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決勝前日会見 なでしこ佐々木監督コメント

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 ロンドン五輪で史上初の決勝進出を果たした日本女子代表(なでしこジャパン)が決勝を翌日に控えた8日、ロンドン市内のオリンピックパークで公式記者会見を行い、佐々木則夫監督、MF宮間あや、FW大儀見優季(旧姓・永里)、GK福元美穂が出席した。

以下、会見での佐々木監督コメント

佐々木則夫監督
「今日はチームの守護神、神様、フクちゃん(福元)。大黒様の優季(大儀見)。そしてキャプテン、宮間様。彼女たちに代表して来てもらいました(笑)。もう一歩でメダルを逃すベスト4だった北京五輪以降、その後の選手たちの精進でこのステージまで来れた。明日はとにかく選手の勝とうという思いがピッチで表現できれば、いい結果になると信じている。日本の代表、日本の女子サッカーの代表として、明日は素晴らしいウェンブリーで、闘争心を持って戦ってくれると思っている。僕自身期待しているし、是非皆さんにも期待していただきたい」

―W杯の決勝でアメリカに勝ち、世界チャンピオンになったことの意味は?
「昨年の優勝は、日本の女子サッカーの30年の歴史の中で、認知のなかった女子サッカーの魅力、素晴らしさを伝えることになり、また日本が震災という大変な状況の中、勇気や希望、感動を与える結果を出してくれた。いろんな称賛をいただき、それをまた糧にしてオリンピックに向けて準備してきた。ここまで来た選手を誇りに思うし、まだ復興途上にある日本の皆さんに我々のプレーを見ることで勇気と希望を届けたいと思っている。石にかじりついてでも、またチャンピオンを目指す気持ちで戦ってくれると思う」

―アメリカ戦に向けて選手に伝えることは?
「これは明日選手に伝えることで、今言うと、ここにいる3人にバレるので内緒にしたい(笑)。アメリカとはこの1年で4回目の対戦。なでしこジャパンは昨年からアメリカと数多く対戦することで成長してきた。素晴らしいアメリカをリスペクトし、素晴らしい試合にするために挑むことに尽きる。コメントについては明日まで内緒にしたい」

―明日の結果が金メダルではなく、銀メダルだったら残念か?
「もちろん金メダルを目指してやってきたし、限りなく金メダルを目指す。それに尽きる。銀になった場合は考えたことはないが、日本語で書くと、金より良いと書いて銀。それがなでしこの次につながることもあるのかなと思う(笑)」

―準決勝でカナダが審判に抗議をしていたが、今大会のレフェリーについてどう思うか?
「我々のチームは選手一同、まったくそういうイメージはない。非常にタフで、女子サッカーが進歩できるジャッジメントを確認している。もちろん我々もファウルは多少するが、シミュレーションなどは常にしないし、異議申し立てもしないと選手は心がけてやってくれている。レフェリーもリスペクトしながらこの大会を考えている」

―アメリカのワンバック、モーガンはクロスボールからゴールを狙っているが?
「ワンバック選手のクロスからのヘディングに対する対応。モーガン選手のスピード、テクニックあふれるプレー、強烈なシュート。これまでの対戦で我々は何回も体感している。その経験を踏まえて、修正、改善して毎試合取り組んでいる。明日も自信を持って、2人の素晴らしいプレーへの対応を準備している。ここにいる福元がすべてフィスティング、セービングし、それを宮間がつなぎ、大儀見がゲットしてくれると思う(笑)」

―アメリカの選手は昨年のW杯決勝で負けたことが原動力となっているが、日本はどうか?
「サッカーという試合の中で、強い者が勝つのではなく、勝った者が強い。そういうベッケンバウアーの言葉もある。勝った者が強い。そういう意味で、W杯で勝った我々は強い選手であってしかるべきだと思う。明日の試合は、どちらが勝ちたい気持ちがあるかどうか。屈辱を返すアメリカのメンタリティーは強くなるだろうが、ここで我々がやらないといけないことは、そのアメリカより勝つ気持ちをどれだけ持てるか。チーム一丸となって思いを高め、それをピッチで表現できるかだと思う」

―なでしこジャパンの監督として、この選手たちを率いることの意味は?
「彼女たちとは7シーズン目。コーチとして2シーズン、目線の低いところから見て、成長できるというか、可能性のある選手たちだと感じた。監督というきっかけをもらって5シーズン目。2シーズンは我々中心でチームをつくったが、その後、選手主導になり、世界の強豪国と対戦していく中で、その経験値が選手を育てていった。日本のクラブチームとも共有しながら成長し、ドイツやフランスでプレーすることの経験値もあり、日本協会からの援助もあった。成長度の高い時期に監督をやれたことは幸せだと思っているし、その成長度は思った以上の成果を出した。明日のピッチで、僕自身の最終章としての成果がどれだけ出せるか。その後の成長度も期待してもらいたいと思っている」

(取材・文 西山紘平)

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