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[MOM4773]山形ユースFW水戸部東次(2年)_ちょっとだけ抱いていた主役への野心。CBで途中出場の「二刀流FW」が決勝ゴール!

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モンテディオ山形ユースが誇る“二刀流”、FW水戸部東次(2年=モンテディオ山形ジュニアユース村山出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.22 クラブユース選手権(U-18)GL第1節 大分U-18 1-2 山形ユース ヤンマーフィールド長居]

 想像していたのとは異なるポジションでピッチに送り出されたものの、携えるべきマインドは変わらない。任された場所で、任されたことを、全力でやり切る。その上でちょっとだけ野心も抱いていた。今日の主役はオレがさらってやる、と。

「自分としてはフォワードで点を決めてヒーローになりたいなと思っていたので、『ああ、今日はセンターバックか』とは少しだけ思いましたけど、そこはしっかり切り替えてやろうと思っていたら、セットプレーで良いボールが来たので、合わせるだけでした」。

 センターバックとフォワードをこなす、モンテディオ山形ユース(東北1)の“二刀流”。FW水戸部東次(2年=モンテディオ山形ジュニアユース村山出身)が攻守で発揮した高さという武器が、チームに貴重な初戦の白星をもたらした。


「ハーフタイムになる前ぐらいに言われました。最近はずっとフォワードで練習していたんですけど、今日は急遽センターバックで出ることになりました」。クラブユース選手権のグループステージ初戦。大分トリニータU-18(九州2)と対峙した山形ユースは、前半のうちに1点をリードすると、チームを率いる秋葉勝監督はハーフタイムでセンターバックの交代を決断する。

 指名されたのは、この日のメンバー表のポジション欄に“FW”と記されていた水戸部。「最近はやっていなかったので、3か月ぶりぐらいですね。プリンスの最初の方はセンターバックで出ていて、途中からはずっとフォワードで出ていたんですけど、今日は急にセンターバックでしたね(笑)」

 本人もやや想定外の起用ではあったものの、「もともとフォワードで出る準備をしていたんですけど、一応どっちもできる感じなので、やることはやらないといけないと思っていました」と気持ちを切り替えて、戦いのピッチへと向かう。

 後半2分。山形ユースは同点に追い付かれる。相手のシュートもスーパーではあったが、目の前でシュートを打たれた水戸部は「自分が寄せ切れなくて、失点に絡んでしまったので、それを取り返したいという気持ちはありましたね」と忸怩たる想いをたぎらせていた。

 その瞬間は10分にやってきた。山形ユースが右サイドで獲得したFK。キッカーのMF菅原大幹(3年)が左足で蹴り込んだボールに、183センチの“センターバック”が飛び込んでくる。「タイミング良く、勢い良く入って、自分のところにドンピシャで来たので、頭から突っ込みました」。ダイビングヘッドで当てたボールは、バウンドしながらゴールネットへ弾み込む。気付けばそのままタッチラインの外側で待つ、チームメイトたちの元へ走り出していた。

「ゴールしたらベンチに行くことは決めていたんですけど、『後半に決めるとああいうことができるんだな』って。前半に喜んでいた時にはベンチのチームメイトは行けなかったですけど、後半に決めたらベンチのところでみんなで喜べるので」。27番の姿はあっという間に歓喜の輪に飲み込まれていく。水戸部のゴールでチームは再び一歩前に出る。

 大分U-18も同点を目指して、アクセルを踏み込むが、「押し込まれてはいましたけど、しっかり全員で声を掛けながら、入ってきたボールもしっかり跳ね返せていましたし、粘り強く対応できたのは良かったかなと思います」と話した水戸部とDF三浦隼太(3年)のセンターバックコンビを中心に、山形ユースの堅陣は揺るがない。

 ファイナルスコアは2-1。「今週のトレーニングはフォワードをやっていたんですけど、もともとセンターバックと両方やっているので、どっちも行ける選手なのかなと思っています。今日は良いシュートを入れてくれましたね」と秋葉監督も評価を口にした水戸部が、35分間の出場でこの日の主役を鮮やかにさらっていった。


 実は全国大会とは相性が良いのだという。「中2と中3の時も全国で決めていて、『全国は得意なのかな』ってちょっと思っちゃいました(笑)。今回もゴールを決める準備をしてここに来たので、決められて良かったです」。大舞台に強いという自覚は、何とも頼もしい限りだ。

 2つのポジションをこなせる能力は、自身の幅もチームの幅も広げてくれることは間違いない。「フォワードもセンターバックもできた方が自分の将来的にもいいですし、監督にも『いろいろな場面でどっちもできたらいいね』とは言われています。どっちでも対応できるのが自分の強みかなと思うので、今日はちゃんと自分の仕事をできたのかなと思います」。任された場所で、任されたことを、全力でやり切る。その姿勢を貫くことで、さらなる成長を追求し続ける。

 初戦は勝ったが、まだまだ試合は続いていく。「まだ何も決まったわけではないですし、ここからが本当の戦いだと思うので、次の試合もフォワードとセンターバックのどちらで出ても、自分の役割をまっとうできるように頑張りたいです」。

 山形ユースの中で確かな存在感を放ち始めている、センターバックとフォワードの“二刀流”をこなす16歳。次はどのポジションでピッチへ解き放たれるかも含めて、この男の躍動から目が離せない。



(取材・文 土屋雅史)

●第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)特集
土屋雅史
Text by 土屋雅史

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