日本にやってきて、子供たちに見ていただく。本当に2020年はすばらしい機会になると思う。結果はどうなるか分かりませんが、ぜひ、このタイミングで日本にオリンピックをというのは僕自身も強く思っています。われわれも協力したいと強く思っています」

―澤穂希選手、現時点で彼女の回復具合は?
「先だってスウェーデン遠征をしまして、彼女のその時点での状況を把握できました。チームに戻って、1日1日コンディションを上げてもらっていると思いますし、日本のキャンプでも、準備していく中で、彼女のパフォーマンスも上がって来ると。そういう確信があっての選考です」

―ケガ人の中で宇津木選手が外れました。彼女については?
「宇津木選手については、思いのほか回復も良く、今リハビリをしっかり積んでいるところです。いずれにしても、バックアップにも入らなかったといえども、35名枠として十分に期待できるということを僕自身、今も思っています。彼女自身もフランスに渡って帰ってきて、パフォーマンスが非常に良い状態で、スウェーデン遠征をやっていました。いずれにしても、今選ばれたチーム状況に変化がなければチャンスはないというのはありますが、しっかりとリハビリをして、自分と戦うという意識を持って、つらいとは思いますが、頑張ってほしいと望みます」

―18人を選ぶ中で一番悩んだポジションは?
「選考するにあたっての悩みは、現状のパフォーマンスと故障を考えた。コンディションをつくっているという状況の選手もいる。思いのほか、ケガをしている人が多かったということが、選考に当たっては難しかったですね」

―18人を最終的に決めたのは、どの段階?
「アメリカへ向かう途中の飛行機です。かなり時間がありました。その辺で再度、自分が決めた陣容で繰り返し繰り返しシミュレーションをした中で決定をしました」

―メンバー構成ですが、FWが6人と多い意図は?
「FW、MFは微妙なので、みなさんに解釈していただければと思います。FWもでき、MFもできるというような解釈をしていただければと思います」

―有吉選手がバックアップに入り、SBの控えが不在だが?
「個人名を挙げれば、矢野選手が左サイドもできますし、石清水選手も右サイドができると、僕は今までのキャンプ等の中から感じています。もちろん、有吉選手がいれば両サイドができる。有吉選手はスウェーデン戦も含めて、1対1の強さを感じました。バックアップの中でも重要な人材だと僕自身も思っています。併用していけるということを踏まえた中での選考です」

―バックアップ、今年一度も招集していない山根選手が入ったが?
「山根選手は昨年は故障続きでした。しっかりとリハビリを続けて復帰してきました。その中で、U-20で世界と戦った経験値。僕自身が指揮を執っていた中で、彼女の技量を把握していることが大きなポイントです。かつ昨年、サッカーを引退するかっていうくらい大変な思いで乗り越えて、今ジェフでプレーしている。メンタリティの部分、将来性の部分、そして高さでいえば今の日本にいる選手とはスケールがかなり違う。もちろん、もしということがあれば、彼女は十分に対応できる。それも今回のキャンプで、ウィークポイントを修正することはしなければいけませんが。バックアップのメンバーの4人は、上尾辺は非常に経験もありますし、スウェーデン遠征でも非常に調子が上がってきていました。悩みどころの彼女ではあったのですが、今回は非常にフィジカルも高いということを踏まえて、バックアップに回ってもらいました。バックアップの選手はいずれにしても、将来性、そしていつだれが入っても対応できるようにと考えています。大滝選手も代表では経験がありませんが、彼女の持っているポテンシャル、パワー、ヘディングはなでしこでもトップクラスで強いですし、ターゲットプレーもまだまだ安定感はないのですが、シュートなんかも非常に良いです。将来性を踏まえて、現状のプレーでもバックアップになれるということです」

―W杯から3人が外れたメンバーが18人になった。新たな選手が入っていない現状は?
「残念ながら、ケガということが現状ですね。非常に期待している若手の選手たちのケガというものもあります。そういう意味で、W杯が終わったあとの期間からしてみても、選考的な選手たちの枠は広がっていません。その中でも確かに、僕自身も気持ちを揺るがす選手が出てきたことは現実にあります。それもケガということになってしまって残念。そういった選手も、必ずや次のなでしこで活躍できると思います。今は非常につらい状況かもしれませんが、精神的に一回り大きくなるチャンスなので、頑張ってほしいと思います」

―カナダ戦を視察して印象は?
「カナダはシンクレア選手を中心に、パワーのあるチームでした。アメリカと2-1という接戦にできたのは、本当に集中した守備。GKが非常に良いプレーヤーでしたし、彼女を中心とした守備がしっかりしつつ、シンクレア選手を中心としたカウンターで彼女がアシストしていました。カナダ、スウェーデン、南アフリカと、いずれもトップに男子顔負けのフィジカルとテクニックを持った選手がいるという共通点があります。そこに対して1人で守る、2人で守るのもきついのではないかと思います。でも、われわれが11人で攻守にわたってやるならば、十分に勝機はあると感じていますし、そのためにこれから良い準備をしていかないといけません。ニュージーランドとはオリンピックも、ワールドカップも同じ監督と対戦しています。彼は、われわれのウィークなこともレベルの高いポテンシャルの部分もよく熟知している監督です。そういう意味では、視察しただけでなく、その状況で裏の裏という状況も考えて準備しないといけないなと感じる視察をさせてもらいました」

―丸山佳里奈選手に期待することは?
「W杯のドイツ戦でも決勝ゴールを挙げて、苦しい試合を決めたゴールを挙げた。実際にトレーニングを今している中でも、まだ100%のコンディションではない。そういう意味ではトレーニング中ですが、正確なシュートをゴール隅に入れることは今もやっていました。そういうことから逆算して、必ずやまた五輪で途中から投入して、結果を出す。ゴール、もしくはアシストといったプレーのパフォーマンスを期待して選考させてもらいました。あとはオフ・ザ・ピッチでのポテンシャルも非常に高いものがありますしね(笑)」


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