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横浜FM逆転劇の“陰の立役者”…果敢な空中戦で繋いだ20歳MF山根陸「こういうゲーム展開は闘うところが大前提」

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試合後、ハイタッチするMF山根陸とMF榊原彗悟

[5.11 ACL決勝第1戦 横浜FM 2-1 アルアイン 日産ス]

 隠れた大仕事だった。横浜F・マリノスは後半41分、鮮やかなサイド攻撃からMF渡辺皓太が決勝ゴールを決めたが、その起点となったのは途中出場のMF山根陸。高く上がったセットプレーのこぼれ球に躊躇なく空中戦を競り合い、落としたボールをMF榊原彗悟が拾ったことで、クロスを上げたFWヤン・マテウスにボールが渡っていた。

 そんな山根は1-1に追いついた5分後の後半32分、インサイドハーフの榊原とともに投入され、アンカーの位置に入った。「トランジション(攻守の切り替え)を少なくし、なるべく押し込む展開を増やしたいというのがあった」(山根)との言葉どおり、試合をさらに支配する狙いが前面に出た起用だった。

 その一方、アルアインがカウンター狙いに舵を切ってきていた中、中東でのプレー経験豊富なMFナム・テヒ、ヘディングで同点弾を突き刺した179cmのFW植中朝日に代わって起用されたからには中盤の強度を維持することも重要な役目。そうした意味で、セットプレーのこぼれ球を力強くマイボールにし、同時投入された2人で二次攻撃につなげた価値は大きかった。

 身長こそ173cmと小柄だが、「ヘディングはそんなに苦手ではない」と自負する山根。得点シーンについては「跳ね返しただけ」と謙遜したが、昨年のU-20W杯などアンダー世代の国際試合経験も豊富で「こういうゲーム展開では闘うところが大前提。キワのところにしっかり行くところが大事だと思っていた」という意識も頼もしく映った。

 この日は53704人という自身のプロ入り後最多となる大観衆の前でプレーし、「いつもと変わらない素晴らしい応援を聞きながら、こんなに素晴らしい雰囲気を作ってもらったことに感謝。ピッチに立てたのは忘れられない経験になった」と振り返った20歳。自身のパフォーマンスには「まだまだなところがある」と満足する様子はなかったが、アジアの頂点を争う舞台で着実な成長を印象づけた。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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