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4年越しの悲願…佐々木監督「メダルへの思いがちょっとの差で上回った」

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[8.6 ロンドン五輪準決勝 日本2-1フランス ロンドン]

 メダルへの思いが選手たちの体を動かした。FW大儀見優季の執念の先制点も、フランスのPK失敗も、終盤の猛攻をしのぎ切った粘り強さも。すべては悲願のメダルを手にしたい一心で戦い抜いた選手たちの気迫が呼び込んだものだった。

 ベスト4まで勝ち残りながら準決勝、3位決定戦と連敗し、あと一歩でメダルに届かなかった08年の北京五輪。この4年間、五輪でのメダル獲得だけを考えて戦ってきた。「今日の勝利は感無量です」。そう振り返った佐々木則夫監督は「08年からオリンピックでメダルを獲得するという思いでやってきた中で、勝つんだという思いが、ちょっとの差でフランスの選手よりもうちのなでしこジャパンの方があったのかなと思う」と勝因を挙げた。

 ブラジルとの準々決勝(2-0)に続く薄氷の勝利も今の“なでしこらしさ”と言える。粘り強く、体を張り、気持ちを前面に押し出して戦う。2-0になってからは引いて守り、カウンターで追加点を狙うという現実的な戦い方になったが、指揮官は「ブラジル戦もそういう戦いになって、何とか勝ち切ったという思いが、彼女たちにそういう選択をさせた。ブラジル戦で味をしめたものが、今のなでしこジャパンにはある」と指摘。それはブラジル戦だけではなく、世界一になった昨年の女子W杯を含め、北京以降の4年間でなでしこが築き上げてきたものだった。

「W杯も含め、そのあともアメリカという素晴らしいチームと何試合もやらせてもらい、強くしてもらった。劣勢でも耐える力が付き、スピード、パワーを誇る相手とも戦えるようになった。そういう経験値が選手たちを成長させてくれた」。北京五輪のときとの一番の違いを聞かれた佐々木監督はそう答えた。「ちょっとの差だけど、最後の点数は我々の方が1点上回り、勝利している」。それこそがまさに世界女王の勝負強さ。悲願だったメダルを確定させ、あとは色が金になるか、銀になるか。W杯に続く“世界連覇”まであと1勝だ。

(取材・文 西山紘平)

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