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ファンブル誘ったブレ球FK、決勝へ宮間「人生を懸ける」

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[8.6 ロンドン五輪準決勝 日本2-1フランス ロンドン]

 ラッキーゴールではなかった。狙いどおりのブレ球がGKのファンブルを誘った。日本女子代表(なでしこジャパン)のキャプテンを務めるMF宮間あやがFKで2点を演出。チームを五輪初の決勝へ導き、悲願のメダル獲得を確定させた。

 前半31分、ハーフウェーラインを少し越えた位置でFKを獲得。ゴールまではまだ距離があったが、宮間は低い弾道のストレートなボールを蹴った。ゴールを空けて飛び出したGKブハディはキャッチしようとしたが、後方にファンブル。ブレながら揺れるボールをキャッチし切れなかった。

 こぼれ球を押し込んだFW大儀見優季は「GKは自信を持って前に出てくる。それで(宮間)あやがあえてブレ球を蹴ってくれた。こぼれて来るのを狙っていた」と胸を張る。大会直前の親善試合でもフランスとは対戦していたが、宮間は「オリンピックでの試合を見て」GKの癖を見抜いていた。

 この先制点が伏線となり、2点目も生まれた。後半4分、同じような位置でFKを獲得すると、今度はGKが前に出てこなかった。宮間のキックに後方から走り込んだMF阪口夢穂がフリーでヘディングシュート。大儀見は「2点目のシーンはGKがビビッて出てこなかった」と言った。

 らしくないパスミスもあった。それでもキャプテンという責任を背負い、重圧と闘いながら宮間はピッチ内外でチームを牽引している。この日の試合前にはロッカールームで「素晴らしいみんなと、素晴らしいウェンブリーという舞台に立てて、私はすごくうれしい」とチームメイトに語ったという。佐々木則夫監督は「率直に感動を選手に伝えてくれて、一人ひとりの思いも同じだったと思うし、彼女の言葉がみんなに火をつけた」と指摘。そのキャプテンシーに感謝した。

 試合後は涙も見せた宮間。「いつも思うのは、みんなの背中が頼もしくて、みんなを誇りに思うし、ここに自分が立てていることも誇りに思う」。最高の仲間たちと成し遂げた悲願のメダル獲得。しかし、「いろんな意味で、最後だと思ってやっている」という今大会での最終的な目標が金メダルであることは変わらない。「決勝に立つための準備はクリアできた。明々後日の試合に、今までの人生を懸けたい」。8月9日、決勝戦。最高の監督、最高のチームメイトとともに、再びサッカーの聖地に立つ。

(取材・文 西山紘平)

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