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町田との直接対決に敗れた岐阜 MF服部「ビビっちゃってたよね」

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[10.28 J2第40節 町田 1-0 岐阜 町田]

 J2は28日に第40節を行ない、21位のFC岐阜はアウェーでFC町田ゼルビアと対戦した。勝てば町田の最下位が決まり、岐阜のJ2残留が確定する『裏天王山』といえる大一番。しかし、岐阜は0-1で敗れて、町田に勝ち点差を3まで詰め寄られてしまった。試合を終えた岐阜のMF服部年宏は、チームの経験不足を口にした。

 前半を0-0で折り返し、迎えた後半1分。町田のMFディミッチにゴールを許してしまう。その後、町田のDF三鬼海が退場処分を受け、数的優位を得たものの、このアドバンテージを生かすことはできなかった。

「気を付けていた後半の立ち上がりにやられたのが痛かったよね」と服部は唇を噛む。「お互いに固さがあったけれど、うちの方が、経験も、気持ちも足りなかった」と悔しがった。

 今シーズン、J2に昇格したばかりの町田に対し、岐阜は08年から4シーズンに渡ってJ2の舞台で戦っている。では、服部が指す経験とは何なのか。「Jの経験よりも、こういう厳しい状況での試合経験。向こうは昨年JFLを戦って昇格争いをしてきて『1年で落ちることはできない』という気持ちの強い選手が多かった。でも、ウチはすでにJ2にいるチームに加入してきた選手が多い。そういう真剣勝負の経験の差です」

 行徳浩二監督は、精神面で後手に立っていたことを認める。「町田も『負けたら終わりだ』ということで、このゲームに大変なプレッシャーを感じていたと思います。しかし、それ以上に、われわれはナイーブになってしまいました。消極的なプレーが目立ち、ボールを受けるのが怖い、ボールを受けると逃げ場を探す。そういう印象がありました」と、振り返った。

 ピッチ上で服部も、同様の印象を受けたという。「ボールロストして、それで失点したくない。良い形で相手に奪われて、良い攻めをさせたくない意識が強すぎたかもしれない。『ボールを寄こせ!』っていう選手が少なかったし、フリーランをしきっているやつもいない。なかなかバランスも難しい。気持ちをリセットし、戦うことを第一に、ビビらないでやる。ビビっちゃってたよね。こういう試合をやったことないから。でも、そこは仕方がない」と、経験不足は急に埋められるものではないと語った。

 残り2節、町田とはまだ勝ち点3があり、優位な立場にいる。次の試合に向けて行徳監督は「シーズンが通じて、点を取れていないことは課題です。ケガ人も多く出ていて、そのセンスが少しずつ戻っている。選手の入れ替えや、システムを変えることであったり、そういうことをもう少し考えたい」と口にした。だが、それでいいのだろうか。この日も岐阜は、残り5分を切ったときに、DF関田寛士を最前線に上げて、FW梅田直哉と並べたパワープレーに出ている。しかし、前線にボールを入れることはできず、決定的な場面はつくれなかった。指揮官自ら「練習ではまったくやっていない。やっていないことは上手くいかない」と、話していた。

 変化を示唆した指揮官に対し、服部は継続が大事だという。「いまさら、いきなり誰かがうまくなるっていうことはあり得ない。3点、4点を取れるチームではないから、自分たちがしっかり粘り強く戦う。それしかないと思います。どういう形であれ、残留して、これを良い経験にできるようにしないといけない。いまさら新しいことに挑戦する時間もない。積んできたもので、さらにやっていく」と、言葉に力を込めた。泣いても、笑っても、残りは2節。「まだ落ちたことが決まったわけでもないし、J2に残る力はある。この敗戦をマイナスに捉えず、やるしかない」。経験豊富な服部は、チームを引っ張っていく。

(取材・文 河合拓)

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