beacon

受け継がれた“五輪切符の重み”…なでしこの未来を担う18歳谷川萌々子「強い気持ちで挑みたい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

谷川萌々子

 パリ五輪切符を懸けた北朝鮮とのアジア最終予選・第2戦(28日18時30分、国立競技場)を2日後に控え、サウジアラビアでの第1戦から帰国したばかりの日本女子代表(なでしこジャパン)が、寒風の吹きすさぶ千葉県内でトレーニングを再開。第1戦に途中出場し、躍動感のあるプレーで好リズムを生み出した谷川萌々子(ローゼンゴード)は第1戦(0-0)について聞かれ、「ポジティブに捉えている。次の試合では0-0からなのでメンタル的にも緊張せず入れるんじゃないかなと思います」と気負いのない表情で答えた。

 中立地のサウジアラビアでの第1戦は、日本が走り負けや当たり負けをした印象で、特に後半はシンプルな攻撃に徹した相手に対してピンチになる場面がいくつかあった。
谷川がピッチに立ったのは押し込まれていた後半24分。熊谷紗希と交代でアンカーの位置に入ると、的確なボールさばきや前を向くパワーを見せ、日本に良い流れをつくっていった。

 ただし、本人の評価は「前回の試合では簡単なミスが多くてうまくリズムを作れなかった」という厳しいもの。それでも第1戦から中3日で迎えるホームでの第2戦に向けては「たくさんボールを受けて得点の1個手前のところに絡めるようなパスを配給できるようにしたいと思います」と勝利へのイメージは明確だ。

 第1戦前のミーティングではキャプテンの熊谷から“五輪出場の重み”を聞かされた。日本女子は2011年女子W杯で優勝し、翌2012年のロンドン五輪では銀メダル。なでしこブームが起きた。ところが2016年リオデジャネイロ五輪は最終予選で敗退。ブームはあっという間に去り、国内リーグの観客数も激減した。

「リオの予選で負けてしまって、観客数や女子サッカーの発展の中では低下した部分もあった。(出場を逃すと)大きな世界大会に出られないという屈辱もある。あの時の女子サッカーの状況は自分も理解できている。この切符(パリ五輪出場権)の重みというのをしっかり知ることができたので、しっかりパリへの切符を取れるように強い気持ちを持って挑みたいと思います」(谷川)

 舞台となる国立競技場でプレーすれば自身にとって初の経験となる。「あの大きなスタジアムでできることは光栄。たくさんのサポーターの皆さんも来てくれると思うので、しっかり期待に応えられるようなプレーをしたいと思います」と意気込んだ。

(取材・文 矢内由美子)
矢内由美子
Text by 矢内由美子

TOP